<遊去の話>

「遊去の部屋」「遊来遊去の雑記帳」に掲載した記事と過去の出来事についての話です。「遊去のブログ」は現在進行形で記します。

二度もびっくり

2019-02-28 16:57:32 | 「遊来遊去の雑記帳」
 <2002.8.9 に投稿>
 午後は暑いので昼寝をした後、よく川へ泳ぎに行きます。運動も兼ねているので、自転車でだいたい30分くらい上流の方に走ったところで泳ぎます。広い河原を歩いて水際まで行き、そこで服を替えてから泳ぎます。
 浅瀬から入って川底を見ながら川を遡るのですが、ちょうど大きな木が根こそぎ流されてきて川の真中で引っかかっていたので、その下を覗くと根の回りに小さな魚がいっぱい群がっていました。まるで珊瑚礁のようでした。息を止めてしばらく見ていると、魚たちが私の足をつんつん突付きに来ます。ちょっと足を動かすとパッと散るくせにすぐに戻ってきてまた同じことをするというのは何を考えているのかよくわかりません。
 少し先から深みになり、ここではたくさん人が死んでいます。確かに気味が悪いところです。でも向こう側の河原に行くには横切らねばならないので落ち着いて渡ります。河原に上がってしばらく寝転んで空を見ながら考えごとをして、それからもう一度川を渡って帰るというのがいつものパターンです。
 この、もう一度川に入るときは何故か水が冷たく感じます。すーっと深みに入ったときです。腹の下の方で黒い大きなものがゆらっと動きました。どきっとした瞬間、向こうもひらりと向きを変えて消えてしまいました。1m近い黒い魚でした。鯉かスズキでしょう。これほど大きいものは川では滅多に見ることはありません。運がいいというべきか、それとも悪いというべきか。
 帰りにもう一度木のところに寄りました。小さな魚を見ていこうと思ったのです。砂地の底に立って根の回りの魚を見ていると足元に黒い石があるのに気付きました。目をそちらに向けた瞬間、その石が動いたような気がしたので思わず飛び上がってしまいました。そのときの水流で黒い石までいっしょにふわりと水中に浮かび上がったので、見ると、石亀でした。亀は驚いて、もがくように、あわてふためいて泳ぎながら一直線に木の下に潜り込んでしまいました。泳いでいるときに亀を見たのもこれが初めてでした。私が動かなければ観察できたはずです。惜しいことをしましたが、これは反射行動だから仕方がありません。
 魚も亀も私もだれも驚かそうとしていないのにみんながびっくりし合っているというのはどうなっているのかなぁと思います。

★コメント
 今、この場所の近くで暮らしています。以前は自転車でここまで泳ぎに来ていたのかと思うと縁のようなものを感じます。この辺りで家を探したわけでもないのに、冷やかし程度で見に来た家を買うことになったのです。偶然とは恐ろしいものだと思います。
 裏山には鹿やイノシシがいて、そこまで家から歩いて行けるのです。何度か出会ったことがありますが、この辺りの山の中で人間に出会ったことはありません。誰も行かないのです。打ち捨てられた棚田が谷という谷の、奥の奥まで続いています。ただ、今は植林されているので日が当たらず陰気です。こんなところまで米を作っていたのかと思うと、生きるということはただごとではなかったのだなと感じます。
 いつごろまでここで米が作られていたのか、これから調べてみようと考えています。減反政策が始まったころなのか、あるいはもっと以前に放棄されたのか。いずれにせよ、物を大切にする暮らしの中に人間の本当の生き方があるような気がするので、過去の暮らしを研究したいと思います。
2019年2月28日
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