まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

イギリス王ウィリアム4世妃 アデレイド

2008-11-24 18:18:31 | イングランド王妃・王女
慈愛に生きた哀しみの王妃
ウィリアム4世妃 アデレイド・オブ・サクス=マイニンゲン


1793~1849/在位 1830~1837

ジョージ3世の三男ウィリアム4世が王位についたのは、なんと65歳。
長男ジョージ4世はキャロラインと不幸な結婚を送り、なんとか娘一人を残しましたが
次男ヨーク公、三男ウィリアム、四男ケント公は揃いも揃って結婚せず
王家には後継者の心配が募ってきます。

ウィリアムは20年に渡ってジョーダン夫人という女優と夫婦同然の暮らしをして
10人もの子供をもうけています。

ウィリアムは46歳でジョーダン夫人と別れますが
一説にはこの頃から王位を意識し始めたのでは?と言われています。
それから6年後、ジョージ4世の一人娘シャーロットが死亡すると
次は次男ヨーク公、その後はウィリアムという王位継承が現実味を帯びてきて
議会はウィリアムの結婚を急ぎます。
なにしろ10人の庶子がいるんですからね 期待がかかります。

そこで選ばれたのがサクス・コバーク・マイニンゲン公女アデレイドでした。
アデレイド26歳、当時としてはかなり遅い結婚です。
美しい人なのになぜかしら? かなりおとなしくてパーティー嫌いだったようですが
それが原因でしょうか?

ウィリアムは53歳、二人はボンド・ストリートのホテルで1度会っただけで
その1週間後に結婚しますが、ハノーヴァーで始まった新婚生活は幸せなものでした。

同じ年(1818年)ウィリアムの弟ケント公エドワードも
27年間関係が続いていたサン・ローラン夫人と別れて
ライニンゲン大公未亡人ヴィクトリア・メアリーと結婚しています。
これも世継ぎを考えてのことでした。

     

(しかしなんですね、この家系図見るとサクス・コバーク=ゴータ家は
 英国王室を “ とりに ” きてますよね!!)

アデレイドは何度か身ごもりますが
いずれの子供たちも生き延びることができませんでした。
長女シャーロットはアデレイドが肋膜炎にかかったため早産で産まれますが
その日のうちに死亡し、イングランドで産まれた次女エリザベスは腸炎で4ヶ月で死亡。
その後身ごもった双子の王子は死産でした。

そんな彼女を尻目にヴィクトリア(後の女王)を産んでいたヴィクトリア・メアリーは
いけしゃあしゃあとウィリアムのもとへ娘の相続人の認証をうけようと
挨拶に訪れています。 やな女っすね!
王は終生ヴィクトリア・メアリーと敵対します。

とはいえ、アデレイドはジョーダン夫人が産んだ子たちや
姪のヴィクトリアに愛を注ぎ哀しみを紛らわせていたようです。
ヴィクトリア女王は、アデレイドの優しさを忘れることはなく
長女の名をヴィクトリア・アデレイドと名付けました。

アデレイドは敬虔深さ、しとやかさ、慎み深さに加え
子供を亡くした悲劇的なエピソードから、英国民に愛されていました。
慈しみも深く、彼女の収入の大部分は慈善に施されていました。

しかし中には宮廷が面白くなくなったとお嘆きの方々もいたようです。
パーティーも少なくなったようだし、アデレイドが素行や品行が疑わしい婦人を
宮廷に招かなかったことを「気取り屋」と言った人もいました。

そうですねぇ…
当時の貴族ってパーティーとか謁見以外に仕事なさそうだしねぇ
「お城で王と王妃に会って来たけどさあ…」ていうのが話題の中心みたいなものですもんね。
奥様たちはドレスを新調したり見せびらかしたりする場が減っちゃうしね

アデレイドはウィリアム4世が死に瀕した時、10日以上ベッドの側を離れず
自分の寝室にも戻らないで献身的に看病しました。

アデレイドは王の死から12年後に静かに亡くなります。
親しい人だけを招いた、できるだけ質素で静かな葬儀にしてほしいと書き遺していましたが
皆に愛された王妃の葬儀ですから実際はどうだったのでしょうね?

(参考文献 森譲氏『英国王室史話』 Wikipedia英語版)

これさえあれば、あなたも英国王室通
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね

  

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1 コメント

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ウィリアム4世の子孫に意外な人物が (マリアンヌ)
2009-12-21 20:26:35
まりっぺ様、こんばんは、初めまして。

貴女のサイト、偶然に発見致しました。しかも、系図に興味があられる、という事で、なんとなく見入ってしまいました。
実は私もヨーロッパ王室の系図に大変興味を持っているのです。若い頃、系図作成に2,3年熱中した事がございます。その頃作った系図、今でも大切にしております。
さて、タイトルの話なんですが、ウィリアム4世の愛妾、ドロテア・ジョーダンがウィリアム4世との間に儲けた子供の子孫が、イギリスの現保守党党首、デービッド・キャメロン氏である事、ご存知でしょうか?キャメロン党首、つまりはエリザベス女王の親戚だ、という事です。イケメンでかつ英国王の血筋を引いている、という全てを持ち合わせている、そういう政治家なんですよ。私は、これを日本経済新聞で偶然に知って、次期英国首相と言われるキャメロン氏に大変注目しているんです。
まりっぺ様は以下の系図サイト、ご存知ですか?これでウィリアム4世を検索して下に辿っていくと、キャメロン氏に辿り着くんです。
http://www.geneall.net/U/tit_page.php?id=7410
以上のサイトですよ。

これから宜しくお願いします。

私は、今は亡き森護さんのファンでもあります。森さんの本はほとんど持っています。森さんは本当に偉大な方だったですね。英王室、引いては欧州王室について日本人が知らない側面を、森さんほど詳しく語ってくれる人が今ではいなくなりましたね。残念です。
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