DAISPO WORLD BOXING EXPRESS

今年もやってるやってる~

三代、強豪を退けV2(OPBFスーパーフェザー級)

2019年03月31日 00時40分02秒 | 世界ボクシング
先週27日・水曜日、後楽園ホールで行われた試合結果です。
OPBF(東洋太平洋)スーパーフェザー級戦:
王者三代 大訓(ワタナベ)判定3対0(117-111、116-112、115-113)挑戦者渡邉 卓也(青木)

*昨年6月、プロ僅か6戦目で同王座を獲得した三代。10月には日本王者末吉 大(帝拳)との日本国内最強決定戦を行いましたがその時は引き分け。今回はキャリアで5倍以上の渡邉を迎え再起を図りました。

ここまでの44戦、日本国内外で非常に充実したキャリアを築いてきた挑戦者。日本国外ではタイのリングで4試合、韓国で3試合、香港で4試合、そして中国本土、台湾でそれぞれ一試合行ってきました。そしてこれまでにWBCユース・ライト級、IBFアジア・フェザー級、WBOアジア太平洋スーパーフェザー級(2度)、そしてOPBFシルバー・スーパーフェザー級王座を順次獲得。その間、35勝(20KO)9敗(ゼロKO負け)1引き分けという素晴らしい戦績を築き上げてきました。まさに三代にとって進化を問われる一戦、渡邉にとっては世界を狙うために落とせない戦いをなりました。

試合の方も両者が激しいペース争いを展開。最終的にはジャブの王者か、ボディーの挑戦者かに分けれましたが、よりジャッジに好印象を与えた三代が勝利。苦しみながらも強豪を退け、王座の防衛に成功しています。

短いキャリアの中で、強豪相手に生き残る事が出来た三代。世界挑戦は勿論、ジムの大先輩、元WBA王者内山 高志の歩んだ道に追いつくにはまだまだ長い時間、キャリア作りが必要なようです。
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今週末の試合予定

2019年03月30日 00時26分33秒 | 世界ボクシング
2019年3月最終週末の試合予定です。

30日 土曜日
米国・ペンシルバニア州
WBCライトヘビー級戦:
王者アレクサンデル ゴズディク(ウクライナ)対 挑戦者ドウドウ ヌグンブ(コンゴ)

IBFウェルター級挑戦者決定戦:
クドラティーリョ アブドカクロフ(ウズベキスタン)対 小原 佳太(三迫)

米国・カリフォルニア州
WBOライトフライ級戦:
王者アンヘル アコスタ(プエルトリコ)対 挑戦者ガニガン ロペス(メキシコ)


31日 日曜日
横浜・大さん橋ホール
OPBF(東洋太平洋)ミニマム級戦:
王者小浦 翼(E&Jカシアス)対 挑戦者リト ダンテ(比)


4月5日 金曜日
エディオンアリーナ大阪・第2競技場
スーパーバンタム級8回戦:
辰吉 寿以輝(大阪帝拳)対 松浦 大地(ワタナベ)
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また延期に(色々:03‐29‐19)

2019年03月29日 00時38分08秒 | 世界ボクシング
最近(2019年3月29日ごろ)のニュースです。

1)本来なら今月1日にタイで行われる予定だったWBCミニマム級戦、王者ワンヘン メナヨーシン(タイ)対 挑戦者福原 辰弥(本田フィットネス)。この試合は現地間の今日に日時を変更し行われる予定でした。しかしまた日程に変更があり、来月25日にタイで決行される模様です。

2)日本人史上初の世界4階級制覇を目指している井岡 一翔。埼玉県の大貴ジムに移籍し、日本国内でのリング復帰を目指していくそうです。

3)スーパーウェルター級のIBFとWBAスーパー王座の2つのベルトを保持しているジャレッド ハード(米)。5月11日にIBFの指名挑戦者であるジュリアン ウィリアムス(米)を相手に、IBF王座の4度目、WBA王座の2度目の防衛戦を行います。

4)その一週間後に英国で行わえるシェファ イスフィ(セルビア)対ビリー ジョー ソーンダース(英)戦は、WBOスーパーミドル級の暫定王座決定戦として行われます。

5)先日25日、元IBF/WBAスーパーライト級、WBAウェルター級王者レイモント ピーターソン(米)と元IBFスーパーライト級王者セルゲイ リピネッツ(カザフスタン)が10回戦で対戦。リピネッツが10回TKO勝利を収めています。ピーターソンはこの試合後に、現役からの引退を表明しています。

