
ジョリビー(Jollibee)はフィリピン生まれの国内最大のファストフード・レストランチェーン店です。
ジョリビーを運営する「ジョリビー・フード・コーポレーション」はジョリビーの他に、ピザ系のチェーン「Greenwich」、中華料理のファストフードチェーンの「Chowking」、ケーキ専門店チェーンの「Red Ribbon」、バーべキューチキンなどのローカルフードチェーンの「Mang Inasal」、フィリピン国内の「Burger King」と「Delifrance」(パン、サンドイッチチェーン)を運営しています。
ジョリビー・フード・コーポレーションの2013年度の純利益は46億ペソ<約106億円>(対前年比24.5%増)と順調に業績を伸ばしています。
ジョリビーの歴史は1975年に実業家のトニー・タン・カクチョン氏が家族と共にマニラ首都圏のケソン市クバオにアイスクリームパーラーをオープンしたのが始まりで、そこが後に「ジョリビー」の1号店となりました。
ジョリビーは現在フィリピンの他にアメリカ、台湾、香港、ベトナム、インドネシア、シンガポール、ブルネイ、サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦のドバイ、オマーンに進出していて、フィリピン国内に1,941店が営業を展開しています(ジョリビー 733店、Chowking 395店、Greenwich 209店、Mang Inasal 393店など)
そして海外にはJollibee, Chowking, Red Ribbonブランドの店舗が合計562店あります。
米経済誌『フォーブス』によると、カクチョン氏とその家族の資産は2013年時点で17億米ドルに上り、同誌によるフィリピンの富豪番付では、フィリピンの富豪50人の中で11位につけており、国を代表する資産家でもあるのです。
フィリピンには以前から、ファストフード世界大手のマクドナルドやKFCが進出し、ハンバーガーをはじめとしたお馴染みのメニューを提供していますが、フィリピンのファストフード市場では「ジョリビー」が絶大な人気を集め、マクドナルドやKFCに引けをとらないどころか、市場のけん引役となっているのです。
ジョリビーがマクドナルドを超える人気を保持している理由は、フィリピンの食文化に根ざしたメニュー展開にあります。
フィリピン人好みの味付けや、フライドチキンにフィリピン人の主食である「ご飯」を添えたセットメニューを提供していることや、主食以外にもスパゲッティとコーラのセットといったメリエンダ(おやつ)用のメニューやご飯とハンバーグ、ポーク、ビーフ、魚、春巻きなどのセットメニューも充実しているのです。最近人気がある「Ultimate Burger Steak」はドリンク付きで119ペソ(270円)
冒頭に書いたようにジョリビー・フーズは海外進出に意欲的で、1986年に台湾に進出したのを皮切りに外国での店舗網を広げ、2013年3月時点の海外店舗数は合せて562店に上っています。
こうしたジョリビーの海外進出の特徴は、フィリピン人の海外出稼ぎの広がりに合せて店舗網を拡充してきたことです。
フィリピン政府は自国民の海外への出稼ぎを推進する政策をとっており、フィリピン人は医師や看護師、技術者といった専門職から、建設労働者や家事労働者まで多様な人材を世界に送り出しています。
ジョリビー・フーズはそれに足並みをそろえるように海外事業を広げ、フィリピン人出稼ぎ労働者が多い中東や米国、アジア諸国などで店舗展開を進め、海外に出稼ぎに出たフィリピン人にとって、出稼ぎ先で出会うジョリビーのメニューは「懐かしい味」となっているのです。
そして更に新たな業態の展開などを含め、現在ではフィリピン人出稼ぎ労働者だけではなく、現地の消費者を取り込む計画を推進中です。
これらの国々以外にも、ジョリビー・フーズは巨大な人口を誇るインドやインドネシア、中国など海外での店舗展開を積極化し、2017年までに海外売上を全売上高の半分に高める方針だと伝えられています。
折しも、日本マクドナルドでは昨年からの「大幅減益」、「客足低下」、「売り上げ減」の三重苦に陥っていて、社長の原田泳幸氏が、去年の8月にその座をカナダ人女性のサラ・カサノバ氏に明け渡し、自らは持ち株会社CEOに専念することになりましたが、つい先日その座も失って、「退任」となったようです。
日本のファストフード業界は年々厳しさを増していて、増え続けているコンビニがファストフード店の顧客を奪い合う様相になっていて、天下のマクドナルドも昨年からの業績不振からなかなか抜け出せないようです。
日本マクドナルドホールディングスは2013年12月期の連結経常利益が前期比57.9%減の100億円に落ち込むと発表しましたが、その後も業績悪化の流れは止まらないようです。
そんなマクドナルドに対して、モスバーガーを展開するモスフードサービスの業績回復が鮮明になって来たそうです。
日本生まれのモスバーガーは数年来低迷していましたが、昨年から盛り返して来ました。
同社は、ハンバーガー全24品のうち17品をリニューアルしたことと、国産肉使用の「とびきりハンバーグサンド」シリーズの好調によって、客数が増え、売上高と営業利益に寄与したことが業績回復の要因としています。
つまり商品力の向上が業績回復につながったと言えるでしょう。
低価格商品を出したかと思うと廃止して、今度は高価格商品を投入したりと、価格政策のダッチロールを繰り返しているマクドナルドに対して、一貫して価格競争に参入しなかったところがモスバーガーの戦略でした。
日本でのマクドナルドとモスバーガーの状況は、フィリピンに於けるマクドナルドとジョリビーの販売戦略がオーバーラップするような印象です。
積極的に海外戦略を進めるジョリビー・フード・コーポレーション。
海外には未進出の国や地域もある上、グローバル競争も激化している現在、同社の店舗がどこまで受け入れられるかは未知数です。
また、最近の欧米経済の不安定といった懸念材料もある中で、フィリピン生まれのファストフードが世界市場での競争にどう対応して行くのかが試されることになります。
フィリピンの人たちのジョリビー好きには、いつもビックリします。
普段日本にいる僕にはちょっと馴染めない味付けですが^^
管理人さんのブログに書いてあった呑気さんは、マジでおいしかったです^^
ダバオで暮らし始めた頃は私も実はジョリビーの味が余り好きではなかったのですが、今ではすっかりジョリビーファンに変身してしまいました^^
ご飯とハンバーグを主体とし、おかずにバラエティーな品揃えのセットメニューから、手軽な「軽食堂」をイメージしますね。
それから、<ジョリビー>がフィリピン人出稼ぎ先の国を中心に海外展開し、着実に業績をあげてきた経緯に興味を持ちました。
ジョリビーのライバルとも言えるマックとKFCのメニューには日本では見かけない「ライス」が必ず付いたセットメニューがあって、フライドチキンにも「ライス」が付いています。
当初はかなりカルチャーショックでしたが、これはジョリビーが考えたフィリピン人の嗜好に対応させた戦略を真似たものだと思います。