はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

心に残った言葉

2010年01月23日 21時10分23秒 | インターミッション(論文等)

『佐々木幸綱の世界7 評論編2』(河出書房新社)より。

 現実の私は生活の中できわめて多面的な存在の仕方をしている。公的私、私的私、肉体的私、精神的私、というふうに分類するならば、私は無数の面としてとらえられるであろう。 私は、国民として、都民として税金を払わされ、学校組織内の一人として給料をもらっている。患者として歯医者に治療を受け、父親として小さな息子を風呂に入れ、教師として教壇に立ち、客として煙草を買う。空想する私、夜中に夢を見る私もいる。そのどれも私であるにはちがいないのだ。そして、これら多数の私の経験が作歌時に総動員される。
 作歌とは、こうした私の多面的様態をフォローしてゆきながら、一方で、では結局私とは何なのかという問いへ向かって、相矛盾する存在の様態の基部へと下降してゆく行いであるにちがいない。

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 歌い手である私と、歌われている〈私〉との関係についての考察。
 そして、「作歌」という行為の究極的目標について。
 最後の節は、SF風に言えば「サイコダイビング」ということだろうか?分かるようで分からない。奥が深い。