6)引退と言えば先日、元IBFスーパーミドル級王座を9度守った経験を誇るルシアン ブテ(ルーマニア/カナダ)も現役から退くことを表明しています。IBF王者時代には無敵を誇ったブテでしたが、2012年5月にカール フロッチ(英)を相手に意外な打たれ脆さを暴露し、世界王座から決別。その後スーパーミドル級とライトヘビー級の強豪たちと拳を交えていきましたが結果を残せず。最終戦から2年、ようやく引退に踏み切ったようです。
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川島、番狂わせならず(WBOアジア太平洋スーパーバンタム級)

2019年03月28日 00時03分08秒 | 世界ボクシング
先日25日・月曜日、比国で行われた試合結果です。
WBOアジア太平洋スーパーバンタム級戦:
王者ファン ミゲル エロルデ(比)判定3対0(117-111x2、115-113)挑戦者川島 翔平(真正)

*今回が2度目のタイトル挑戦となった川島。1度目は2016年10月、敵地メキシコに乗り込んで元スーパーフライ級王者クリスチャン ミハレス(メキシコ)が保持していたWBCフェザー級シルバー王座に挑戦。敗れたとはいえ歴戦の雄ミハレス相手に12ラウンドを戦い抜いた川島。出された判定も3人のジャッジ揃って115対113でメキシカンを支持するという非常に競ったものでした。

2年半ぶりに2度目のタイトル挑戦の機会を得た川島。今回も前回同様に敵地での挑戦となりました。川島が挑戦したのは現在、WBO同級2位にランキングされるエロルデ。ここまでの戦績も27勝(15KO)1敗と素晴らしいレコードの持ち主。そんな強豪相手に川島は、ミハレス戦同様に臆することなく立ち向かっていきます。しかし今回も前回の挑戦同様一歩及ばず。タイトル奪取なりませんでした。

試合後の戦績を17勝3敗2引き分けとした川島。17勝の内KO/TKO勝利が僅か4というのも、これまでタイトルに無縁という事に関係があるでしょうね。ただ日本国内にも強豪選手が集中しているスーパーバンタム級戦線。今回の世界ランカー相手に喫した敗戦は、決してマイナスにはならないのではないでしょうか。昨年師走に27歳の誕生日を迎えたばかりの川島。今後の奮起に期待しましょう。
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バンタム級(03‐27‐19)

2019年03月27日 03時27分46秒 | ボクシングネタ、その他雑談
現在同級史上最強の座を争うトーナメントが開催中のバンタム級世界戦線。2019年3月27日現在のバンタム級王者たちは下記のようになります。

WBA(スーパー):ノニト ドネア(比/防衛回数0)
WBA(レギュラー):井上 尚弥(大橋/1)
WBC:ノルディ ウーバーリ(仏/0)
WBC(暫定):井上 拓真(大橋/0)
IBF:エマヌエル ロドリゲス(プエルトリコ/1)
WBO:ゾラニ テテ(南ア/3)
OPBF(東洋太平洋):栗原 慶太(一力/0)
日本:斎藤 祐太(花形/0)
日本(暫定):木村 隼人(ワタナベ/0)

*王者の数がベルトの数に比べ多い現在のバンタム級ですが、数ヶ月後には減少する予定です。まずは4月18日、後楽園ホールで日本王座の統一戦が行われます。特に昨年前半、試合が決まっては中止が相次いだ同タイトル戦。秋口に齋藤がようやくタイトルを獲得したと思ったら、自身の負傷で初防衛戦は延期に。齋藤が休養中に暫定王座を獲得していた木村との対戦がようやく実現します。来月行われる一戦では明白な試合結果が出てほしいものです。

世界タイトルに目を向けると、まず来月末27日に米国・ルイジアナ州で、ドネアとテテがお互いのベルトを賭けて対戦。この試合のカギは、ドネアに以前のスピードが残っているかどうかでしょう。この試合の勝者が、5月18日に英国で行われる尚弥とロドリゲス戦の勝者とトーナメントの決勝戦で対戦します。尚弥が優勝候補筆頭でしょうが、決勝を含めた全3試合、どの試合も好試合が期待できそうです。

兄に続いて暫定ながらもようやく世界のベルトを腰に巻くことに成功した拓真。ウーバーリは強敵ですが、是非とも暫定の二文字を返上し、兄弟で同級の王座を独占して貰いたいですね。


