はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

『現代短歌朗読集成』(同朋舎メディアプラン)(2)

2008年11月21日 21時10分26秒 | インターミッション(論文等)
(1)歌人の肉声を聴くことが出来る

 何と言っても、歴史に残る歌人の声を聴くことが出来るのが、この集成の目玉だろう。
 中でも目に付くのが、北原白秋、斎藤茂吉、与謝野晶子。
 ひどい話だが僕は、これらの巨人が、録音技術がある時代に生きていたとは思っても見なかった。
 考えてみれば、三人とも亡くなられたのは戦中戦後である。朗読を吹き込むことが出来て何の不思議もない。
 聴いてみると、正直言って「年寄りの声」だなあとは思うが、これは仕方がない。録音時は3人とも50歳を過ぎていたのだから(今ではない、戦前の50歳である)。
 北原白秋は、意外に好々爺然とした印象の声。
 斎藤茂吉は木訥で、時にぶっきらぼうにさえ聞こえる。
 与謝野晶子の歌い方は独特で、スズメが前にととととっと歩くような、不思議な抑揚がある。

 他の歌人では、岡井隆、馬場あき子、佐々木幸綱の3人は、1977年と2007年の2回に渡って録音をしている。30年を経た声の違いを比べるのもおもしろい。

 若手を見ると、水原紫苑、穂村弘は、現代人らしく少し籠もった舌足らずな声だ。
 同年代の俵万智の声がよく透るのは、以前高校教師だったからだろうか。

 圧巻は葛原妙子で、始めはもごもごとした老人らしい歌い方に少しイライラするが、そのうちその声、抑揚が頭の芯に絡みついてくるような心地がし、呪言のようにさえ聞こえてくる。さすが「幻視の女王」と納得させられてしまう声だ。

『現代短歌朗読集成』(同朋舎メディアプラン)(1)

2008年11月21日 21時08分44秒 | インターミッション(論文等)
「北原白秋、斎藤茂吉、与謝野晶子から俵万智、穂村弘、水原紫苑まで」
現代短歌人52人の自作朗読を収めた、CD全4巻+歌集1冊。

----------------------------------

 『現代短歌朗読集成』(同朋舎メディアプラン 税込8,000円)が、すごく興味深い。
 どう興味深いのか。
 大まかに言って、3つのポイントが挙げられる。

(1)歌人の肉声を聴くことが出来る。
(2)歌人それぞれの朗読の構成、演出を楽しめる。
(3)録音時の時代と背景が推察できる。

 実際は、この3つの要素が混じり合い重なり合っているのだが、とりあえず一つずつ考えてみよう。