週刊ポストに連載されていた、「あんぽん」(孫正義伝)が単行本となって発売されたので読んでみた、
「あんぽん」とは孫正義の日本名「安本」を友人が呼んでいた綽名のようなもの。
彼は、九州の鳥栖の朝鮮人で産声を上げたのですが、死んで生まれたようだ。
一度死んだ人間は強い。
ホリエモンもその町で生まれている。さらに、孫正義の弟とホリエモンは同級生でともに東大だという。
仕事で何度も行ったことがあるが、何の変哲もないさびれた町のように見える。
ただ、駅のそばのあった大きなサッカースタジアムだけは覚えている。
かつて、病院の待合室においてあった週刊誌の連載で一部を読んだことがあるが、
今回の単行本はたった一日で、一気に読み切ってしまった。
孫正義のあの穏やかな話しぶり、そして年齢にそぐわないあの落ち着いた立ち振る舞い。
辣腕経営者としての彼の手腕は確かに、「凄い」の一語に尽きる。
彼が韓国人だから嫌いという人がいるかもしれないし、年に似合わず老成しすぎていて嫌いだという方も多いはず、
さらに、あの若さで、どのようにしてあれだけの事業ができるものなのか・・・
ホリエモンや村上ファンドと同じ人種と思っている人も多いはず。
リクルートの江副のようにそのうちに、社会から抹殺されてしまうのだろうと思っている人が多いかもしれない。
誰でも興味があるはずですが、この本を読むと納得ができそうだ。
自分の身の周りにもいろいろな人間がいるが、
これほど凄絶な生い立ちと差別の中から育った人間は絶対存在しない。
「負けた。」と感じてしまいそうです。
石原都知事や週刊誌が彼をいかに批判しても叩いてみても、負けることはないとも思う。
人間、この世に生まれてきたからには小賢しく要領よく生きるより、
やってみたいことやできることは死ぬ気で全力で努力して生き抜いてみたいものです。
石を投げられても、笑われても、馬鹿にされても、孫正義は生きてきた。
そして、これから彼はどんな生き方をするのか非常に興味がわいてくる。
歴史本ではなくて、現実に今生きている男の本当の人生ドラマだから納得させられる。
この本は、孫正義にとっては、まだまだこれから始まる人生ドラマの序章なのかもしれない。
孫正義は、本当の「男」です。そして、「日本人」よりも「日本人」なのだとも思う。
一読をお勧めします。