まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『クレーヴの奥方 他2篇』微妙に実話っぽい・・・

2008-11-02 02:32:34 | フランスの作家
LA PRINCESSE DE CLEVES 
1678年 マリー・マドレーヌ・ド・ラファイエット夫人

さすがラテン系! 恋愛万歳!!って感じでしょうかね?

『クレーヴの奥方』はフランス王アンリ2世の宮廷を舞台にした
一人の美しい貴婦人と三人の青年貴族の恋の物語です。

作者のラファイエット夫人という方は自身も伯爵夫人であり
また、登場人物の多くが実在した人物でもあるので“実話?” と思っちゃいますが
主人公二人は架空の人物らしいので、一応フィクションであろうと思います。

例えば、物語の中でカトリーヌ・ド・メディシスのことを
「あのように美しい方が・・・」という台詞があるんですが
それが事実だとすると、今まで私が読んできた本の中のカトリーヌ像とは違ってるのよね
それ以外にもと思えるエピソードがいくつかあるのですが
逆に史実に忠実なものも多々あって、どこまでが真実なのか分かりかねます。

母に言われるままクレーヴ殿と結婚した奥方が、結婚後に本当の愛を知り
悩み抜くという話しです。
彼女はヌムール公を愛しながらも、貞淑な妻でいようと誓い
最後までその誓いを守り抜きます。

一方、相手の男性ヌムール公は奥方を恋いこがれるあまり
せっかくうまくいきそうだったエリザベス1世との縁談はフイにするし
他方、旦那のクレーヴ公は妻が浮気したと思い込んで重病になって命を落とすし
もう、みんな愛にまっしぐら

他の登場人物も話す事ってほとんど自分の恋愛話か、人の恋愛スキャンダルだし
相手が結婚してようがまったく気にしてないし(一応隠すけど)
愛こそ全てな国民性は嘘じゃないんだね!という感じです。

一緒に収められている『モンパンシェ公爵夫人』と『タンド侯爵夫人』も
宮廷を舞台にした、人妻と青年貴族の悲恋物語ですが
たぶん、戦争でもなきゃ他にやることがなかったんでしょうね?
中世時代の王侯貴族って。

貴族の方々が宮廷内に寝泊まりしてたっていうのは聞いた事がありますけど
(ヴェルサイユ以前もそうだったんですね)早朝深夜問わず
他人の寝室にまでずんずん面会に行くってどうでしょう?
寝間着姿だとか、ベットで横になってる人妻に会いに行っちゃうっていうのは
(しかも密会じゃないのよ、訪問なの)普通のことだったんでしょうか?

かと思うと時間によって訪問する人が決まってたり、王妃、皇太子妃、寵姫の
誰に取り入る(毎晩訪ねる)かが将来の分かれ目だったり、宮廷って大変そうねぇ

奥様方が結婚後に恋愛をしたって仕方ないんじゃないかな?
だって、恋も知らずに15歳前後でお嫁に行かされちゃうんだもの。
当代きっての美男子や伊達者がひしめく宮廷で、恋の相手を見つけてしまって
ひとしきり恋愛に溺れてしまうというのは・・・
ある意味自然なことなんじゃないかとさえ思ってしまいます。

おしゃべりと晩餐会以外にやることを見つけたら良かったのかな?
庶民の私にはよく分かりませんわ。

クレーヴの奥方 他2篇 岩波書店


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4 コメント

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こういう本が出ているんですよ (マリアンヌ)
2010-04-26 20:54:33
まりっぺ様、こんばんわ。

さて、このラファイエット夫人の「クレーヴの奥方」のモデルはアンヌ・デステ、あのチェーザレ・ボルジアの妹ルクレツィア・ボルジアの孫がモデルと言われていますよね?
このアンヌ・デステは2度結婚していて、いずれもが子孫を残している、という案外重要人物ですよね?
一度目の結婚はフランソワ・ド・ロレーヌと結婚してその子供が有名なギース公となるんだし、2度目の結婚はヌムール公ジャック・ド・サヴォワで、この子孫はずーっと下って今のイギリス王室のマイケルケント公妃マリー・クリスティーヌとなります。
ところで、この「クレーヴの奥方」に関して以下の本が出ている事、ご存知ですか?
http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-88202-358-6.html
非常に面白いですよ。
実は、今から15年程前、何気なく一面の新聞広告を見ていたら目に飛び込んできた本の題名だったのです。非常に詳細な解説となっています。岩波文庫のあの薄さからは想像できない程の内容でした。
16世紀のフランスのヴァロア宮廷の伺い知る事の出来た貴重な本でした。
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ぜんぜん知りませんでした (まりっぺ)
2010-04-26 22:55:04
マリアンヌさん、こんばんわ。

私はこの物語にモデルがいるかどうかも知らず、アンリ3世が結婚しようとしたコンデ公妃マリー・ド・クレーヴがモデルかしらん?などと思っていたぐらいです。

でもアンヌ・デステは興味深い人ですね?
家系図的にも込み入って素敵になりそうです。
そんなわけでご紹介いただいた本を、今アマゾンで買っちゃいました

いつも教えていただいてありがとうございます。
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Unknown (ピンクちゃん)
2010-05-15 19:16:40
クレーブ夫人はヌムール公の愛が冷めることを異常なまでに恐れていますがこれは特異な心理状態だと思います。ギリシャ神話のカッサンドラの悲劇を彷彿とさせます。
 それはともかく、奥方はプライドが高く、自己愛が強かったのだと思います。そのため自分の評判を落とすのは何としても避けたかったものと思われます。奥方が夫の死後にヌムール公にようやく自分の恋心を打ち明けた時、「なんだかあなたを好きなためにというより、自分をいとおしむ気持で言っているような気さえしてなりません。」というセリフから奥方が自分の自意識の強さに薄々気づいていることがうかがえます。また、恋と言っても一方通行のままの状態にとどめておきたがる原因は根深い男性不信だと思います。彼女は「男の方の恋などといういうものはいつまでも続くものでしょうか。」と懐疑心を露にします。その上、あんなにも自分を愛してくれた夫のことも「あたくしのほうに愛情がないと思ったから、そういう恋の気持をいつまでも持ち続けていたのだろう」と片付けてしまいます。彼女は厭世的、悲観的なために本質的に恋愛不可能な女性だとわたしは思います。ヌムール公その人への興味よりも自分の心理状態の制御に意識を集中させているあたりからして彼女は結局恋に恋していたのかもしれません。
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こんばんわ (まりっぺ)
2010-05-16 01:00:26
ピンクちゃん様、こんばんわ

コメントありがとうございます。
物語を深く読みこんでいらっしゃるようですね。
私は完全に娯楽なのでお恥ずかしい次第です。

確かに若く美しい女性特有の自惚れや自己満足は見え隠れしていますね。
でも、奥方に限らず当時の王侯貴族の子女たちの結婚から考えると、十代であまり知らない相手に嫁がされ、その後本当の恋(と思われるもの)を知って愕然とすることは多々あったのではないかなと思います。
奥方と言っても、今の女子高生ぐらいの年ですものね。
その上カトリック教育による背徳への怖れや、家柄や名誉重視の環境で育ってきた背景などを考えると、理性と本能の間で懊悩する彼女たちを一概に恋愛不可能だと決めつけるのは少し酷なことかもしれないですね。

いろいろな見方があるんだな、と勉強になりました。


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