もう6年前になりますが、前回行った2013年2月11日当時のバンタム級王者たちは次のようになります。防衛回数は当時のものとなります。

WBA(スーパー):アンセルモ モレノ(パナマ/防衛回数10)
WBA(レギュラー):亀田 興毅(亀田/5)
WBC:山中 慎介(帝拳/2)
IBF:レオ サンタ クルス(メキシコ/3)
WBO:プンルアン ソーシンユー(タイ/0)
OPBF(東洋太平洋):ロリー 松下(カシミ/比/3)
日本:空位


もう10年以上前になりますが、2008年8月20日のバンタム級王者の顔ぶれは下記のようになります。

WBA:アンセルモ モレノ(パナマ)
WBC:長谷川 穂積(真正)
IBF:ジョセフ アグベコ(ガーナ)
WBO:ジェリー ぺニャロサ(比)
OPBF:ロリー 松下(カシミ/比)
日本:大場 浩平(大一スペースK)

*この10年のバンタム級を見てみると、長谷川、山中の王朝が続いて井上兄弟がそれを受け継いでいく。まさに日本ボクシング界の中核を成していると言っていいでしょう。しばらくは井上政権が続くと予想されますが、誰がそれに続くかにも興味が持たれます。

長谷川の対抗王者だったアグべコがまだまだ頑張っているというのは驚きです。アグベコは先日22日に39歳の誕生日を迎えたばかり。2011年に2度目のIBF王座を手放した後、少々試合間隔が空いた期間がありましたが、ここ数年は定期的に実戦を行っています。来月19日には昨年獲得したWBOのアフリカ王座の防衛戦を予定しています。
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エドワーズ、完封防衛に成功(WBCフライ級)

2019年03月26日 00時07分03秒 | 世界ボクシング
先週末23日・土曜日、英国で行われた試合結果です。
WBCフライ級戦:
王者チャールズ エドワーズ(英)判定3対0(120-107x3)挑戦者アンヘル モレノ(スペイン)

*クリストファー ロサレス(ニカラグア)が昨年4月に日本から持ち去った同ベルトは昨年末、大西洋を渡りエドワーズの腰に巻かれました。今回が初防衛戦となった英国人。ランキング下位のスペイン人からダウンを奪った末に超大差の判定勝利。無難な初防衛に成功しました。

同日、メキシコでエドワーズへの挑戦権を賭けた一戦が行われています。その試合ではランキング2位のフリオ セサール マルティネス(メキシコ)が、エドワーズの同胞で1位のアンドリュー セルビーを5回でKOしています。ちなみに現在のWBCフライ級ランキングを見てみると、日本王者の中谷 潤人(MT)が4位にランクインしています。
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ヘビー級色々(色々:03‐25‐19)

2019年03月25日 00時33分27秒 | 世界ボクシング
最近(2019年3月25日ごろ)のニュースです。

1)5月18日に米国・ニューヨーク州で9度目の防衛戦を予定しているWBCヘビー級王者ディオンティー ワイルダー(米)。挑戦者がドミニク ブレアジール(米)に決定しました。ブレアジールは2016年6月に、当時IBFのみのタイトル保持者だったアンソニー ジョシュア(英)に挑戦し、7回TKO負けを喫した選手。正直、ワイルダーがブレアジールを挑戦者に選んだ事には失望しています。

当初タイソン フューリー(英)との直再戦を予定していたワイルダー。フューリーとの再戦がダメなら、せめて1位のディリアン ホワイト(英)を挑戦者に迎えて欲しかったです。そういえば数週間前まで、WBCはホワイトとブレアジールによる暫定王座決定戦を行うよう催促していました。

2)現時点でのワイルダーとの再戦は無いものの、将来的には十分に実現の可能性があるフューリー。6月15日に米国・ネバダ州で、24戦全勝(16KO)のドイツ人トム シュワルツと対戦するようです。

3)そして3団体(IBF/WBA/WBO)王者のジョシュアは6月1日、ニューヨークのリングでジャーレル ミラー(米)と防衛戦を行います。

4)主要4団体のクルーザー級王座を統一し、ヘビー級に進出を目論んでいるアレクサンデル ウシク(ウクライナ)。5月18日に米国・イリノイ州のリングでヘビー級転向第一戦目を予定しています。対戦相手はどうやら、フランスを拠点としているカメルーン人カルロス タカムになるようです。タカムは2017年10月にジョシュアに挑戦し、10回まで粘った選手です。

5)「ウシク対タカム」戦と同じリングに、元WBA王者アレクサンデル ポベトキン(露)も登場。対戦相手は未定ですが、その一戦は将来的にウシクとの対決を目論んだ戦いになるようです。

