◎ピヂン・ジャパニーズで仕立屋をStart hereという
服部之総の随筆集『moods cashey』(真善美社)から、「Moods cashey」という随筆を紹介している。本日は、その二回目。
上海ではいまでもサランパンといふピヂン・イングリッシュがつかはれてゐる。ペケはマレイ語で「行く」ことであり、いつたんピヂン・イングリッシュに編入されるや、欧米商館と足跡をともにしてひろがっていった。
文久二(一八六二)年版の『横浜見聞誌』に、「本町〈ホンチョウ〉一丁目花鳥茶屋〈カチョウジャヤ〉ならびに鳥をあきなふ、異人南京ここに来りてよりよりと買行けばぺけぺけさらつパアと出てゆくもあり」と書かれてゐる。ペケやサラッパアのピヂン・イングリッシュにおける位置は、さしむきこんにちのパンパンにあたらう。
横浜で発行された『チエリー・ブラッサムス』といふ雑誌のある号に、ピヂン・ジャパニーズが収録されているよしで、パスク・スミス氏の『日本および台湾の西夷』からそれを紹介してみる。
Hat=Caberra mono(冠り物)
Immediately=Todie mar(ただいま)
Tailor=Start here(仕立屋)
Loafer=Fooratchi-no-yats(不埒〈フラチ〉な奴)
A “bad hat”=Berrobo-yaru(べらぼう野郎)
Colour=Eel oh(色)
これらの単語が Serampan(こわれる)、piggy(移す、とりのける、もってゆく、すてる、ペケ)、nigh(ない)などと組み合わされて、季節で色変りはしませんか=Atsie sammy eel oh piggy nigh?はまだわかるとして、
燈台=Funey high kir serampan nigh rosokoo となると、判じ物である。〈3~4ページ〉【以下、次回】
「Atsie sammy eel oh piggy nigh?はまだわかるとして」と服部は言うが、そう簡単にはわからない。「アチー、サミー、イロ、ペケ、ナイ」と読んで、「暑い寒いによって色が変わらない」の意味としたのか。
「Funey high kir serampan nigh rosokoo となると、判じ物である」と言うだけで、服部はその判じ物(なぞなぞ)の答を言わない。読みは、たぶん、「フネ、ハイ、キル、セランパン、ナイ、ローソク」、意味は、「船が支障なしに入ってくる燈火」か。
服部之総の随筆集『moods cashey』(真善美社)から、「Moods cashey」という随筆を紹介している。本日は、その二回目。
上海ではいまでもサランパンといふピヂン・イングリッシュがつかはれてゐる。ペケはマレイ語で「行く」ことであり、いつたんピヂン・イングリッシュに編入されるや、欧米商館と足跡をともにしてひろがっていった。
文久二(一八六二)年版の『横浜見聞誌』に、「本町〈ホンチョウ〉一丁目花鳥茶屋〈カチョウジャヤ〉ならびに鳥をあきなふ、異人南京ここに来りてよりよりと買行けばぺけぺけさらつパアと出てゆくもあり」と書かれてゐる。ペケやサラッパアのピヂン・イングリッシュにおける位置は、さしむきこんにちのパンパンにあたらう。
横浜で発行された『チエリー・ブラッサムス』といふ雑誌のある号に、ピヂン・ジャパニーズが収録されているよしで、パスク・スミス氏の『日本および台湾の西夷』からそれを紹介してみる。
Hat=Caberra mono(冠り物)
Immediately=Todie mar(ただいま)
Tailor=Start here(仕立屋)
Loafer=Fooratchi-no-yats(不埒〈フラチ〉な奴)
A “bad hat”=Berrobo-yaru(べらぼう野郎)
Colour=Eel oh(色)
これらの単語が Serampan(こわれる)、piggy(移す、とりのける、もってゆく、すてる、ペケ)、nigh(ない)などと組み合わされて、季節で色変りはしませんか=Atsie sammy eel oh piggy nigh?はまだわかるとして、
燈台=Funey high kir serampan nigh rosokoo となると、判じ物である。〈3~4ページ〉【以下、次回】
「Atsie sammy eel oh piggy nigh?はまだわかるとして」と服部は言うが、そう簡単にはわからない。「アチー、サミー、イロ、ペケ、ナイ」と読んで、「暑い寒いによって色が変わらない」の意味としたのか。
「Funey high kir serampan nigh rosokoo となると、判じ物である」と言うだけで、服部はその判じ物(なぞなぞ)の答を言わない。読みは、たぶん、「フネ、ハイ、キル、セランパン、ナイ、ローソク」、意味は、「船が支障なしに入ってくる燈火」か。
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