人類は500万年目前にチンパンジーから枝分かれした。このような進化では新しい遺伝子が創造されると思われがちだが、実は、オリジナルな遺伝子は多くが単細胞時代に創造されていて、多細胞以降はその使いまわしが多い。
我々を上回る新しい人類はいつ誕生するのか?大きな進化は100万年単位で起きているので、次の進化は99万年後だろうか?予想されるのは脳細胞の数が2倍になる事だ。この進化が発展や幸福を導くか否かは分からない。
《人類誕生に関し、昨年秋、米ジョージア大学の遺伝学者、ユージン・マッカーシー氏は「人類はオスのブタとメスのチンパンジーから生まれた」という驚くべき仮説を唱えたと報道されている》
生体は器官などのオリジナルな遺伝子をコピーして二つの遺伝子ペアーを作る。元の遺伝子は残しておき、コピーした遺伝子は宇宙線などの自然環境やミスで変更される。この変化した遺伝子も残され、時に利用される。
更に遺伝子ペアがコピーされて増加し、全体として類似した遺伝子のグループを作る。似たような遺伝子は族とかファミリーを構成する。またある時には、コピーした遺伝子が別の遺伝子に接続されて、新たな遺伝子の組み合わせを作る。
教科書ではDNAは安定しており、通常はDNAからRNA(不安定で変化しやすい)を作るとされているが、逆に変化の大きいRNAの中身をそっくりDNAにコピーする場合(逆転写)も有る。遺伝子のダイナミクスだ。
特にカンブリア紀(5~6億年前)には数十種類から1万種と爆発的に生物の種が増えた。遺伝子を激しくコピペ、組み合わせとパッチワークが実施された。コピペは小保方氏に始まった事ではない。遺伝子では数億年前からそれが常識だった。
Pax6と名付けられた目関連の遺伝子が有る。ショウジョウバエの塩基配列(遺伝子の配列)で体の各部にPax6を貼りつけると、ショウジョウバエの足など貼りつけた各部に目が出来たらしい。
宮田隆博士(京都大学教授)は著書「分子から見た生物進化」の中で、遺伝子のソフトモデルを提唱している。新たな遺伝子を創造する(ハードの発明)のではなく、状況に応じて既にある遺伝子をソフト運用(使いまわししてきた)ということか。
遺伝子配列の中には同じ部品、似たような部品が数多く出てくる(遺伝子重複)のでその事を証拠づけているという。非常に素晴らしい著書で勉強させて頂いている。
博士はダーウィニズムと木村資生博士の中立進化説との組み合わせを支持している。有利でも不利でもない中立な遺伝子変化で出来た生物の形態や機能が、自然の中で選択され、優位な生物が生き残るとするもの。
この説の問題は①遺伝子がランダムに変化すると進化どころか生命体システムが破壊する確率の方が高い。これは計算機でシミュレーションしなくても容易に理解できる。博士は遺伝子は柔軟に対応出来るとしている。然し、程度にもよるだろう。
例えば、文章の単語をランダムに入れ替えると文章ではなくなる。一つや二つの単語の消失や入れ替えが起きても、意味が通じる場合がある。しかし、まずいなと元に戻す機能でもない限り、入れ替えが進むと文章を完全に破壊してしまう。
また、既存遺伝子のランダムな組み合わせでは、②何を組み合わせの単位(部品)とするかなどの基準が無いので進みにくく、③組み合わせは無限にある為、莫大な時間がかかり、収束しないケースも有る。
遺伝子には数多くの重複が有り、採用される遺伝子、不採用でもいつか採用される可能性のある遺伝子などが保存されている。④重複する遺伝子からの選択を誰かが判断しなくてはならない。
決定的なのは、ランダムな変化だけでは⑤進化の状況が把握できない事だ。進化はどう見てみも継続的に進んでいる。例えば目はカンブリア紀から2個で同じ位置にあり、下等生物から人間まで次第に高度で複雑になっている。
もし、進化がランダムなら、目の位置が変わり、個数が変わり、全く異なる可視光線のセンサーが出現し、あるいは劣化する。光が不要な環境に住み始めた生物を除いて目が退化した例は無い。
それでは何者がコピーし、組み合わせ、入れ替えたかということだが、ここは世界で私一人が提唱している「循環論理の評価システム=ESCL」の存在が有力視される。生体には循環性を評価・判断する機能が等価的に存在するという仮説だ。
生命体はライフサイクル、血液循環、新陳代謝などように循環性が担保されることが必須の条件であり、循環論理の評価システムがその機能を果たす。
我々の身体の設計図を記録する情報の塩基配列は全体の塩基配列の僅か2%程度とされる。私の仮説では、経験値、ノウハウがその他の塩基配列に記録され、環境への対応や、生命体の発展強化のためのシミュレーションと評価が機能し新たな塩基配列が作られる。
宮田博士は生物が、ほんの僅かでも有利になる遺伝子が有れば、修正と組み合わせで便宜的に利用する進化戦略を採用したかもしれないとの趣旨を書いている。まさしく、私が循環論理の評価システムによる進化を戦略的進化説と名付けた通りだ。
因みに博士の「分子から見た生物進化」は今年1月20日発行、最も古い「進化」が2009年、私の「循環論理の評価システム(*)」は2003年から、電気学会で5回発表している。
*素人の空想からスタート、僅かな証拠が集まりつつあるが証明には程遠い。