TVおじさん

世相の鏡であるテレビから学び、時として批判も。メディア表現にも触れる。まだ元気、散策の想い出も綴りたい。

いきいき行動する“活”

2013-10-08 | ことば

きょうのNHKの「あさイチ」で「温活」を取り上げていた。

秋バテ克服のためには、体を温めることが必須という理由からである。

キャスターの井ノ原快彦ことイノッチが、「なんでも活」とやや皮肉っぽい言い方をしていた。

これは言葉をやたら縮める短縮化への抵抗と

流行病のように安易に“活”をつけることへのいら立ちのように思えた。

 

広辞苑によると、「活」は“いきいきと”という

極めて前向きな意味を含む響きの良い言葉である。

「生活」はまさにいきいきと生きることであり、

「活魚」はピンピンと跳ねる魚、

「活花」は静と動、凛としている様、

華やかを際立たせることがあるかと思えば

清楚な装いも見せることもある。

 

破壊活動と言った言葉は良しとしないが、

貧乏生活という表現でも、

つつましやかに強くたくましく生きようという

前向きの姿勢が伝わってくる。

 

前置きが長くなったが、最近は“活”のオンパレードである。

御三家と言えるのが「婚活」「就活」「終活」、

今さらこの意味を説明することはないだろう。

ただ「終活」については「就活」と紛らわしいし、

もっといい表現がなかったのかと言いたい。

「終活」は、身内の醜い争いを避けるため生前に相続計画をたてたり、

自身の葬儀やお墓の手当てなどをしたりしておくことのようだが、

ストレートすぎる「終」の文字をあてなくても

極楽浄土の「浄」や臨終の「臨」などのほうが語感もいいのではないか。

 

「活」を拾っていくと、“早起きは三文の徳”を実践する「朝活」、

円満離婚を図るための「離活」、泣いてストレスを和らげる「涙活」

それに元気な赤ちゃんを産む「妊活」等々。

 

ネットで見ると某教授は、「活」が広がった理由として

「結婚活動を婚活のように2文字に縮めたことによる語感の変化と

“カツ”という音の響き」を挙げている。

短縮化で本来の「活発に動く」という意味が薄まり、

「楽しもう」という意味合いが浮き立ってくるという。

「婚活」「就活」もあまり悲壮感を持たずに楽しくやろうということなのか。

ただ当事者は、最初からあきらめの境地でとりかかるのではなく、

何が何でも成就するという気持ちで頑張ってほしい。



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