「先生、僕もマラソンしよかなって思てるんですよ」
らしくないことを言いだしたのはマッツン(7期生)。
場所は1階のマッツンとこの美容室、『スリー・ディグリーズ』
「なんで?」
「アキラ(12期生・某県職員)も走ってるみたいやったし、先生も福井のマラソンに出るんでしょ」
「別に自発的ポジティヴ的なひたむきさ大好き現代人最後の宗教・健康な前向きさからじゃねえよ・・・渋々や」
「森下(8期生・環境学研究)の親父さんおるでしょ。あの、ゴルフのめちゃくちゃ上手い」
森下の親父さんは、近隣のゴルフ好きなら誰でもその存在を知っているほどのゴルフ達者。
過去の東海クラシックなどでは、プロを押しのけてテレビに映るような腕前である。
「親父さんがどないした」
「やっぱり僕らとは違う、ストイックなんですよ」
「何が」
「よく見かけるんですよ。親父さん、165号の津へのバス路線を走ってるんです」
「いつ頃や」
「桜ヶ丘の家と仕事場の修理工場の間を走ってるんですよ、たぶん朝夕」
「そりゃすごいや」
「やっぱりゴルフだけやってて、あんな成績は取れないんですよ。朝夕のランニングなんかで身体を鍛えてる成果なんやなって」
「じゃあ、マッツンのマラソンって、結局はユタカの親父に勧められてゴルフをやったはいいが楽しいわりには上達せえへん。で、下手の横好きのゴルフを斜めからの自分に期待しててマラソンすんの」
「めちゃくちゃ言うな・・・いや、ゴルフもあるけど、ユタちゃん(7期生・三重銀行)もマラソンやろかなって言ってましたよ」
「なんでみんな、そんなに健康志向なんよ。ウチの塾生らしくねえよ。俺はあくまで行きがかり、ついでだよ」
「でも、福井のマラソンの後も大会に出場するんでしょ」
「するかい! これ一回きりや」
「へっ」
「だからデビュー戦が引退試合だよ」
午前0時50分、塾をスタート。
なんとか臼井自動車までは息が乱れることなく走れるようになった。
このあたりがループだ。
東桜ヶ丘の信号を右折、安息の地にそれほど後ろ髪を引かれることはなく井村屋前を通過。
165号に出る頃になるとバテバテである。
昨日ダウンした地点をフラフラになりながら通過。
菊花マラソンでは、この辺りから長い長い河川敷のはずだ。
1km先に信号が見える。
今日の目標があの信号、啓介(21期生・朝明高校3年)の家の近くのサークルKだ。
歩きたくなる欲望を堪(こら)えながら、憎たらしいアキラの親父の顔を思い浮かべる。
俺の手の中にあるペン3竹を悔しそうに見ていた顔・・・にゃはははは。
なぜか加速。
ランナーズ・ハイではない、マージャンズ・ハイだよ。
にゃはははは・・・。
3.9km地点のサークルKに到着・・・27分。
疲労困憊・・・たいしょうさんのアドバイス、早歩きは今日は無理なよう。
梨畑を壊して造成した単調な一本道を、甚ちゃんの結婚式の乾杯の音頭のサビの部分をつぶやきながら歩く。
「新郎新婦の末永いお幸せと、ご両家ならびにご列席の皆様のご多幸とご繁栄をお祈りいたしまして・・・」
ファミマで横山(4期生・花王販売)んとこのヘルシア緑茶を買って、塾に到着・・・37分。
身体をいじめてるわりには体重が減らへん。
むしろ増えとる・・・67.5kg!なんで?
あと2週間少し。
なんとか体重を62kgにすれば、ラスマイでトップとの差1万点まで迫ったてな感じ。
オーラスの親で福井のリライムでのマージャンのように逆転さ。
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