似非ケインジアンに告ぐⅧ

　ではなぜ彼らがケインズ政策を「財政のみ！」と断言したのでしょう。
高橋財政に関しては決して「財政のみ！」ではありません。結局は高橋財政は戦争の原因の一つにされてしまいました。日銀が直接国債を引き受ける形です。
「それは日銀はこれからやってはいけない」と彼らは解釈しました。しかし直接引き受けしてから戦争になるまで10年以上あるのです。
それでも彼らは原因だと言い張ります。しかも戦後ハイパーインフレになったのもそれが原因だといいます。20年も経っているのにずっと続くというのです。
高橋財政のマイナス評価は日銀の積極政策封じ込めとなり、日銀は経済に合わせて資金の出し入れだけやっていれば良いとなります。
日本を絶対景気よくさせないことになり、積極的金融政策は墓場行きとなったのです。
高橋財政は226事件の悲劇の前で埋もれてしまいます。どの教科書を見ても日本は高橋財政によって世界で最初に世界恐慌を脱出した事実は高らかに書いていません。
ドイツの第一次大戦後のハイパーインフレとオーバーラップして日本の昭和恐慌をインフレだったと混乱している人も多いありさまです。
226事件以降、軍事支出に歯止めがかからずインフレになってしまいます。でもその前はデフレで困っていたのです。それを上手く脱出できたのが事実です。
この部分がすっかり抜け落ちているのです。デフレからいきなりハイパーインフレになったような印象を定着させてしまったのです。
「1円でも金を刷ったらハイパーインフレだ！」という印象です。これは歴史の捏造か意図的な簡略化だと言うしかありません。　

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