6)ウシクの対戦相手ですが、試合開催地がイリノイ州のシカゴなだけに、ひょっとしたら同地出身の「フレス オケンド(プエルトリコ)では?」と少々期待していましたが、外れてしまいました。ちなみにオケンドも、彼の挑戦を受けるべき筈のWBAレギュラー王者マヌエル チャー(独)も試合予定は立っていません。
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伊藤、再びフロリダの地へ(WBOスーパーフェザー級)

2019年03月24日 00時29分22秒 | 世界ボクシング
5月25日、米国・フロリダ州で予定される試合です。
WBOスーパーフェザー級戦:
王者伊藤 雅雪(伴流)対 挑戦者ジャメル ヘリング(米)

*昨年7月、同地で空位だったWBO王座を獲得している伊藤。その思い出の地で2度目の防衛戦に臨みます。今回伊藤が迎えるのは、ランキング下位のヘリング。これまで21戦行い、19勝(10KO)2敗(1KO)という戦績を残してきた選手です。昨年9月にUABA王座を獲得しており、歳はすでに33歳ですが、ボクサーとしてはこれからの選手といった感じですね。

試合内容も重要ですが、伊藤にはまず確実に防衛回数を伸ばして貰いたいものです。
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今週末の試合予定

2019年03月23日 00時11分24秒 | 世界ボクシング
2019年3月第四週末の試合予定です。

23日 土曜日
英国
WBCフライ級戦:
王者チャールズ エドワーズ(英) 対 挑戦者アンヘル モレノ(スペイン)


25日 月曜日
比国
WBOアジア太平洋スーパーバンタム級戦:
王者ファン ミゲル エロルデ(比)対 挑戦者川島 翔平(真正)


27日 水曜日
後楽園ホール
OPBF(東洋太平洋)スーパーフェザー級戦:
王者三代 大訓(ワタナベ)対 挑戦者渡邉 卓也(青木)


29日 金曜日
タイ
WBCミニマム級戦:
王者ワンヘン メナヨーシン(タイ)対 挑戦者福原 辰弥(本田フィットネス)
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この階級、この選手(ジェームス トニー:スーパーミドル級①)

2019年03月22日 00時09分18秒 | ボクシングネタ、その他雑談
1990年代初頭からこれまでの約四半世紀、それぞれの階級で印象に残った選手を各階級3人ずつ挙げていっています。記載上のルールは各選手、登場するのは1階級のみ。また、選んだ選手がその階級の実力№1とは限りません。個人的に思い入れのある選手、または印象に残った選手が中心となります。

今回からスーパーミドル級になります。その一番手となるのは問題児ジェームス トニー(米)。同級ではIBF王座を獲得しています。


(今回の主人公、ジェームス トニー)

1988年10月26日にミドル級でプロデビューを果たしているトニー。最後の試合は何と2017年5月17日、ヘビー級の体重で戦っています。そのキャリアは30年ですか、凄いですね。30年というと赤ん坊がそれなりの経験を積んだ社会人に成長するまでの年数ですよ。終身戦績は77勝(47KO)10敗(ゼロKO負け)3引き分け。キャリア後半の20戦はヘビー級で戦ったトニーですが、体の大きな相手と互角以上に戦い、KO/TKO負けがないというのは凄いですよね、ほんとに。


(トニーを含めた1990年代初頭の代表選手たち。懐かしい‼‼)

30年間戦い続け、実戦に臨むこと90回。焦点を当てる時期によってその印象は当然の如く違ってくるでしょう。ミドル級時代は減量苦、調整不良からそのパフォーマンスの出来に非常に大きな幅がありました。ライトヘビー級時代はそれなりのパフォーマンスを見せていましたが、苦手としたモンテル グリフィン(米)に足元を2度すくわれたため、肝心のメジャータイトル獲得もなければ、挑戦すらありませんでした。

しかしクルーザー級時代には見事に復活。同級の2000年初頭を代表するバシリ ジロフ(カザフスタン)からダウンを奪うなどして大差判定勝利。IBF同級王座の奪取に成功すると共に、世界3階級制覇達成にも成功しています。

ヘビー級時代には何とイベンダー ホリフィールド(米)をストップする大金星を演じています。そしてジョン ルイス(米)を破りWBAヘビー級王座を獲得するも、試合後のドーピングに引っかかり王座は無効に。その後ハシム ラクマン(米)の持つWBC王座に挑戦するも引き分け。その後フレス オケンド(プエルトリコ)に勝利を収めるなど常にヘビー級の最前線で活躍しましたが、結局はメジャー団体のベルトには手が届きませんでした。


