今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

サザエさんのマンガにWCの文字

2010-10-22 | 歴史
私が、購読している朝日新聞の中で、週末の新聞土曜版「be」に連載されている「サザエさんをさがして」は楽しみに読んでいる記事の1つだが、その中に、1961(昭和36)年10月22日朝日新聞朝刊のサザエさんの4コマ漫画とトイレについての記事があった。何かのときのネタに使おうと思って切抜きを置いてあったのだが、既に、トイレのことは、このブログの11月10日「トイレの日」で書いてあったので、放って置いたのだが、今日又気まぐれで少し角度を変えて書いてみる気になった。
冒頭に掲載の漫画が1961(昭和36)年10月22日朝日新聞朝刊に掲載されたサザエさんの4コマ漫画のコマ目の漫画である。サザエさんの旦那である波平が路上に車を駐車しているところを警察官に咎められるが理由は「こどもがもう出そうだというものだから」・・・とその理由を言って詫びていると、親切なお巡りさんが同情して、カツオとワカメを抱っこして一緒に近くの公衆トイレに連れて行ってやっている微笑ましい場面である。そして、漫画に描かれている公衆トイレには「WC」の文字が書かれている。
日本には古くから「厠(かわや)」「はばかり」「手水(ちょうず)」「雪隠(せっちん)」など便所を意味する呼称や異称が多くあったが、昭和になると「ご不浄」から「お手洗い」「洗面所」「化粧室」と次第に表現がより穏やかなものが使われるようになり、戦後は「トイレ(トイレット【toilet】から」や「W.C.(water closet の頭文字)」など外国語に由来する表現や男女を示すピクトグラム(絵文字のサイン)でその場所を表したりすることも増えた。しかし、最近は、駅やホテル・百貨店など、青い男性と赤い女性のピクトグラムか、文字としては「化粧室」「restroom」や「toilet」が多く、「 W・C 」の表記はあまり見なくなったが、この「W・C 」と言う言葉が使われだしたのは何時頃からのことだろう。
又、トイレの便器には、小用専用の小便器と、大小用兼用の大便器があるが、小便器は別として、日本のトイレには和式(床にしゃがみこむタイプ、トルコ式ともいう)と洋式(椅子に腰掛けるタイプ)があるが、今では和式トイレは、古い建物や公園など限られた場所でしか見ることがなくなった。
以下参考に記載の※1:「TOTOトイレ博物館」には、現在使われているようなサイホン式水洗便器(リンク先の便器のところを参照)の出始めのもの(TOTO製C21。昭和30年~昭和56年)が展示されている。水洗式便所が普及し始めたのは戦後の高度経済成長期に、都市への人口流入が急速に進み、都市部の住宅が極端に不足していたなか勤労者に住宅を供給するために日本住宅公団が設立された1955(昭和30)年頃からのこと。公団住宅には、シリンダー錠、ステンレス流し台、洋式トイレ、ガス風呂など近代的な設備を備えていたため、公団住宅への入居は当時のサラリーマンの憧れであった。
日本水道協会によれば、1961(昭和36)年には下水道普及率はまだ6%にしか過ぎなかったので、まだ、東京の都市部でも水洗トイレは導入されていなかっただろうから、サザエさんの漫画にある「W・C」と表示されている公衆便所は、和式の汲み取り式便所であったろうと「サザエさんをさがして」の記事にも記されてた。
「W・C 」は「water closet」の頭文字であり、直訳では、「水の流れる小部屋」といった意味のイギリス英語だそうで、近代初となる水洗式トイレの発明は、ヴィクトリア朝時代のイギリスでトーマス・クラッパーと言う人によるもので、水槽の水で便器をきちんと洗浄できるか、りんごやグリースなどを汚物に見立てて何度も実験を繰り返し、苦労をして改良をしたということが彼を描いた『トイレになった男』(論創社。以下参考に記載の※2参照)に書かれてているという。
サザエさんの漫画の「W・C」は汲み取り式であったろうから「水洗」と言う本来の意味とは違うが、日本では、戦後、確かに便所一般を「W・C」と呼んでいたのを思い出す。
英語では、「トイレ」という表記の元の語(toilet」)自体が「化粧室」を意味する場合もあるが、「便器」を意味する直截的な単語でもあるため、外国では、日常会話では、住居において同室に設置されることが多い風呂と合わせて「bathroom」と呼んだり、本来は「休憩室」を意味する「rest room」、あるいは「men's/lady's room」と婉曲的な表現を用いることが一般的であった。もともと日本では「便所」と言う言葉を嫌うこともあり、又、便所の場所の表示として使うためには、トイレの英語表記では文字数が多く判り難いが、「W・C」の2文字なら大きく書け、遠目からでも識別し易いことから、表記上の合理性もあったからではないかと思う。
しかし、では何時から「W・C」が消えたのだろうか?
