落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

The Long and Winding Road

2006年09月16日 | TV
『Queer as Folk』
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前にも何度か書いたアメリカのTVドラマ『Queer as Folk』、やっと観終わりましたー。
な、長かった〜〜〜。なにしろ放送期間にして足掛け6年、5シーズン全部で83話もあるんだからそりゃ長いです。ふだんまったくドラマを観る習慣がないし、これまでに観た中国のドラマも長くて30話かそこらだったので正直最後まで観れるかどーかと思ってたんだけど、観たね。自分でも驚き。
しかも英語だし。中国語圏のドラマはみんな中国語の字幕がついてるからまだいいけど、アメリカのにはそれがない(実はついているのだが日本のTVやPCには表示する機能がない※)。ココとかココとか、部分的にでもエピソードガイドや採録シナリオをアップしてるサイトがなければカンペキ挫折してたでしょー。慣れてくると台詞もぼちぼち聞き取れるよーにはなったけど。覚えても絶対人前で使えないスラングとか、しょうもないダジャレとか。TVドラマだから大して難しいことはいってないし、シーズン2くらいまでは台詞を全部理解しようとかなりマジメに観てたけど、さすがに途中からは疲れてすっ飛ばしましたがー(爆)。
※追記。コメント欄へのまりさんからの投稿によれば、PCではDVD再生ソフトの種類によってはクローズドキャプションが表示できるようです。

でもなんだかんだいって観ちゃったのはやっぱり内容がおもしろかったからだと思う。
自分でもどこまで理解できてるのかイマイチ自信はないけど、ヘンな話、このドラマで何を訴えようとしているのかという肝心なところは言葉がよくわからなくてもしっかり伝わってくる。橋田寿賀子ドラマ並みの台詞の量にも関わらず、不思議とちゃんとわかるのだ。それこそが、つくり手の情熱や作品の力なのだろう。
一部にはシーズン5までひっぱる必要はなかったという批判もあるらしいけど、ぐりはそうは思わない。確かにシーズン3と4の間には大きな方向転換はあっただろう。現にオープニングタイトルもこのタイミングで改変されている。放送時の反響や社会環境の変化もそれなりに内容に反映されてはいる。ただこの番組はもともと最初から最低5年間をかけて制作される計画ではあったらしいし、観ていてもその必然性は明らかだ。シーズン4以降は視聴率が落ちたというのも、ある意味では必然といえる。
つまり、セクシュアル・マイノリティの生活をモチーフにするからには、番組そのものに期待される社会的要素を相応に盛りこむ必要があり、それが登場人物たちの年齢的な成長とともに物語の前面へ強く押し出されてくるという流れは避けようがないわけで、そうすると刺激的な性描写や非現実的な恋愛物語を主に好む若い視聴者の共感はどうしても得にくくなってしまう。ぐりはどっちの路線も好きだけどね。前半のおバカで下品でエロ満載なトーンも、後半のどすーんとシリアスなトーンも、それぞれおもしろかったです。
どちらにしても、世の中にはいろんな人がいて、いろんなライフスタイルがあって、それぞれの人生はそれぞれに長く曲がりくねってはいるけれど、どんな人にもみんなに平等に幸せになる権利があるはず、という大事なメッセージはきちんと表現されてると思う。リアリティがあるかどーかはべつとしてね。
物語の構成自体は強引なとこも多々あるし、カメラワークや編集がやたらめったらトリッキー過ぎて目にうるさいのが難ではあったけど。

観ててホントにいろんなことを考えさせられました。
友情、恋愛、セックス、結婚、離婚、家庭、家族、仕事、出産、育児、教育、健康、老化、などというごく身近なテーマはもとより、セクシュアリティも含めたアイデンティティの確立、差別、児童虐待、売春、暴力、犯罪、テロリズム、ドラッグ、政治、社会貢献、HIV、宗教、などなどなどなど、グローバルでしかも日本のドラマや映画ではまずお目にかかれないディープなテーマがそれぞれいちいちがっつりつっこんで描かれている。
説得力があるかどーかの評価はもちろん人によるし、たかがTVドラマなんだから明確な結論らしきものを求めるのも酷な話だ。けど、それらのテーマを考えるきっかけになるだけでも番組で語る意味は充分あるだろう。少なくともぐりにとっては観る意味はあるドラマだった。観れてよかったと思ってます。心から。
これを観るように薦めてくれた某氏に感謝します。

あと出演者がみんな個性的で魅力的でよかったです。どの人もマイナーで日本で他の出演作を観ることはできないのが残念。こんだけ芝居うまい人たちがマイナーって、やっぱアメリカの俳優の層の厚さはスゴイのねーとゆーとこに感心もしたり。
主人公ブライアンを演じたゲイル・ハロルドはこれがきっかけで全国区になり、今月放送が始まったFOXの『Vanished』とゆードラマで主演中。こちらはエロは関係なくて(笑)クライムサスペンス。FBI捜査官役。28歳から演技を始めて、なんだかんだと苦労されたヒトらしーけど、これでもっとメジャーにいけるといーですね。てゆーかぐりはバリバリ保守派のFOXチャンネルで、つい去年までエロエロゲイドラマやってた彼がキャスティングされてるってとこが微妙に意外だったりする。
ショーゲキ的な幼児体型ヌードでぐりの脳天をかち割ってくれた(笑)ジャスティン役のランディ・ハリソンはもともと舞台俳優で、番組終了後は演劇の世界に戻っている。彼の舞台を観るために世界中からQAFファンが渡米してるほど熱狂的な人気があるそーだ。芝居ムチャクチャうまいんでこの人にもメジャーになってほしーけど、本人は今のところいっさいその気がないという。もったいねえ〜。
女性キャストではブライアンの親友リンジーを演じたテア・ギルや、ジャスティンの親友ダフネ役のマカイラ・スミスが好きだなあ。彼女たちもどっかで他の作品を観る機会があるといーなー。
この番組みてて気づいたんだけど、同性愛をテーマにした映画やドラマに出てくる女性ってみんなすっごくかっこいいんだよね。綺麗だし知的だし人間的にも強くて、並みの男なんかよりずっとクールだ。もしかしてゲイ映画やゲイドラマが女性に人気なのってそのへんが潜在的な理由だったりしてね。

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