ゆきんこブログ

月刊ガソリンスタンド誌
『変化と試練が、人と企業を強くする』
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再び活性化する「灯油配送ビジネス」、今後の展開

2012年02月21日 06時11分24秒 | Weblog

昔、灯油配送システムを開発して販売を開始した頃は、
まだインターネットもなくて全国にどのくらい灯油配送をしている企業があるのかさえよく判りませんでした。

そこで、当時は石油組合の資料などを中心に資料を配布したりしていたものです。
現在では、SSの件数が激減して、
当時作成したデータベースを使って資料などを送付すると驚くほど「配送先不明」となってしまいます。
そんなときには、ガソリンスタンドが激減したという現実を痛感します。

当時SS業界では圧倒的に店頭販売ビジネスが中心でしたから
「灯油配達」は冬場のお客様サービスで二次的な扱いのところが多かったと思います。
それでも当時、粗利益率も高い隙間的なニッチビシシネスとして位置付ける大手企業もありました。

その後、SS業界の経営環境の悪化とセルフ化により既存業界の灯油配送体制が弱体化し
ホームセンターなどよる「店頭現金安売り」が開始され灯油マーケットへの「異業種参入」が急速に進みました。

さらに、「灯油巡回販売」企業も雨後の竹の子のように急増し、既存SS業界はさらに激しい価格競争にさらされることとなりました。
「店頭現金売り」は収益性が低いため「豊作貧乏」なんて言葉まで生まれたわけですが、
我々にとっては、一番大変な時期でした
既存SS業界、ホームセンターなどの新規参入、そして、「巡回挽き売り」の三つ巴で販売商戦がさらに激化して収益も悪化したことで「灯油は妙味が薄い。」といわれたものです。

しかし、その頃から、SS業界の一部では「雪ん子」による本格的な「顧客管理データベース」構築に取り組む企業が増えてきました。

現在、灯油商戦はSS業界に大きな格収益差を生んでいます。
「勝ち組」といえる企業の多くは、冬場の灯油ビジネスに強い企業です。
今振り返ると、「あの頃」灯油ビジネスに力を入れて、外販ビジネスに傾注した企業が余裕を持って勝ち残っているようです。

商材が薄くなる冬場のSS店頭販売オペレーションにあって「灯油」はまさに「神様」のような存在ともなってきました。
最近では、ホームセンターや大手ショッピングセンターなども灯油配送の注文を受けて、配送体制が完備されたSS企業に配送を依頼する時代なのです。
さらに、これまで「巡回販売」を中心としてきた業態でも顧客管理データベースを構築して「顧客囲い込み」に力を入れている時代です。
これまでの努力が報われたと、先見の明がある経営者の方から感謝されることが増えてきました。

皮肉にも、電力不安やSSの淘汰による現象が「石油(灯油)復権」という流れを創り出しました。
灯油ビジネスは、天候要因などにも左右されますから確かに変動要因も多いわけですが、
全国で原発が停止することになりそうですから、ホームエネルギーについては当分灯油などの化石エネルギーに依存することになるはずです。

最近感ずることですが、
「灯油配達」は石油業界だけでなく、消費者にも注目度が非常に高まっています。
我々が、システムを提案しようと考えれば、「灯油配達」などの検索で全国各地に販売業者が見えてきます。
これは、「灯油配送」を表に出してのビジネス展開が急増している証拠であるともいえます。

これまで「灯油配送」に目を向けなかった大手SS企業による再参入も増えてきました。
灯油配送コストが認知され、ビジネス環境が再整備されてきたことが大きな要因ともなっているようです。

さらに、SSを起点とする「宅配ビジネス」の可能性も高まっており、
この動きは疲弊するSS業界を再び蘇生させることになりそうです。

今年の灯油ビジネスは、既存のSS業界に大きな「宿題」と「光明」を残したといえそうです。