それは、1964(昭和39)年の東京でのオリンピック開催が大きな理由であったらしい。
トイレの呼び名も国、地域により様々であるが、世界の国を訪れると、Toilet(トイレット)と言えば、どこの国でもその場所を教えてくれる。そして、色々な表示の中でも北欧・フィンランドのホテルでみたトイレの扉にあった男性の絵と女性の絵のそれぞれに、男にはGENT'S、女にはLADIESの文字が添えられていたものが最もユニークであったという。(以下参考に記載の※3の第54回:私の見たユニークなトイレマーク参照)。
そのようなことから、日本でも世界各国から来る選手や関係者、観光客など文字の通じない外国の人にもはっきり判るように、女性をスカートで表現して男性と区別したピクトグラム(絵文字のサイン)を東京の街中に採用したところ好評だったことより、一般的な「トイレ」の用語とともに、図柄での表示も定着したようだ。図柄は2002(平成14)年日本工業規格(JIS)として、案内用図記号が統一された(以下参考に記載の※4、※5参照)。そして、1960年頃から、便所のことを「W・C」という言い方から「トイレ」に変わってきたようだ。
現在の衛生陶器・住宅設備機器メーカーであるTOTOは1917(大正6)年に創業し、その頃から日本初の腰掛式水洗便器を販売していたが、食器類なども扱っていた。戦後、住宅の近代化などにより家庭でのトイレの様式化が始まった1960年代は、米国からの輸入によって温水洗浄便座(ウォッシュエアシート)の販売を行っていた。その後、“本業”の衛生陶器・水栓等で十分に稼げるようになったことで食器生産を終了し、国産の開発を進め、現在のTOTOロゴを使用して、本格的に“本業”に事業集約をしたのは、1969(昭和44)年のことだそうである。
同年には 「ウォッシュエアシート」を国産化 し、1980年代にはTOTO「ウォシュレット」を発売し大ヒット商品となる。コピーライター仲畑貴志によるCMでのキャッチコピー「お尻だって洗ってほしい」は流行語になった。以下でそのCMが見られる。
YouTube-TOTOウォシュレット
http://www.youtube.com/watch?v=L8ndLz4SGmU
タレントの戸川純は、このCMのキャラクターに起用され、話題を呼び注目を集めるようになったが、この当時の彼女は可愛いね~。
我が家も相当前に「ウォシュレット」を設置しているが、出始めは、どうも抵抗があって厭だった。だからちょっといいホテルなどでは早くから、「ウォシュレット」を設置していたがそれを使わず別の場所で普通のトイレットを利用したりしていた。
しかし、あるとき会社のもちの仲間から、恃には大変効果的だと聞いた。正直私もその頃軽いイボ痔にかかり、排便後がすっきりしないので、ちょうど家の改装を行なう時期だったことから同時に便器も「ウォシュレット」に変更してもらったが、最初はちょっと厭とも思ったが、慣れると非常に気持ちが良いので早く交換して良かったと思っている。
TOTOが、1980年に発売した温水洗浄便座「ウォシュレッ」トは、1000万台を突破するのに1998年までかかったが、その7年後の2005(平成17)年07月01日、累計出荷台数が2000万台を突破したと発表している。そして温水洗浄便座の普及率は2004年には59.7%にまで伸びているという(以下参考に記載の※6参照)。
TOTOは、ウォシュレットが2000万台を突破したことを記念して、ウォシュレットの使い心地、初めて使用したときの思い出、痔の闘病記など、トイレにまつわるあれこれを「5・7・5」の川柳で表現した作品を募集し、今年・2010(平成22)年 8月末には、第6回「トイレ川柳」の募集を終了している。第6回応募作品の内容は判らないが、第5回 トイレ川柳のついては、以下参考に記載の※7:「TOTO:第5回 トイレ川柳大賞 入賞作品発表」を見られると判る。なかなか面白い作品がある。
キッズ賞に入っている「トイレまで 走って走って 行ったんだ」・・・など、差し詰め、冒頭のサザエさんの漫画のようだ。
特に賞はとっていないようだが、「トイレまで 綺麗な家は 他も綺麗」など、言えていることで、私が商社へ入社したとき上司から最初に言われたことは、先ず、「靴だけは毎日綺麗に磨いて置けよ」・・だった。昭和30年代の初めのことであり、給料も安いし、服装にもそうお金をかけられない時代、見栄を張って、服装には金もかけ手入れはしていても靴など汚れていても余り手入れをしていない人がいた。大阪などの商人は、人を見るとき一番手の入っていないだろう靴などを先ず見てその人を判断する・・ということだ。
