<遊去の話>

「遊去の部屋」「遊来遊去の雑記帳」に掲載した記事と過去の出来事についての話です。「遊去のブログ」は現在進行形で記します。

青いツバメ

2019-10-29 09:09:40 | 「遊来遊去の雑記帳」
<2002年4月30日に投稿>
 散歩中に川で青いツバメを見ました。青いといっても背中の部分だけですが…。
なぜ背中が見えたかというと、ツバメが水面の近くを飛んでいて、私は土手の上にいたからです。そのときは数羽のツバメが飛び回っていましたが、どのツバメも一度上昇しては急降下し、そのまま水面に沿ってすれすれに下っていったかと思うと突然急上昇し、そしてまた急降下するということを繰り返しながら少し下流の方まで行って、それからまた同じようにして戻ってくるということを繰り返していたのです。
 私はその様子を土手の上から見下ろしていましたが、ばらばらに飛んでいたツバメが、突然、目の前で一斉に急上昇したのです。そしてそのとき一羽のツバメだけ背中が青く輝きました。カワセミかと思うほどの青さでした。目の錯覚ではないかと思いましたが、あまりにもその青さが印象的だったので事実を確かめようとしばらく観察を続けました。他のツバメは、背中の色と羽の色は多少違うもののだいたい黒です。新種発見か!と思いたいところですが、その前にもう一度よく考えてみることにしました。
 それで結論。色が見えるのは反射した光が目に達するためです。蝶の羽も見る角度によって色が大きく変化します。だからツバメの場合も太陽の光がある角度で当たったときに鮮やかな青に見えるのではないか。今回は太陽と私の位置は動かないからツバメがある位置に来たときだけ青く見える。群になって飛んでいても、その位置に来たものだけが青く見えるのだから、結局、「青いツバメ」が一羽いるということになるのではないかということです。
 これ以来ツバメを見ると目がすぐ背中に行ってしまうようになりました。どうも不自由な気分です。

★コメント
 これ以来、「青いツバメ」を見たことがありません。ツバメは毎年見ていますが、みんな黒と白のツートンカラーです。考えてみれば、これ以前にも青いツバメを見たことはなかったわけで、そうなると物心がついてからでも40年以上経っているから、今後も見ることはない可能性の方が高いことになります。今になって、あれは貴重な体験であったと知る始末です。
 今、これまでに作ったギター朗読作品を録音し直そうとしています。ライブ録音のあるものもありますが、発表してないものは録音してないし、発表してもライブ録音してないものもあります。書いたことすら忘れているものもあります。イースター島のモアイのように、作りかけのまま放置してあるものもあり、そうなるとメモだけが頼りです。ところが、メモも言葉の場合は問題ないのですが、音になると広告の裏に手書きで五本の線を引き、そこにボールペンでいい加減な音符を殴り書きしてあるようなものが殆どで、当然、書き間違いもあるし、何をしようとしていたのか見当のつかないことが多いのですが、その中に、どこからこんな音が出てきたのだろうと思うことがあります。中断しているのだから、おそらく、そのときは行き詰っていたのでしょうが、たいていの場合、今では思いつかないような音を探っているのです。これらはその「時と状況」があって生まれたところがあり、生涯に一度の「青いツバメ」だったかも知れません。
 今は前よりは知識も技術もあるので少し手を加えて使えるようにできますが、その度に、これまで自分も相当努力をしていたのだなあと思います。できもしないことをやろうとするのが若さなのでしょうか。今では全部忘れてしまって、何もしてこなかったような気がしていますが、そんなことはないようです。
2019年10月29日
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