故・河合隼雄氏は90年代に「物は豊かになったが心はどうか」と言っていたそうだが、当時も貧しい人は多く居て、それに対して臨床心理は不登校などを何かとよく扱っていて、様々な貧困や差別などの社会的な方へは行かなかったので、病院関係でも、臨床心理を専攻した人を雇っても、心理テスト役くらいにしか考えていなかったのだろう。
精神科の病院の職員から見ると、不登校などでいろいろと騒いでいるのは、恵まれた人たちの世界の話で、それほど関心も持てない対象だったのだろう。
その後にいろいろと信田さよ子氏等が書いても、大学の相談室などを中心に活動していた臨床心理の人たちは、様々な貧困や依存症などの事が身近にないので、その影響が解らなかったのだろう。いろいろと社会が貧しくなってきて、その影響が大学院を修了する人たちにも及んできたので、やっと少し見えるようになったのだろう。
故・中井久夫氏が患者さんの家に往診した際のことを少し書いていたが、臨床心理士は医師と違い、往診などをすることがないので、自分たちと違う暮らしにふれる機会自体が無かったのだろう。
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