事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

ドッペルゲンガーな映画

2008-08-23 | ドッペルゲンガー

Macarthurpeck  実在の人物を演ずるには、一種の覚悟が必要だろう。仕草や表情を研究するだけでなく、そのモデルをどう評価するのかが、確実に演技に影響するだろうし。俳優の力量が試される場だ。まあ、山本薩夫の政治映画のように単にドッペルなそっくりさんショーでかまわない、とするならそれもまた一手なのだろうが。

マッカーサー」MacArthur (‘77 米)
監督:ジョセフ・サージェント 主演:グレゴリー・ペック
あの大元帥が早逃げマックと呼ばれていたり、大統領候補になっていたことは初めて知った。国民的人気の背景にあったものが宣伝のうまさや目立ちたがり屋の本性、そして天才的なスピーチにあったことは納得。コクがないのが惜しい。トルーマンとの不仲の背景がもうちょっとうまく出せていれば。グレゴリー・ペックは大健闘だと思う。

マッカーサーにとって日本はどんな存在だったんだろう☆☆★★★

A1970marisaberensonホワイトハンター ブラックハート」White Hunter Black Heart(‘90 米)
製作、監督、主演:クリント・イーストウッド 
イーストウッドがどう動こうと、そこに映画が生まれている。彼が狂気の映画監督ジョン・ヒューストンを演ずる体裁。特徴をうまくつかんではいるが、イーストウッドはイーストウッドにしか見えないあたりがおかしい。

キャサリン・ヘップバーンを演じたマリサ・ベレンソンが綺麗!☆☆☆★★★

小説吉田学校」(‘83 東宝)
原作:戸川猪佐武 監督:森谷司郎 主演:森繁久彌
そっくりさん政治家シリーズ。吉田茂の森繁は当然としても(似てるもんなあ)、田中角栄の西郷輝彦は意外にはまっている。あの池田勇人は高橋悦史が気持ちよさそうに演じていて結構。中曽根康弘が勝野洋ってのはどうなの?

東宝の政治映画といえば、佐藤栄作が神田隆だったなあ。久米明は誰だっけ?☆☆☆

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許容する美女たち

2008-08-23 | 邦画

Midaregumo  ハリウッドのメジャー映画から喫煙シーンは次第に消えている。あの国の現状を考えれば無理のない話。おかげで昔の映画を観ると「おー吸ってる吸ってる」とそんなシーンが特異に思えるほどだ。

 同じ種類のことが日本の古い映画にも言えて、なにより驚かされるのが日本の男の亭主関白ぶり。会社から帰るといきなり背広を脱ぎ始め、背中で妻の繰り言を聞く。そんなとき奥さんは旦那の後ろに自然に控え、背広を衣紋掛け(ハンガーじゃないぞ)に通し、「お風呂を先になさいます?」と“敬語”で話しかけたりするのだ。びっくり。

「なんか、いいなあ」とうっかり妻の前でつぶやいてしまったわたしが馬鹿だった。
「ヒロシさんは、こういうのがうらやましいの?こんなご亭主になりたかったの?」
奥さん、ことばに怒気があります(T_T)

今回は、そんな夢の時代の三本。

乱れ雲」(‘67 東宝)
監督:成瀬巳喜男 音楽:武満徹 主演:司葉子、加山雄三、浜美枝
幸福の絶頂にいた人妻が交通事故で夫を失い、その加害者である若者と……。あの司葉子がとても色っぽいことだけでも驚き。成瀬のマジックなんだろうか。森光子と加東大介の愛人関係も艶っぽくていい。適当に荒れてるのね。大人向けの昼メロ。

これが成瀬の最後の作品になった☆☆☆☆

人間の條件」(‘59 松竹)
監督:小林正樹 出演:仲代達矢、新珠三千代、山村聰
く、暗ぁい。陰鬱映画好きの妻でさえ二の足を踏んでいるぐらいだからたいしたものだ。それにしても新珠三千代の若いころの美しさは比類がない。

娼館の女主人にして現役の娼婦を演ずる淡島千景も妖艶☆☆☆★★

24tanin女の中にいる他人」(‘66 東宝)
監督:成瀬巳喜男 出演:小林桂樹、新珠三千代、三橋達也
60年代までの男たちって、実はすごく幸せだったのではないだろうか。自分ひとりが深刻ぶり、女はそれをことごとく許容している。それにしても新珠三千代って綺麗。「細うで繁盛記」以前の彼女を、もっとチェックしてみよう。少なくとも、彼女の声の美しさはもっと語られるべきだ。

美しく、貞淑であるがゆえに怖い人妻。くわばらくわばら☆☆☆★★★

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「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」リリー・フランキー著 扶桑社刊

2008-08-23 | 事務職員部報

2005_6 おしぼりで手足を拭いて、手のひらをマッサージしていると、オカンがなにか言いたそうに、口をパクパク動かしている。
「………………」
「なに?どうしたん?」
「………………」
オカンの口元を注意深く見て言葉を探った。
「ありがとうって、言いよるん?」
オカンは小さくうなずいた。

ベストセラー街道驀進。あのリリー・フランキーの、しかも長編小説が売れる時代だなんてどうなってんだ。ナンシー関亡きあと、彼女のレベルぐらいに活字で笑わせてくれるフォロワーを探していたが、学校事務職員出身の小田嶋隆はさぼり気味。西原理恵子はある事件にまきこまれて鬱病状態。ここはやはり、ぶっちぎりでリリーが先行か。

そんな男が自分の家族と本気で向き合った小説が「東京タワー」。筑豊から東京に出てきた青年の半生記。平成の「青春の門」的自伝だ。とにかく泣かせる。夜半に読み始め、母親が亡くなって葬儀社のクルマで遺体を運ぶ場面、昔住んでいた家をまわってくれと運転手に頼むあたりから、この春に自分の母親が死んだときにも似たようなことがあったと思い返して涙がとまらなくなった。枕元においたシャツで鼻水をふきながら読んでいたらもうグショグショ。妻に見つからないようにゴミ箱に捨てたのに、いきなり発見されて叱られた。いい歳してティッシュ使えよオレも。     

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