似非ケインジアンに告ぐⅤ

　日本に似非ケインジアニズムを広めた都留重人を始めとした人々は、なぜそんなことをしたのでしょうか。
まず都留の場合はマルクス経済学の影響を非常に強く受けていました。
彼は戦前ハーバード大学に留学し、そこでシュンペーターやサムエルソンなど様々な経済学者の影響を受けました。
特に強く影響されたのはポールスイージというマルクス経済学者です。
ポールスイージの代表作「資本主義変動の理論」の付録に都留重人の「マルクスの再生産標識に付いて」と言う論文が付いています。
都留はバリバリのマルクス主義活動家だったのです。アメリカにはマルクス経済学者は多くはいません。その少ない中にスイージとダンカポーリが戦後にいます。
当時はスイージ以外には目立った人がいません。都留は帰国後東大で講義をやります。
そこでアメリカの経済政策、特にニューディール政策について大変批判的な話をします。
「アメリカが何で日本に対して参戦したのか。ニューディール政策のせいだ。つまりケインズ政策こそアメリカ参戦の元凶だ」
彼はケインズのことを教科書に悪く書くためにわざとケインズの金融の部分を除いたのでしょうか？それは分かりません。
とにかく彼にとっての公共事業中心のケインズ政策は戦前においてはマイナス評価で、それこそが戦争をもたらしたのだというのです。
現在、どこかの国の中央銀行も同様なことを言っています。その同じ事を戦後真っ先に言ったのが都留なのです。

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