イタリアの鬼才、ナンニ・モレッティ監督の自伝的作品です。監督自らヒロインの兄役を巧妙に演じていると話題になり、多くの映画祭で賞を取った作品
神経質な女性監督は母親の入院で心が落ち着かない。撮影中の映画も、イタリア語がうまくしゃべれない有名俳優とのトラブルが持ち上がるなど散々。
母との思い出をたどりつつ、自らの人生を振り返っては自己嫌悪に駆られる、という話ですが・・・
結婚生活も恋人も犠牲にし、娘の気持ちも顧みず、仕事中心に生きてきたマルゲリータ、母親の病をきっかけに人生を振り返り、家族の愛と絆を取り戻そう
とするのですが、気丈な主人公(マルゲリータ)が思わず見せる弱さと優しさ。イタリアきっての名女優マルゲリータ・ブイのリアルな演技、同じ位の両親を
持つ私には、身につまされた。冗談好きな映画俳優「バリー」がセリフを覚えられないのは、言葉の問題ではなく病気に原因がある、と明らかになっていく
事が象徴的ですが、この映画においては、表面的な感情や出来事の原因は、深層心理にある病や不満の表れであるのでは?と、きわめて分析的な映画
では無いでしょうか?映画の流れが強弱が無く淡々と話が進むので少々・・・・
静かに身じまいを始めていた母親の、穏やかな笑顔が忘れられない。 ★★☆