今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

世界気象デー

2011-03-23 | 記念日
今日・3月23日の記念日「世界気象デー 」は、1950(昭和25)年のこの日に世界気象機関(WMO)が発足して10周年になることを記念して1960(昭和35)年に制定した国際デーの一つである。
世界気象機関(WMO)は、国際連合(略称:国連、UN)の専門機関の一つで、本部はスイスのジュネーヴにある。
地球をめぐる大気を対象とする気象業務においては、様々な分野で国際協力が不可欠であることは言うまでもないことで、気象そのものの性格として、各国が、自国領域内の気象の諸現象のみを対象としていても余り意味をなさず、各国間での情報やデーターのやりとり等を通じてこそ、より正確で完全な気象業務を遂行ができるといえるだろう。
このような気象に関する国際協力の発端は、海運の安全と効率化の観点から気象情報の国際交換の必要性が高まったことを受けて、1853(嘉永6)年にベルギーの首都ブリュッセルで開催された「海運気象会議」で各国の気象関係者が船舶の気象データーの収集に関する国際協力について初めて議論が交わされたのに始まり、陸上の気象観測データーの収集については、1872(明治5)年にドイツの都市ライプチヒで最初の会合がもたれ、これを契機に、1873(明治12)年には、各国の気象台長を構成員とする国際気象機関(IMO)がローマで設立され、日本の中央気象台長も1885(明治18)年にIMOに加わった。
しかし、このIMOは、各国気象台長の個人的な集まりである事から、政府間協定に基ずく国際機関への移行の機運がしだいに高まり、第二次世界大戦後の1950(昭和25)年、世界気象機関条約が締結され、これに沿って、世界気象機関(WMO)が設立され、翌・1951年12月20日に第6回国連総会にて承認され、同日をもって、WMOは、正式な政府間組織として、国連の専門機関として登録された。
我国は1953(昭和28)年にWMOへの加盟が認められた。昨・2010(平成22)年現在、世界189の国・地域が加盟しており、意志決定機関として、4年毎に開催される世界気象会議 (World Meteorological Congress) および、年に一度開催される執行理事会 があるようだ。又、世界気象機関は、 毎年キャンペーンテーマーを設けて気象知識の普及や国際的な気象業務への理解の促進に努めているが、昨・2010(平成22)年のキャンペーンテーマーは「安全と安心につくして60年」であった(以下参考の※1参照)。
国際的なプロジェクトとの1つである、全球大気監視(GAW) は、温室効果ガスオゾン層エアロゾル酸性雨など、地球環境にかかわる大気成分を地球規模で観察し、情報を提供する国際観測計画(以下参考の※2参照)で、日本の気象庁はメタンオゾン全量についてアジアの較正センター業務を担当している(以下参考の※3参照)。
又、オゾン層を破壊する物質の削減スケジュール等を定めた「オゾン層保護のウィーン条約」や地球温暖化防止を目的とする「気候変動枠組条約」(正式名称:「気候変動に関する国際連合枠組条約」。以下参考の※4:「外務省HP」参照)などに貢献している。
WMOは、1988(昭和6)年には、国際連合環境計画(UNEP)と共同で「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」を設立している。
ところで、WMOが最近重要な対策課題としている気候変動とは何だろうか?