(幻のWBAヘビー級王者トニー)

日本のボクシングマニアからも高い支持を得ていたトニー。ジロフ戦、ホリフィールド戦、左フック一発でマイケル ナン(米)をKOし(実際はその後の連打中にストップ)、IBFミドル級王座を獲得した戦い。1980年代を代表する実力者マイク マッカラム(ジャマイカ)と演じた大激戦(両者による第一戦:結果は引き分け)。トニーのの好パフォーマンスを挙げたらきりがありません。しかしかれのベスト・パフォーマンスを選ぶのは比較的容易ではないでしょうか。

トニーの最高傑作と言えばこの一戦、1993年2月13日にIBFスーパーミドル級王者アイラン バークレー(米)に挑戦し、ワンサイドの9回終了TKO勝利を収めた一戦になります。バークレーは伝説のヒットマン・トーマス ハーンズ(米)に2勝した突貫ファイター。その荒武者を相手に、トニーはそのボクシングを支えた防御力を存分に発揮。ラウンドを重ねていくごとにバークレーのフラストレーションは増していくばかり。それに加えトニーのカウンターを貰い続けたバークレーの顔はドンドンと腫れていきました。強靭な肉体、精神力の持ち主であるバークレーでしたが、強打を兼ね備えた老獪なトニーの前にはお手上げ。結局は9回終了と同時に試合はストップし、ワンサイドマッチに幕が下ろされました。

   
(トニーの最高パフォーマンス、対バークレー戦)

その長いキャリアの後半、トニーは常に体格で不利の立場で戦ってきました。しかしそんなハンディもものともせずに戦い続け、白星を重ねていったトニー。そのトニーを支えたのが常日頃の練習と生まれ持った才能が融合された防御技術だったのではないでしょうか。

ナチュラルな防御と揶揄されたそのディフェンス。常に上体を動かし、絶妙なフットワークで位置も変え続けます。防御は両腕、肩を最大限に利用。時には体を斜めまでにし相手のダメージを最小限に留めました。トニーのディフェンスはフロイド メイウェザーのそれに通じるものがあります。そういえば両者とも、米国・ミシガン州のグランドラピッド出身。メイウェザーが先輩の影響を受けたのは当然かもしれませんね。


トニーが獲得した王座(獲得した順):
米国・ミシガン州ミドル級:1990年3月1日獲得(防衛回数0)
IBCミドル級:1990年6月27日(1)
IBFミドル級:1991年5月10日(6)
IBFスーパーミドル級:1993年2月13日(3)
USBAライトヘビー級:1995年4月30日(0)
WBU(初代)ライトヘビー級:1995年6月18日(3)
WBU大陸間クルーザー級:1995年12月8日(0)
WBU(初代)クルーザー級:1997年2月22日(0)
IBOクルーザー級:1997年6月14日(0)
IBAスーパークルーザー級:2001年3月29日(0)
IBFクルーザー級:2003年4月26日(0)
IBA/WBC米大陸ヘビー級:2004年9月23日(0)
IBA/NABOヘビー級:2008年12月13日(0)
IBUヘビー級:2012年4月7日(0)
WBFヘビー級:2017年5月13日(0)


トニーが獲得した王座を載せてみましたが、彼が凄まじいタイトル・コレクターという事がよくわかります。中にはIBUやWBUの大陸間王座という存在が疑問視される超マイナー王座、そしてスーパークルーザー級なる18番目の階級のタイトルまであります。


(超マイナー団体、IBUのベルトと初代WBUのベルト)


トニーは特に試合前、相手を小ばかにするパフォーマンスで人気(?)を買っていました。そしてキャリアを積み重ねるごとにその体格は横へ横へと広がり、そしてブヨブヨになってきました。しかしこれだけ長い現役生活を送ったんです。普段の練習も欠かさず行っていたんでしょうね。


(どちらもトニーです)

キャリア30年を通し、大きなブランクを作らなかったトニー。その知名度と実力に割には獲得した王座(あくまでメジャー王座)が少なかったように感じます。WBAヘビー級王座獲得は幻ではなく、現実であってほしかったですね。それと重量級の玄人好みなカード、トニーと同じく米国・ミシガン州出身の元WBOとIBFヘビー級王者クリス バードとの対戦や、あのバーナード ホプキンス(米)との対戦を実現させて欲しかったです。


(見たかったですね、トニー対ホプキンス戦を)
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