家のことでも同じで、普段は勿論のこと、人が来るとき、部屋などの清掃はちゃんとしていても、目立たないトイレなど行き届いていない家が多かったが、私の家内の叔母(私の母の友人であり、私と家内の仲人をしてくれた人でもある)など、予告もなく突然に家へ来ることも多かったが、家へ来ると必ず「御不浄を貸してください」・・と言ってトイレへ行った。その後何も言わないが、きっちりとこちらの普段の家の管理状態をチェックしていたのだろう。表面上の見えるところは装っていても人の目に付かないところはいい加減なことをしている人は結構多いもので、見る人はきっちりとそういうところを見ているものだ。
「トイレだって 洗ってほしい ウォシュレット」・・・・この川柳なんかそんなことを言っているのだろう。自分のお尻は洗浄してもその人はどんなトイレで用を達しているのだろうね~(^0^)。
しかし、かって、公衆のトイレは、不衛生なところが多かったが、最近はJRや百貨店・スーパーその他の施設にあるトイレもよく清掃され、手入れも行き届いてきれいになっているところが増えた。私の知っている小型スーパー(今は大きな店を展開)のチェーン店の社長は、まだまだ、何処のトイレも汚い時代に、「トイレに落とした10円玉を拾えるようにしろ」「トイレでラーメンが食べれるようにしろ」と言って、一日に何度も当番制で従業員にトイレの掃除をさせていた。当然店内はチリ1つ落ちていないぐらい清掃に気をつけていたが、創業、5年後に株式の店頭公開を果たしている。先見の明のある偉い人だった。
洋式トイレが主流となった現在でも、外出先では和式を好む人が多いものだ。駅・百貨店やホテルなど大きな施設では不特定多数が利用するので、そのようなお客様のサービスとして和式と洋式の両方を設置される場合が多い。ただ、このような複数のトイレがある場合、昔は1つだけが洋式だったのが、現在では和式が1つだけと逆になっている。他人が座った便器に座るのが生理的に厭だという人(特に女性)がまだまだ多いということだろう。
先日テレビのバラエティー番組で女優さんたちの間でトイレが話題になっていたが、最近はホテルなどでウォシュレットを設置しているところも多いが、彼女たちの多くは自分の家などプライベートなところ以外では、ウォシュレットは使わないと言っていた。理由は誰が使ったのかも知れないウォシュレットからの水を浴びた器具から出てくる水など使用できないということ。他人が座った便器に座るのも厭な人にとっては当然なのだろう。使い捨ての便座シートや消毒液の設置がないトイレも多いので、家人なども、トイレ用のクイックル(お掃除シート)などをいつも携帯している。これは、幾らトイレを設置している施設側がトイレの清掃に気をつけていても変わらない女性の感情なのだろうね。
(冒頭に掲載の漫画は1961年10月22日朝日新聞朝刊に掲載されたサザエさんの4コマ漫画の4コマ目の漫画。朝日新聞より)
※1:TOTOトイレ博物館
http://www.woodssite.net/remodel/HAKUBUTUKAN.html
※2:《トイレになった男》_衛生技師トーマス・クラッパー物語
http://www.mediawars.ne.jp/~tairyudo/tukan02/tukan3135.htm
※ 3:特定非営利活動法人日本下水文化研究会
http://www.jca.apc.org/jade/sinyouindex.htm
※4:標準案内用図記号:交通エコロジー・モビリティ財団
http://www.ecomo.or.jp/barrierfree/pictogram/picto_top.html
※5:標準関係略語説明:各種コード一覧
http://www2u.biglobe.ne.jp/~standard/mark/z8210/z8210.htm
※6:Livedoorニュース
http://news.livedoor.com/article/detail/1254029/
※7:TOTO:第5回 トイレ川柳大賞 入賞作品発表
http://www.toto.co.jp/senryu/2009/index.htm
(社)日本下水道協会
http://www.jswa.jp/index.htm
(社)日本下水道協会
http://www.jswa.jp/index.htm
社団法人 日本下水道協会>下水道の普及率と実施状況
http://www.jswa.jp/05_arekore/07_fukyu/index.html
便所 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BE%BF%E6%89%80
TOTOホームページ
http://www.toto.co.jp/index.htm
朝日新聞出版 最新刊行物:書籍:サザエさんをさがして
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=7096