稲田神社伝 1



実家の近くに稲田神社という神社がある。子供の頃,境内で遊んだり,隣接の広場で野球をやったりした。
まあ,フツーの神社という認識しかなかったのだが,調べてみると,物凄いパワースポット! かもしれない。
祭られているのは,櫛名田比売・・・ そう,スサノオノミコトの妻,クシナダ姫なのだ。

稲田神社が創建された経緯は次のとおりだ(一部独自解釈あり)


西暦800年代,平安時代の頃,現在の稲田神社を含む地域は,新治国造(にいはりのくにのみやっこ)が治めていました。
この方,都道府県知事さんくらいエラい人です。
で,この方がオーダーしたのは,

「やっぱり沢水は美味しいよね。ミネラルたっぷりマイナスイオンって感じで。毎日汲んできてくれると嬉しいなぁ」

お偉いさんのお願いに逆らう訳にはいかず,毎日若いモンが汲みに行くことになりました。
ある日,若いモンAが水を汲んでいると,パーっと眩い光が差し,女性(文字通り眩いくらいの美人)が現れました。




「よっ! こ・う・り・ん っと」
「ひええええー!!」 A君は腰を抜かしてしまいました。
「ん? あー そこのキミ,私このへんの守護神やってるんだけど,このへんまとめてるお偉いさん呼んできてくれるかな?」
「わわわ・・・ わかりましたぁー」

A君はダッシュで新治国造さんのところへ戻ります。

「おやかた様ー! 大変です!! 土地神様がお呼びですー! ちなみに若くてすっごい美人です」
「なに,土地神様とな? 本当か? つーか,見間違いじゃね?」
「ぜってーモノホンですって! ちなみに若くてすっごい美人です」
「うむむ・・・ (若くてすっごい美人か) まあ,行ってみるか」



新治国造さんが現場へ向かいながら考えていたのは,
(まあ,多分コスプレイヤーとかだろう。コスプレは止めないが,女神コスは止めさせないと。神罰とかあるとシャレにならないし)
雰囲気づくりに衣装は大事ですが,やり過ぎると炎上します。

やがて水汲み場に到着。クシナダは岩に腰掛け足をプラプラしながら待っていました。

「あ,こんにちわー あなたがエラい人? 私クシナダ☆」
「う! うう・・・(うっひゃー! ホンモノ,本物の神様ー)」
説教してやろうと思っていた新治国造さん,本物の神様と認めるしかありません。何故なら後光は射しているし,何より圧がハンパじゃありません。

目の前には本物の神様(そして超美人),完全にテンパってしまった新治国造さん。
「え,えーと,イナダさま・・・?」
「クシナダだって」
「イナダさまですね・・・」
テンパっている上にこの辺は茨城弁全開のエリアです。聴き間違えても仕方がありません。

「うーん,スサノオ君の嫁,の方が知られているのかな? まあいいや。」
「スサノオって,あの須佐之男命・・・?」
「あのね,私,この辺の守護神やっているのね。」


(推定守備範囲)

「その証拠に,このへん,割と平和でしょ?」

「割と」どころではありません。この時代,日本列島はアチコチで魑魅魍魎,百鬼夜行が跋扈し,疫病の蔓延,天候不順による飢饉などが日常茶飯事でした。しかし,クシナダの守備範囲はホノボノな日々が続いていました。
当然です。クシナダのバックにはスサノオがいます。悪霊ごときがちょっかい出せばワンパンで魂ごと粉砕されてしまいます。
叔母さんは最強の天候兵器のアマテラス,爆弾低気圧が発生すればシレっと天気図を書き換えちゃうし,大型台風が接近すれば,さらっと進路を変えちゃいます。天候不順になり得ません。
クシナダ本人も,スサノオの能力をブーストするパワーがあります。クシナダの気に触れただけで細菌は細胞膜が破れ,ウイルスは殻が壊れてしまいます。

そして,歴史上の有名人たちも,クシナダには一目置いていたのでした
(続く)

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