(1)歌人の肉声を聴くことが出来る
何と言っても、歴史に残る歌人の声を聴くことが出来るのが、この集成の目玉だろう。
中でも目に付くのが、北原白秋、斎藤茂吉、与謝野晶子。
ひどい話だが僕は、これらの巨人が、録音技術がある時代に生きていたとは思っても見なかった。
考えてみれば、三人とも亡くなられたのは戦中戦後である。朗読を吹き込むことが出来て何の不思議もない。
聴いてみると、正直言って「年寄りの声」だなあとは思うが、これは仕方がない。録音時は3人とも50歳を過ぎていたのだから(今ではない、戦前の50歳である)。
北原白秋は、意外に好々爺然とした印象の声。
斎藤茂吉は木訥で、時にぶっきらぼうにさえ聞こえる。
与謝野晶子の歌い方は独特で、スズメが前にととととっと歩くような、不思議な抑揚がある。
他の歌人では、岡井隆、馬場あき子、佐々木幸綱の3人は、1977年と2007年の2回に渡って録音をしている。30年を経た声の違いを比べるのもおもしろい。
若手を見ると、水原紫苑、穂村弘は、現代人らしく少し籠もった舌足らずな声だ。
同年代の俵万智の声がよく透るのは、以前高校教師だったからだろうか。
圧巻は葛原妙子で、始めはもごもごとした老人らしい歌い方に少しイライラするが、そのうちその声、抑揚が頭の芯に絡みついてくるような心地がし、呪言のようにさえ聞こえてくる。さすが「幻視の女王」と納得させられてしまう声だ。
何と言っても、歴史に残る歌人の声を聴くことが出来るのが、この集成の目玉だろう。
中でも目に付くのが、北原白秋、斎藤茂吉、与謝野晶子。
ひどい話だが僕は、これらの巨人が、録音技術がある時代に生きていたとは思っても見なかった。
考えてみれば、三人とも亡くなられたのは戦中戦後である。朗読を吹き込むことが出来て何の不思議もない。
聴いてみると、正直言って「年寄りの声」だなあとは思うが、これは仕方がない。録音時は3人とも50歳を過ぎていたのだから(今ではない、戦前の50歳である)。
北原白秋は、意外に好々爺然とした印象の声。
斎藤茂吉は木訥で、時にぶっきらぼうにさえ聞こえる。
与謝野晶子の歌い方は独特で、スズメが前にととととっと歩くような、不思議な抑揚がある。
他の歌人では、岡井隆、馬場あき子、佐々木幸綱の3人は、1977年と2007年の2回に渡って録音をしている。30年を経た声の違いを比べるのもおもしろい。
若手を見ると、水原紫苑、穂村弘は、現代人らしく少し籠もった舌足らずな声だ。
同年代の俵万智の声がよく透るのは、以前高校教師だったからだろうか。
圧巻は葛原妙子で、始めはもごもごとした老人らしい歌い方に少しイライラするが、そのうちその声、抑揚が頭の芯に絡みついてくるような心地がし、呪言のようにさえ聞こえてくる。さすが「幻視の女王」と納得させられてしまう声だ。