TVおじさん

世相の鏡であるテレビから学び、時として批判も。メディア表現にも触れる。まだ元気、散策の想い出も綴りたい。

“北を見るひと”

2013-09-20 | ことば

西大寺はいま萩の花が咲き始めている。

この寺には、多くの歌が紹介されているが、

この中に俳人・橋本多佳子の句碑がある。

山門を入った右側で、この季節白い萩が目印となっている。

「いなびかり 北よりすれば 北を見る」 多佳子

橋本多佳子は広く知られた俳人ではないが、

この春作品の魅力を紹介した著作が世に出た。

著者は、俳人協会会員で、「七曜」同人の倉橋みどりさん。

出版記念の講演会にも出させてもらった。

彼女が、「多佳子の句の中で最も好きな一句」として挙げたのがこの句だ。

「北と言う不吉な方角の空に、突然いなびかりが走る。

おびえるのでもなく、叫び声をあげるのでもなく、

ただまっすぐにいなびかりがした方を見つめ返す強さ。

それは自分の宿命を宿命として受け入れるしなやかな強さである。

その強さがあるからこそ、自分のいのち、

そして、ほかの命への慈しみが生まれる。

このすべての命への慈しみが、

多佳子俳句を貫く普遍的な魅力であると思う」

倉橋さんはこの句をこう読み解いている。

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