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アメリカの映画俳優・ボリス・カーロフ(映画「フランケンシュタイン」)の忌日

2008-02-02 | 記念日
2月2日アメリカの映画俳優・ボリス・カーロフ(映画「フランケンシュタイン」)の忌日
今日(2月2日)はイギリス・ロンドン出身でアメリカで活躍した俳優ボリス・カーロフの1969年2月2日の忌日である。
ボリス・カーロフと言っても今の若い人達にはなじみがないだろうが、少し古い映画ファンなら映画「フランケンシュタイン」もののモンスター役を最初に演じた、怪奇映画史上最大の伝説的スターであることを知っているだろう。
彼は、カナダ、アメリカでの演劇活動を経て、1919(大正 8)年に映画界入り。サイレント映画時代を脇役として過ごした。1931(昭和6)年、コリン・クライヴ主演(ヘンリー・フランケンシュタイン役)のユニバーサル映画フランケンシュタイン」のモンスター役に起用された。この役は「魔人ドラキュラ」(1931年)で怪奇スターとなったベラ・ルゴシに配役される予定だったが、ルゴシが台詞のない怪物役を拒否したため、カーロフが代役に指名されたといわれているそうだ。
恋人や父親と別れて人里離れた塔で人造人間の研究に没頭するフランケンシュタイン博士。博士は墓場から盗んだ死体と医学校から盗んだ脳を組み合わせ、の高圧電流を浴びせて人造人間に命を与えることに成功するが、頭蓋に収められた脳は殺人者のものだった。、無差別に残虐な殺人を犯す怪物が誕生してしまう。逃亡する怪物は、怒りにかられた村人たちに水車小屋に追いつめられ小屋諸共崩れ去る。この映画は世界的にヒットし、ホラー映画史上不朽の名作となった。そして、重厚なメイクの奥から、怪物の恐怖と人造人間の哀感を表現したカーロフもまた、世界に知られる怪奇スターとなった。第1作目の公開から4年後の 1935年にはカーロフ、クライブの再主演による続編『フランケンシュタインの花嫁』が公開され前作以上の高い評価を得た。1939年には『フランケンシュタインの復活』でみたびモンスターを演じた。ユニバーサルはその後もシリーズを継続するが、カーロフはモンスター役を降板する。そして、これ以降この役はロン・チェイニー・ジュニアを経て、第一作で拒否したルゴシも演じることになる。
原作は、イングランドメアリー・シェリー(Mary Shelley)が書いたゴシック小説『「フランケンシュタイン-現代のプロメテウス-(Frankenstein, the Modern Prometeus)』。
実は映画のフランケンシュタインという題材自体は、カーロフの「フランケンシュタイン」が初めてのものではないが、雷を使用した生命維持装置の登場もこの作品であり、ボリス・カーロフのモンスターのスタイルが今、誰もがイメージするフランケンシュタインになったのもこの作品からのようである。
最初の映画は、「発明王」の異名を持つトーマス・エジソンが1910年に製作(「Frankenstein」監督:J.シーアル・ダウリィ )している。1915年には「Life Without Soul」(ジョセフ・W・スマイリー監督)という作品も誕生しており、そのまた5年後の1920年にも、イタリアで『Il Mostro Di Frankenstein』(エウジェニオ・テスタ監督)なるものが製作されているようだ。後の2作は現存するフィルムがないようだが、スマイリー監督のものが原作には忠実だったとか言われているようだ。(以下参考に記載の「モンスター映画誕生のアレコレも同時に掲載 『ヴァン・ヘルシング』試写会」参照)
最初の1910年のエジソンの12分程の映画「フランケンシュタイン」では、フランケンシュタインが化学薬品によって生まれたことにしていたそうだ。
18歳のメアリ・シェリーが1818年に書き上げ匿名で出版された作品『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』は、マッド・サイエンティスト(Mad scientist。気違い科学者)のフランケンシュタイン博士が生命を作るという話。
当時、ヨーロッパ各国では人々は産業革命によって、科学に関心を持ち始めていた。興味の中心は最初は、蒸気機関車であったが電気にも移っていった。電気に関しては、紀元前600年ごろ ミレトスタレスが、毛皮でいろいろな物質の表面をこすると、2つの物質の間で引力が生まれると、記述したと伝えられており、静電気の存在を古代ギリシア人は知っていたと考えられており、紀元前250年頃のものとされる、バグダッド電池なるものはガルバニ電池(galvanic cell)に似ているといわれているそうだ。1780年ルイジ・ガルヴァーニは、カエルの解剖をする際に切断用と固定用の2つのメスをカエルの足に差し入れるとこれが震えるのを発見。カエルの足の中に電気が起こるのを見つけた「ガルヴァーニの発見」は電気に関する発見の口火となった。彼はそれに「動物電気」と名づけた。そのようなことで、世間では電気は死体を生き返らせる力があるのではないかとも考えられていたようで、古代から各地で確認されていた電気現象は17世紀に入って、ヨーロッパで理論的に体系付けられ始めていた。そのような社会的背景の下にメアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』は誕生している。
