まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

松本まち歩き(その2)

2024-09-11 21:59:59 | 建築まち巡礼中部 Chubu

 松本は、空襲を受けなかったようです。まちの中にたくさん、古い建築が残っています。中でも古いのがこの高橋邸でしょう。

 17~18世紀初めの武家屋敷です。有名な開智学校のすぐ近くにあります。驚いたのが、石置き屋根です。東日本の日本海側、例えば新潟県の出雲崎や山形県の鶴岡では石置き屋根が見られます。でも、信州にもあるんですね。

 比較的下級の武士の館だと思います。薬医門ではなく棟門です。玄関も簡素です。広い式台があるのではなく、農家のように土間に通じるようになっています。

平面も、農家風のところがあります。居間に少し台所が食い込んだような間取りです。こういう平面があるのは知りませんでした。

 土間を抜けると、裏は畑だったんでしょうね。天井?は見慣れない形です。普通は小屋組みを表しにしているのではないかと思います。

畑から見ています。

雨戸は閉じた戸袋になっていません。

四間取りの平面です。

 

座敷は、竿縁天井ですが、右手の開口部に中途半端な腰がついているのも、あまり見たことがないような気がします。とはいえ、私が知らないだけのことが多いのですが・・・。

面白い体験でした。

いよいよまちなかに出ますが、その前に開智学校と司祭館。

高谷時彦

建築・都市デザイン

TAKATANI Tokihiko

architect/urban designer

 

 


松本まち歩き(その1)

2024-09-11 18:54:37 | 建築まち巡礼中部 Chubu

 地方都市の中心部が元気をなくしています。松本市においても、中心部からパルコやヨーカドー、地元デパートなどが撤退するというニュースが聞こえてきます。私の中では、松本は元気な若い人たちが頑張ってユニークなお店をやっていたり、面白いまち並もあり、中心部に活力がある・・・というイメージでしたが、実際はどうなんでしょうか。まずはみてみようと思い、先週末、あずさ号に飛び乗りました。

 まちを見るのが主目的ですが、いい建築との出会いがありました。

信濃毎日のメディアガーデン。伊東豊雄さんの設計です。まちの中に小さな広場を取り、広場に面して市民が自由に使えるホール(もし論新聞が読めます)を面させています。

外壁のルーバーは伊東さんの師匠の菊竹清訓先生の出雲大社を思い出させます。

中から見ると、外光を適度に遮りながら、外も見えるように考えられていることが分かります。

2階に上ると、この建物が大通りのアイストップになっていることが分かります。

もう一つ伊東さんの作品がありました。市民芸術館。小沢征爾さんのホールですね。

2階ホワイエへの導入の仕方が気持ちいいですね。素直で、ダイナミックで、エレガントです。

エントランスをみかえします。柱がきわめて細い!

ホールの中には入れないので、早々にまちに出ます。

松本は東京と同じように暑かったですが、空気がさわやかで、湿気もないんでしょうか、歩きやすいまちでした。

高谷時彦

建築・都市デザイン

TAKATANI Tokihiko

architect/urban designer