練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

「ルオーとマティス」展

2008-03-16 | アート
私にとってのささやかなルオーの謎が解けた展覧会でした。

開館5周年 ルオー没後50年特別展
「ルオーとマティス」
松下電工汐留ミュージアム
2008年3月8日(土)~5月11日(日)

ルオーの絵で見たことがあったのは、男の顔のアップ、黒々とした、太い黒い線で輪郭を描かれた、むしろ輪郭だけでできているかのような、そんな絵でした。
この展覧会を見に行き、ルオーの生い立ちなども知って、なるほど、と思いました。
ルオーの父親はステンドグラス職人であり、ルオーも一時ステンドグラス作りを職としていたそうです。
そうなのです。太い輪郭、それはステンドグラスの銅線に通じていたのではないでしょうか?

それから、その男の絵、画集で見る限りでは、なんというかごつごつ、というかぼつぼつというか、なめらか、つるつるというのとは反対の印象でした。
この展覧会で展示されていた「ピエロ」という絵を見て、その謎も解けました。
ルオーはこれらの一連の作品を描くとき、油絵の具を塗ってはナイフで削り、またその上に絵具を塗っては削り、と言うのを繰り返して、ものすごく厚みのある、立体感のある作品を描いていたのです。
実際の絵に近づいて見てみると、その凹凸がはっきりと見てとれ、どうしてあんなにごつごつした印象だったのか、よく分かります。
本物を見る、ってすごく意味のあることなんですね。

この展覧会、タイトルにもあるように、ルオーだけでなく、マティスの作品も平行して展示してあります。
ルオーとマティスの共通点を私は全く知りませんでしたが、同じ師匠、つまりモローに師事していたそうです。
同じアトリエで絵画を学び、影響しあった二人。
画風が似ている時代もあり、全く異なる方向に進んでいた時代もあります。
しかし、お互いに刺激しあっていたことは明らか。
二人が深い友情で結ばれていたことが、後に見つかった往復書簡で分かったそうです。
いいですね・・・そういう長く続く友情って・・・。
マティスのあの有名な連作「ジャズ」も展示されていて、とても見ごたえのある展覧会でした。