この小説『フランケンシュタイン』では、18世紀の北極点を目指す探険家ロバート・ウオルドンが1人の男を救助する。彼は名前をヴィクトル・フランケンシュタインといった。この男は錬金術に関心があったが1752年、ベンジャミン・フランクリンの雷の実験に影響を受け電気による生命体の創造を試みた。土くれに命を与えるというプロメテウス(ギリシア神話に登場する神で、ティーターンの1人)的企ては、「できそこないの人間」すなわち「怪物」をつくりあげてしまった。博士はこの怪物を拒否し置き去りにした。怪物は森に住み、人間を観察して言葉を学修していったが、次第に、自分の存在を呪うようになった。怪物は恨みを晴らすことを決意するが、荒れ狂いながらも博士に妻を望み、南米に渡って植物を食べて暮らすと約束するが、博士は、途中で、その女を殺してしまう。怪物は報復として彼の家族や友人を殺し、最後には2人とも死んでゆく。いかにも、人間らしい、いや、人間が忘れていたような孤独と悲哀を感じさせる怪物として描かれている。この怪物は身を震わせて言う、「呪われた創造者よ、私が生命を受けた日は憎むべき日になったのである。神は慈悲をもって人間を自らの姿に似せて美しく造ったのに、私の姿は人間に似ているがゆえにかえって不快で醜いものになったおまえ自身なのではないか」と・・・・(以下参考に記載の「松岡正剛の千夜千冊『フランケンシュタイン』メアリー・シェリー」より)。この問いにどう答えたらよいのか。エジソンは、電気がこんな怪物を生み出しはしないという思いから小説とは異なる化学薬品によって生まれたことにしたのだという(以下参考に記載の「[PDF] 電気の世紀 トーマス・エジソン 」より)。
日本で最初の人造人間の記録とおもわれるものとしては、鎌倉時代の説話集『撰集抄』(せんじゅうしょう)巻五「高野山参詣事付骨にて人を造る事」に西行が、故人恋しさに反魂の術を用いて、人を作るという逸話が記されている。人ひとりいない荒れ野に鬼が出てきて、白骨化した死体を集めて再び人間に復元するという話から、西行もその術を知る。故人恋しさに自分も同じ様に白骨を集めて復元してみたが出来上がったものの、結局失敗して、声も出るだけで顔色も悪く心が無い欠陥ゾンビを生み出し後悔するが、「心がないなら草木と一緒、しかし、人の姿をしているからなぁ…」とその失敗作を高野の奥に捨て置いてしまう。その後、西行はそのスジの達人からアドバイスを授かるが、それを聞いているうちに自分の愚かさに気がつくのである。(撰集抄は、以下参考に記載の「松平文庫本『撰集抄』のテキスト 」参照)。何となく、メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』と似ている。
現代人は、人によって製造された、人間を模した機械、つまり、人型のロボット、アンドロイドの総称を人造人間と呼んでいる。アンドロイド(android)はヴィリエ・ド・リラダンが1886年に発表した長篇SF小説『未来のイヴ』に初めて登場するそうだ。 「男性」を意味する andro と、「もどき」を意味する oid (接尾語)の合成語であり、アンドロイドは厳密には男性を指すため、女性型人造人間はガイノイド(gynoid)と呼ばれるのだとか。
聖書旧約聖書創世記天地創造にある神(ヤハウェ)によりアダムとイブが造られたとするキリスト教徒達の考えでは、人間が人間を造るということは神への挑戦、あるいは冒涜であるとされるが、これらより時代を遡るギルガメシュ叙事詩において、既に粘土から人を造るという話が見られる。しかし、初期の人造人間の登場するフィクションの背景には科学技術の進歩や社会の近代化に対する漠然とした不安があった。これが後に人造人間そのものへの不安フランケンシュタイン・コンプレックスとして表現された。これは、メアリー・シェリーの小説『フランケンシュタイン』に由来する言葉で、SF作家アイザック・アシモフが名付けた。このロボットに対する人間の潜在的な恐怖が、「ロボット工学三原則」を生み出したという事になっている。
「ロボットを実現しようとする最初の波は1960年代後半に起きた。これは1950年代に少年誌で『鉄腕アトム』を見て育った世代によるものだ。ロボットは、最初は人のカタチをした姿を構想しただろうが、それは困難なことで、1980年代に人の補助的な作業を託す産業ロボットとして社会に定着したが、次の『機動戦士ガンダム』を見て育った今の30~40代の世代が二足歩行ロボットを成功させた。
現在では、ホンダの開発したASIMOなど人間の動きに近いもの(二足歩行など)、相手の声に反応して表情を変えるものなど、それぞれの分野に特化した形でアンドロイドに近いロボットが実現しており、さらに、今年・2008年1月には、「サルの大脳皮質の活動データで制御するヒューマノイドロボットの二足歩行に成功した。」事が報じられた。(以下参考に記載の「robonable〔ロボナブル〕」参照)
これから、どんな人造人間が出来るのか楽しみではあるが、又、中世の人達が感じたと同じ以上の不安がよぎってくる。
(画像は、ボリス・カーロフ。映画『フランケンシュタインの花嫁』。フリー百科事典Wikipediaより)
ボリス・カーロフの忌日:参考 クリックすると以下に表示される。

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