まりっぺのお気楽読書

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『猫』文豪とお猫さま

2011-03-22 23:27:56 | 日本の作家

クラフト・エヴィング商會

日本文学会・芸術界における錚々たるメンバーが、自分ちの猫を自慢している一冊です。

ものすごい偏見ですが、猫を飼ってその様子を愛おしそうに眺めるその姿を思い浮かべると
破滅型も多かったような気がする過去の作家たちの中にあって
ここに登場する方々は “ 善き家庭人 ” だったのかしら、などと思えてきます。
本当のところはわかりませんけどね。

登場する作家・芸術家および猫たちは

『崩壊』の有馬頼義の家の、勘平とお軽、主役は腹切りをしたお軽です。
洋画家・猪熊弦一郎の家の、疎開先に連れて行ったみっちゃんとタヌ子。
『黒い雨』の井伏鱒二の家の、蛇と戦うたくましい母猫と子猫。
『鞍馬天狗』の大佛次郎の家の、“ 隅の隠居 ” と呼ばれたミミ。
翻訳家・尾高京子の家の、アメリカからやって来たキティとパティ。
評論家・坂西志保の家の、下水に落ちていたポツダム。
小説家・俳人の瀧井孝作の家にいつもやってくるチータと玉。
『細雪』の谷崎潤一郎の猫論3篇。
『二十四の瞳』の壺井榮の家の、虎模様のユキと多産系のトミ。
猫嫌いの随筆家・寺田寅彦が飼い始めた三毛とたま。
詩人・柳田國男の野良猫論と猫だらけの島に関する論文。

最後に可愛い黒猫が登場する詩がついています。

名前については、たまとかシロとか三毛とか、安易なようですが
実はよ~く考えてつけられているんですよ

皆さん餌と出産については言いたいことがあるようで、よく登場したエピソードでした。
村上春樹さんが自分の猫の出産(膝に寄っかかり腹を上に向けて産む)は
変わっているとエッセイで書いていましたが、どうやら家猫は多いパターンみたいですね。
産み方はどうであれ、新しい生命がこの世に出てくる瞬間を目にしたら
とても印象深いものでしょうね。

餌については “ なんでも食う ” から “ いいものしか食べない ” までありましたが
やはり有名な方々なので “ いいもの ” の割合が多かったような気がします。

好きだったのは猫嫌いの寺田寅彦さんの話し。
妻と娘たちにせがまれて飼い始めてみたら、愛らしくなってきて
(本人曰く)人間に対して懐く事のできない純粋で温かい愛情を感ずるようになったこと。

猫を飼う事を反対されている皆さん、無理くり飼ってみるしかありませんね。

人も貧しい時に疎開先に猫を連れて行く気持や、せがまれて夜の散歩に付き合う気持は
痛いほどわかります。

中には自慢たらたらな部分も垣間見え、ちょっと鼻白むところもありました。
銀座の三愛や魚河岸でお魚を買って帰らないと怒ったり、舶来品が好きとか…
谷崎潤一郎さんに至っては、日本の猫が嫌いだから飼っている6匹が外国の猫、ってあたり。
当時としてはたいそう贅沢なことだったのでは?

ともあれ、誰が書いても猫のことだと心がほのぼのしますね。
“ 猫好きに悪人なし ” という格言を作ってしまおうかと思う一冊でした。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (エリア55)
2011-03-23 20:35:46
“ 猫好きに悪人なし ” っていい格言です!^^
是非普及させましょう^m^
返信する
こんばんわ (まりっぺ)
2011-03-26 20:11:10
こんばんわ
いつもコメントありがとうございます。

計画停電とかがあってパソコンのスイッチを入れるのが億劫になってまして、ご返事が遅れてすみません。

エリア55さんのブログにはコメントがたくさんあるのにちゃんとお返事を書いていらしゃるのに…お恥ずかしいしだいです

猫好きに悪人なし…気に入っていただけたら嬉しいです
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