低重心

昨日記した「低重心」だが,何がメリットかというと,簡単に言えば「フラフラしない」だ。
ミニバンなど背の高い車は,側面からの強風に煽られて挙動を乱すことがあるが,それいよりも重心が高いため,重量移動の幅が広いのが問題。

前後もしくは上と,車の端っこ方面に重いものがあると,回転運動をかけると遠心力が大きくなる。
バランスが悪くなるのだ。そのため,メーカーは「ハンドリングのよい車」作りに悩むことになる。

前後の車軸の間に重いものをすべて詰め込めるのが理想だ。
そのため,スーパースポーツと呼ばれる車は,ほぼミッドシップになる。
ただし,居住空間を犠牲にしないと理想的なバランスが取れない。そのため,だいたい2シーターになる。

普通の人はユーティリティ優先で車を購入するので,ミニバンや背の高い軽自動車となる。
低重心と広い室内の両立は,なかなか難しい。

と,ここで思い出した。そういう車があった!




初代エスティマだ。
4気筒エンジンをほぼ完全に寝かし,床下のミッドシップに納めて,後輪駆動。
室内は3列すべて普通に使える。

ロングホイールベース,ショートオーバーハング,ミッドシップと,パッケージングだけ見ると完全にスポーツカー。
まあ,エンジンの整備性は最悪となり,製造コストも高くなる。それでもミニバンの一大革命となった。

市販車ではないが,低重心の極みのような車もある。




エリーカだ。詳細はこちら(wikipedia)

電気自動車だが,駆動はインホイールモーター。よってドライブシャフトやデファレンシャルがないので床は完全にフラット。
電池も床に敷き詰めてある。重いものは全部床下だ。重心はかなり低い。

最高速度370km/hと,トンデモない性能をもつ。市販前提だったが,残念ながらいまだ実現せず。

インホイールモーターの電気自動車は,市販車では未だ発売されていない。
やはり製造コストの問題か。
メリットだらけなのだが。バネ下重量は当然増えるが,前述のとおり電力を直接駆動に使える。
現在の技術ならば,全輪をきめ細かく制御できるだろうから,トルクベクタリングが容易,とっても曲がる。
インホイールモーターには期待しているのだが,今後どうなるかな
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