気候変動という言葉は地球の気候の変化について使われる言葉であるが、気候が変動する原因には、自然の要素と人為的な原因があるが、近年の用法、特に環境問題の文脈では、化石燃料(石油や石炭・天然ガスなど)の大量消費による人為的な活動に起因する温室効果ガスの濃度上昇に伴って生ずる一連の諸問題であり、そのことが地球環境に悪影響を及ぼす地球温暖化問題である。
この地球温暖化によって大気や海洋の平均温度の上昇だけではなく、海水面上昇による海岸線の浸食や異常気象の頻発、生物圏内の生態系の変化や食糧生産の減少など二次的な諸問題まで含め人類の活動への悪影響が懸念されている(環境省:地球温暖化の科学的知見第4章:地球温暖化問題Q&A編参照。
この地球温暖化は、自然由来の要因と人為的な要因に分けられが、2007(平成19)年2月に、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発行した第4次評価報告書 (AR4) によって膨大な量の学術的(科学的)知見が集約された結果、「人為的な温室効果ガスが温暖化の原因である確率は9割を超える」と報告されている。また、2100 年の気温上昇は1.1〜6.4℃になるとみている(今後の気温上昇予測参照)。
ところで、「気候変動枠組み条約」って変った名前の条約だが、これは地球温暖化問題に対する国際的な“枠組み”を設定した条約であり、1992(平成4)年5月9日 - ニューヨークで採択された。国連気候変動枠組条約、地球温暖化防止条約、温暖化防止条約ともいう。
大気中の温室効果ガスの増加が地球を温暖化し、自然の生態系などに悪影響を及ぼすおそれがあることを、人類共通の関心事であると確認し、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ、現在および将来の気候を保護することを目的とし、気候変動がもたらすさまざまな悪影響を防止するための取り組みの原則、措置などを定めており、前文と、26条からなる本文、それに付随する2つの附属書で構成されている(以下参考の※5を参照)。1994(平成6)年3月21日に発効しているが、日本は発効と同時に締結している。
ただ、この条約には国際的な“枠組み”を設定し・・・とあるように、この条約はあくまでも“枠組条約”(枠組み条約方式と呼ぶ)であって、条文中では具体的な義務内容は記されておらず、「地球環境を守ること」が何よりも大切なことであるから、取り敢えず、条約の一般的な枠組みだけを作成しておき、兎に角頑張ろう!(特に先進国が)といったようなもので、地球環境が破壊されない仕組みを構築するために、締約国が負うべき義務などは条約が発効してから後に協議の上で、追加議定書や選択議定書などを付属し、その明確化を図ろうというのである。
そして、1997(平成9)年12月に京都市で、気候変動枠組条約の発効以来、毎年開かれている締約国会議(COP)の3回目の会合(第3回締約国会議=地球温暖化防止京都会議)が開かれ、地球温暖化に対する初めての国際的な枠組み、つまり、2000年以降の取り組みについての法的拘束力のある数値目標を定めた『京都議定書』(正式名称は、気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書)が採択された。
ここで、「議定書」という名前が使われているが、国際法的には「条約」と何ら変わらないのだが、気候変動枠組み条約が“枠組み条約方式”を採用していることから、あくまでもこの“枠組条約”を補完したもの、つまり、義務内容を明確に記したものであるということからこのような名前となっているようである。
京都議定書には、いくつかの重要な特徴があるが、要約すれば、概ね、以下の4つの点に絞られるているようだ。
○先進国の温室効果ガス排出量について、法的拘束力のある数値目標を各国毎に設定。
○国際的に協調して、目標を達成するための仕組みを導入(排出量取引クリーン開発メカニズム共同実施など。京都メカニズムの概要図は⇒ここを参照)
○途上国に対しては、数値目標などの新たな義務は導入せず。
○森林吸収源という特殊な仕組みを含んでいる(環境goo>環境用語集~環境について調べる~森林呼吸源参照)。
しかし、地球温暖化対策や京都議定書の在り方について、多種多様な議論があり、中でも、温室効果ガスの削減の具体的手法、数値目標については、各国の意見が対立する例が多いようだ。
また、この京都議定書の必要性や効果についてさえ、懐疑論(疑問視する意見)が展開されることも少なくないようである(京都議定書に関する議論参照)が、ともあれ、この「議定書」は、2005(平成17)年2月16日には、発効(国際法としての効力を持つこと。批准参照)している。
ただ、この『京都議定書』・・・。国際社会が一団となってCO2削減に取り組むという画期的な条約であることだけは良く判っているのだが、現在190近い国々が、一体どの国がどのようなことに対して責任を持ち取り組んでいるのか?・・その内容や批准(ひじゅん)状況など、なにか、その全貌が良く判らない・・・・。
昨・2010(平成22)年12月、メキシコのカンクン(Cancun)で開かれた第16回締約国会議(COP16)では、発展途上国の温暖化対策を支援する「グリーン気候基金」の設立などを盛り込んだ「カンクン合意」を採択して閉幕したようだが、合意内容そのものを評価する発言は少ないようで、議定書の延長や新たな枠組みの法的な位置付け、結論を出す時期など主要議題の多くが棚上げされ、難題は今年の、南アフリカのダーバンで行われる会議に持ち越すという基本方針のもとで、玉虫色の表現がちりばめられた合意となっているのだという。
