練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『青山娼館』 小池真理子

2006-05-12 | 読書
小池真理子さんの小説を読むと、なんていうか・・・、「3年B組金八先生」を思い出してしまう。
こんなきれいごとあるわけない、と思うのだけど、金八先生だか脚本の先生だかが「現実はもっと汚くてカッコ悪くてうまくいかないっていうことは重々承知なので、せめてフィクションの世界だけでもきれいごとにしたい」と言っていたそんなことを連想させるのだ。

まぁ、ほかにもいろいろ思うところはあるんだけど・・・。

今度の日曜日は母の日、ということで『青山娼館』の中の母と娘のことについてちょっと感じたことがあるので記しておく。

ヒロインの奈月は私生児で奈月の母親は彼女に対しても彼女の小さな娘(これまた私生児)に対しても全く愛情を持っていない(と奈月は)感じている。
奈月から見た母親は「お金をはらってまでも男の尻を追いかけるような女」であり、男に抱かれることだけが楽しみ、というかそれがないと生きていけない女、である。
飲んだくれの母が目を離したすきに子守りを頼んでおいた娘は事故死する。
最愛の娘を失い、生きる希望もなくし、さらに唯一の理解者であった親友も自殺してしまい、絶望のどん底に突き落とされたヒロインはふとしたことで男性の肌のぬくもりこそが自分を癒してくれると確信し、都会のド真ん中、青山にある隠れ家のような館で高級娼婦として働く。
といったようなお話。

ヒロインはものすごいコンプレックスを母親に感じていて、あんな風には絶対になりたくない、と思っている。
確かに不注意で自分の娘を死に至らしめられたわけだから、恨みつらみは相当のものだと思うけれど、この話、読み終わって、この母にしてこの娘あり、というところもあるじゃん、と思ってしまった。
お金を払って男に抱かれることが低俗で、男に大金をつぎこまれて抱かせてやっていることがエライとか全然分からないし、人肌が恋しくてそこに癒しを求めている(とはっきり言っている)あたり、親も子も一緒だという証拠。
娘がかなり裕福だと知って金の工面の連絡をよこすところはかなりプライドの低い母親であることは確かだが、実の親子の血のつながりというのは、携帯のメモリーを消せば簡単に関係が解消されるような薄いつながりではないと思った。

たとえ反面教師でしかなくてもなんらかの影響を子どもに与えているということは親としての存在意義は充分あると私は思っている。
もし私が小池さんでこの話の続編を書くとすれば、奈月は自分がひとりで強く生きてきた、娼婦というのはまさに天職、仕事と割り切って殿方に奉仕してきた、と思っていた人生がまさにあんなに忌み嫌っていた母親とさして違わない人生だったと気付いて愕然とする、というストーリーにするんだけどなぁ。

もしそこまで分かっていて書いているんだったら、小池さんてホントにすごい人なんだけどな~。


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2 コメント

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小池真理子さん (由松)
2006-05-13 20:18:22
しなゆきさんはお好きですか?

多分美意識が強いお方なんでしょうね。

ドロドロの男女関係のようでほんとの泥沼にははまっていない、という点ですべての作品が首尾一貫してますよね。
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虹の彼方が最新刊 (しなゆき かたまさ)
2006-05-12 22:14:28
今日はその作家先生のサイン会に参加してきました



とても綺麗な方でしたが言葉を交わすと普通のおばさん的な話し方でちょっとあのような小説を書いている方とは思えないような感じでしたね~すべてはお見通しなんだと思いますヨ
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