はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

一日一首

2012年08月29日 19時45分48秒 | 日詠短歌

2012/7/30(月)
   扇風機の風を浴び続けると、良くないそうだが。

 野菜庫の取っ手を押せばアボカドに眠れる種子は遊星に似て


7/31(火)
   エレベーターやエスカレーターを使ったほうがいい人ほど、使わない不思議。

 両頬をはさむ十指のつめたさに汗が一粒膨らんで 月


8/1(水)
   葉月。柵に蔦の葉が繁る。

 落陽の泉に放る王冠よコロナビールを口呑みにして


8/2(木)
   風鈴や蝉の声は、西洋人には騒音に聞こえるのだとか。

 鉄鈴も押せない風か溶けかけのチョコレイトひとつ口に押し込む


8/3(金)
   冷たいものばかりだと胃が疲れる。分かってはいるが。

 曇りはもう落ちないだろう苦瓜の腑削ぎおとす銀の大匙
 (腑=わた)


8/4(土)
   Ah 上を見上げれば届きそうな夢ばかり
   ガラスの天井があるとも知らず
           (「ガラスの天井」 辻 仁成)

 原のなか頁を跳ばす風がある受けつづけてもう感じなくなる


8/5(日)
   こんなに雲があるのに、太陽を避けて流れるのは何故だろう。

 積雲の縁をますますくきやかに取り込む蒼い、青い天蓋