〈非武装・不戦エッセイ その6〉
「秘密」を必要とする政府はいらないということ
井上澄夫
「国家には守るべき秘密がある」とか「秘密があって当然」という主張がまるで常識のように流布している。
防衛省や外務省など政府関係者だけではなく、マスメディアにも、「特定秘密保護法案」に反対している人たちの中にさえそう語る人がいる。
しかし日本国家(この場合は具体的に日本政府のことだが)には秘密があって良いと日本国憲法に書いてあるのだろうか。
民主主義が機能するためには情報の共有が不可欠だ。情報が共有されてこそ、誰もが対等・平等の民主的な議論が成り立つからだ。
政府が情報を独占し、国民がそれを知ろうとしても、「秘密」であることを口実に公開しないのは、その政府が民主的でない、主権在民原理を踏みにじる違憲集団であるということだ。
私は政府にはいかなる「秘密」もあってはならないと思う。「秘密」をもたない政府は理想ではなく、民主主義を実現する上であたりまえのことだ。
だから私は、「秘密」をもちそれを国民から隠さないと維持できない政府はあってはならないと考える。
それが私が「特定秘密保護法案」に反対する、そもそもの理由である。
2013・10・31
いのうえ・すみお 米空軍嘉手納飛行場・一坪反戦地主
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