太陽光や風力、地熱など自然エネルギー電力を電力会社が買い取る固定価格買い取り制度は、2012年7月から行われているが、九州電力など5電力会社は太陽光発電事業者の新規の申請受け入れについて中断した。
表向きは、送電網の容量不足や太陽光については、安定的に電力が確保できないからとしているが、実際には、太陽光発電の事業者が急増しているためコストが嵩んでいるためと思われる。
また、これらの自然エネルギーについては、このままでいけば総電力量の20%近くに達する勢いで、当初の予測を大きく上回り、原発を基本電源として再稼働に執念を燃やす電力会社としては、これ以上、自然エネルギー拡大を抑えなければならないとする思惑が露骨に表れている感じだ。当然のこととして、政府・自民党も電力会社と共同歩調をとっていることは疑いのないところだ。
自然エネルギーの中でも、格段に作り易い太陽光発電は、事業者、家庭ともうなぎのぼりに増えている。買い取り価格も当初のキロワット42円から徐々に軽減されているが、それでもドイツなどに比べ倍の価格となっている。この価格は、結局、消費者が負担する形となり、電力料金を支払う立場の消費者としては痛しかゆしの面がある。
しかし、自然エネルギーの拡大は、原発を無くし、地球温暖化防止の上からも欠かせないし、民間の成長戦略を図るためにも極めて重要だ。
固定価格買い取り制度がスタートし、自然エネルギーへの投資は盛んになっている。分けても太陽光発電については、事業者、家庭とも格段に増えている。関連するのが、金融、不動産、建設、電機、家電、個人とすそ野は幅広い。いわば、数少ない成長戦略のフロントランナーになっている。
電力会社が、自然エネルギー電力の買取りを縮小することによって、これらの成長が腰折れになると、元も子もなくなってしまう。
政府、電力会社は、原発頼りを無くし、せっかく芽生えた自然エネルギー電力の拡大に向け、送電網に問題があれば工夫するなど受け入れ態勢を整備すべきだ。また、買い取り価格の適正化も必要になる。消費者もこれにより少々の電気料金が高くなっても、原発再稼働が抑えられるのであれば我慢する筈だ。