はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

「短歌研究 2012年1月号」詠草・うたう☆クラブ

2012年01月21日 19時12分43秒 | 日詠短歌

「詠草」

稲の穂はすべて東を向いて垂れ水の匂いのふと香ばしく

谷風は刈草の香を運びくる裏切るように蝉声は無く

起こされて「今は春だ」と言われればそうかと頷きそうな農道

老い果てて朝露の乗ることもなく里芋の葉の野垂れてゆくか

刈り株にゆれる二番穂三番穂また白色の軽トラが行く (☆)


「うたう☆クラブ」

ぬる濡れたガラスを滑る指先もかなしい言葉なのでしょうから

ここまでが相模の海である海の見える斜面にある俺の墓 (☆)

墓苔の匂いは指に沁みついて車窓にひとり頬杖をつく

悲しんでくれるであろう人がいるうちにと思う四十四の初夏

一度だけほんとの恋がありまして陽光発電板の黒ずみ


(☆)のついているものが、取られた歌です。

完全に季節はずれなのは、ご容赦を。
作ったのは夏だったんです。