西大寺はいま萩の花が咲き始めている。
この寺には、多くの歌が紹介されているが、
この中に俳人・橋本多佳子の句碑がある。
山門を入った右側で、この季節白い萩が目印となっている。
「いなびかり 北よりすれば 北を見る」 多佳子
橋本多佳子は広く知られた俳人ではないが、
この春作品の魅力を紹介した著作が世に出た。
著者は、俳人協会会員で、「七曜」同人の倉橋みどりさん。
出版記念の講演会にも出させてもらった。
彼女が、「多佳子の句の中で最も好きな一句」として挙げたのがこの句だ。
「北と言う不吉な方角の空に、突然いなびかりが走る。
おびえるのでもなく、叫び声をあげるのでもなく、
ただまっすぐにいなびかりがした方を見つめ返す強さ。
それは自分の宿命を宿命として受け入れるしなやかな強さである。
その強さがあるからこそ、自分のいのち、
そして、ほかの命への慈しみが生まれる。
このすべての命への慈しみが、
多佳子俳句を貫く普遍的な魅力であると思う」
倉橋さんはこの句をこう読み解いている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます