練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

「キスリング展 モンパルナス その青春と哀愁」

2007-08-22 | アート
「キスリング展 モンパルナス その青春と哀愁」
そごう美術館(横浜)
2007年7月26日(木)~8月26日(日)

キスリングの絵画は「モンパルナスのキキ」という恐らく彼の作品の中で最も有名な1点しか知りませんでした。
画像は敢えてそれではなく、「イングリッドの肖像」という人物画です。

モンパルナスの・・・というサブタイトルが付けられていますが、
ほぼ彼の全生涯に渡る創作活動の集大成と思われる、幅広い作品が展示されていました。

キスリングは兵役に取られたり、体を壊したりしながら絵を描き続けた画家のようです。
キュビズムの影響を受けていた青年時代、戦争の影響で精神的にも揺れていた時代、幸せな結婚を経て活動的な20代後半、そしてパリに移り住み、多くの画家仲間と勢力的に創作活動を行った時期、フランドル派の影響を受けた時期、などなど・・・
作風にもいろいろな変化が見られてとても面白いです。

著名な画家ともなると、その中の特に有名な作品いくつかがその人の全てを表現しているかのようにとられがちですが、やはり最高地点に到達する以前、その以降も人間としていろいろな創作方法、表現方法にゆれながら活動をしていた、というのがこのキスリング展を見て、再認識します。

キスリングの人物画といえば、「キキ」の絵にも顕著に見られますが、
その三白眼とくっきりした二重まぶた、アンニュイな表情が特徴的です。
女性を描いた作品が多いようですが、それが裸体像ともなると、ポーズも含めてその表情とあいまって、なんとも官能的です。
女の私も思わず見とれてしまいました。

その裸体像でもいかんなく発揮されていると思いますが、
キスリングの魅力はその色彩感覚だと強く感じました。
白い肌のバックには真紅の布を描いて肌の美しさを引き立たせています。
「キキ」の像にしても、真っ赤なセーターに鮮やかなブルーのスカーフを巻かせています。
果物が描かれた静物画にしても、ほとんど原色に近いさまざまな果実を無秩序に並べていいるように見えて、実は赤の隣に緑、といった補色関係を効果的に使っているように感じられます。
そして、私が個人的にハッとさせられた色合いは、めずらしくパステルカラー調なのですが、明るい黄色のミモザの花のバックにやはり明るい水色の壁を持ってきた作品です。
ブルーと黄色の組み合わせが私自身が好き、というのもあるのですが、
そのブルーの色調と黄色の色調が絶妙なのです。
色を作り上げるのも画家の才能だとすれば、キスリングはまさに色彩の天才だなぁ・・・と一人で感心しました。

会期はもうあとわずかですが、とてもよかったのでおすすめする展覧会です。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
キスリング好き (Tak)
2007-08-24 22:06:41
こんばんは。

キスリング好きの自分としては
待ちに待った展覧会でした。
横浜まで行くのも苦になりませんでした。
記事はまだ書いていませんが…

平面的で日本画チックなところなど
琴線に触れる箇所の多い画家さんです。
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キスリング (由松)
2007-08-26 07:42:08
Takさん、こんにちは。
キスリング、お好きなんですね。
私は記事にも書きましたが、名前は知っていても作品はあまり知らなかったのですが、
今回展覧会を見て、とてもよかったなぁ~、と思いました。
Takさんの記事も楽しみにしています!
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