まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『最終目的地』それぞれの楽園を求めて

2010-02-25 23:20:52 | アメリカの作家
THE CITY OF YOUR FINAL DESTINATION 
2002年 ピーター・キャメロン

未知の人物が突然現れたことで、それまで平穏に暮らしていた人々の本心が表れて
人生が変わる…というのは、すごくありがちな物語です。

『最終目的地』はそんな小説です。そしてものすごく面白い!!

あらすじは書きませんけど登場人物を書いときますね。
それで彼らの人生がどう変わったか想像してみて

ユルス・グントは3年前にピストル自殺した作家です。
出版した本は20年前に書いた『ゴンドラ』1冊だけでした。

アーデン・ラングトンは、ユルス・グントの愛人だった人です。
穏やかで謙虚で母性に溢れ、家事や農園の世話をしています。

キャロライン・グントはユルスの妻、辛辣でマイペースな女性です。
画家をあきらめ、部屋にこもって模写ばかりしています。

ポーシャはユルスとアーデンの8歳になる娘で
修道院付属の学校に通っていてお祈りと聖人が大好きです。

三人はウルグアイの人里離れたオチョス・リオスで暮らしています。
そこは、ナチスを逃れたユルスの両親たちが手に入れた土地でした。

近所の製粉所にはユルスの兄アダムが暮らしています。
ダンディでお洒落で、人を傷つけることしか言わないインテリ老人です。

アダムと一緒に暮らしているのは恋人のピートで
バンコク生まれの美しい青年です。

ユルスの遺言執行人である、アダム、キャロライン、アーデンに
彼の伝記が書きたいと手紙をよこしたのがオマー・ラザキという大学の研究生。
優しげで誠実そうな、少し気の弱い青年です。

伝記の執筆に承認を与えなかったキャロラインとアーデンでしたが
奨学金のために、どうしても伝記を書かなければならなかった彼は
恋人の叱責を受けてはるばるカンザスからやってきました。

もう オマーの登場で何かが変わりそうでしょ?
それは女三人が暮らす家の方? 男ふたりが暮らす製粉所かしら?

ある日ピートの手伝いをしていたオマーは蜂に刺されてアレルギーを発症し
意識不明に陥りました。

やって来たのはオマーの恋人ディアドラ・マッカーサー。
彼女は実際的で有能な教師で、オマーに厳しい言葉と指示ばかり与えています。
でもオマーを本気で愛しているんです。

この人の登場も捨て置けないですよねっ。

とにかく、ディアドラ以外は行動しない人ばかりの物語で
南国の気だるさの中、ゆるゆる~と日々が過ぎて行ってます。

アクティブなディアドラは嫌われ者に思えるかも…
でも彼女が一番の功労者かもしれません。

停滞していたウルグアイの人々には、確実に変化がおこります。
語られなかった秘密が打ち明けられて、見せていなかった感情を露にして
皆の中に小さな波風が立ち始めます。
誰がどうしてどうなるの? そして伝記は?

ウルグアイという国の希薄なイメージからくる神秘性に加えて
イヤみの無い文章、イヤみだらけの巧みなセリフが心地よく
最後までダレること無しに読めた気がします。
あらすじは… 途中でほんとに想像ついちゃいますから

最終目的地  新潮社


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