今回の会議結果をめぐっては、「最初の期待値が極めて低かったがゆえに、どんな結果でも失望感は出ない」「それぞれが勝手に自らの主張が盛り込まれたことをもって満足といっている」といった冷静な分析があり、相当程度、これらの指摘は的を射ているだろうという。(以下参考の※6、※7参照)。
中国、インド、ブラジルといった現在経済発展の著しい国もあるのだが、このような発展途上国に削減義務を課していないことは、当初から多くの国が疑問を投げかけていた問題である他、削減義務を課されている先進国でもアメリカのように積極的に取り組もうとしない国があるかと思えば、日本のように過去に徹底した省エネと環境対策に努力をして来た国には努力の限界があるなど、それぞれのお国の事情を抱えての取り組みである。
二酸化炭素の削減には、多くのコストがかかるし、規制を強めれば産業の空洞化を招く危険性もある。
今世界的なインフレが進んでいる。統計的に見ればその主因は食料・原油価格の上昇である。そこから天候が安定し中東の混乱が収まればインフレは落ち着くとの楽観論もあるが、そうは、単純ではない。新興国の経済成長に伴なう食料・エネルギー需要の構造的拡大があり、一方供給量がそれに追いつかないという現実がある。また、新興国の賃金引上げが広がっており、インフレ圧力は食料・エネルギーの問題を超えて高まっている。賃金上昇とインフレ圧力が悪循環している。新興国が低賃金を武器に輸出企業の成長を続けており、輸入国は安く輸入したものを大量に消費する。それが、エネルギー消費に繋がり環境面では、地球温暖化にも繋がってゆくなど複雑な要素がある。いくら環境のためとは言っても、経済の発展・向上を疎外してまでなかなか行ないえないのが現状である。
森林植生も長い眼で見て有効的であるが、日本のように国土に限界があるところでは、なかなか理想通りにはゆかない・・・。日本の苦しい立場は外務省のHPでのぼやき “京都議定書に関する日本の立場(平成22年12月)を見ても良く判るよ。
リーマンショック以降財政面の難しい問題を抱えている国々が、お国の事情や利害の垣根を超えて、共同してこのような環境問題を改善してゆこうというのは今の時代本当に大変なことだろうと思う。
私も余り、このような面を特別に勉強したわけではないので、この機会に、地球温暖化と京都議定書のことについて、もう一度勉強し直してみよう。以下参考に記載の※8、※9など見てみるとよくわかりそうだ。
(冒頭の画像は、WMOの旗。Wikipediaより)
参考:
※1: 世界気象デー 気象庁 | 平成22年3月12日報道発表資料
http://www.jma.go.jp/jma/press/1003/12b/wmo100312.htm
※2:世界気象機関 全球大気監視プログラム(PDF)
http://gaw.kishou.go.jp/qasac/report/gaw172_j.pdf#search='全球大気監視プログラム'
※3:世界気象機関:全球大気監視較正センター
http://gaw.kishou.go.jp/wcc/wcc_j.html
※4:外務省HP:外交政策>地球環境>気候変動
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/kiko/index.html
※5:地球産業文化研究所(GISPRI):地球環境関係
http://www.gispri.or.jp/kankyo/unfccc/index.html
※6:COP16 「カンクン合意」採択して閉幕 難題は先送り
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2778824/6571055
※7:ECO JAPAN TOPICS:課題の多くを棚上げしたCOP16、「カンクン合意」は前進か
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/column/20101215/105521/
※8:地球温暖化
http://www.asahi-net.or.jp/~zi9n-ymgs/gw/gw.html
※9:京都議定書ほんとの基礎知識1[ビジネススキル・仕事術]All About
http://allabout.co.jp/gm/gc/293391/
JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター
http://www.jccca.org/
環境省: 地球温暖化の科学的知見
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/knowledge.html
気象庁サイトマップ
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/sitemap.html
外務省: ウィーン条約/モントリオール議定書
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/ozone.html
EICネット[環境用語集:「世界気象機関]
http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%C0%A4%B3%A6%B5%A4%BE%DD%B5%A1%B4%D8
インターネットで読み解く!「京都議定書、本当の問題点を言おう (2005年2月)
http://dandoweb.com/backno/20050220.htm
世界気象機関 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E6%B0%97%E8%B1%A1%E6%A9%9F%E9%96%A2