ふぶきの部屋

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韓国史劇風小説「天皇の母」14(フィクション・・さ)

2011-06-20 07:42:59 | 小説「天皇の母1話ー100話

ショウダ家では「噂」には耳を貸すまいと思っていた。

軽井沢のテニスコートで娘が皇太子とテニスをしたのは事実。だからって即「お妃候補」

の一人になってしまうなんて思ってもいなかったのだ。

自分達が単なる「商人」である事は十分にわかっている。

それ以上の野心などさらさらない。けれど、周りはそうみない・・・

週刊誌などで「ショウダミチコさん!お妃に?」などという見出しが出ると冷や汗が出る。

けれど、もっと冷や汗が出たのは宮内庁から正式な話があった時だった。

 

ミチコさんを皇太子妃に」

全くもって恐れ多い。ショウダ家は元華族でも皇族でもない。

母フミコもチチエイザブロウも即座に「辞退」する旨を伝えた。

どうしましょう・・・皇室に嫁ぐなんてそんな恐ろしいこと」

フミコは頭を抱え込む。

どんなに苦労するか見なくてもわかりますわ。あちらは特別なお家でしきたりとか

習慣とか一般とは全く違うのですもの」

それはそうだ。だが、宮内庁からは毎日のように電話がかかってくるし、皇太子から

のお誘いも途切れない。断るわけにもいかないし・・・どうしたものやら」

あの子をパリにやりましょう」

「パリに?」

ええ。聖心女子の同窓会があるのです。パリで。そのついでにアメリカなどを

見てくるように言いますわ。半年は戻って来ないでしょうし」

という事で、フミコはすぐに準備を始めた。

その手際のよさは、まるで悪魔から守る母の心境そのものだったに違いない。

 

当のミチコがどう思っていたか。

それは戸惑いばかりだった。

戦後とはいっても恋愛結婚が必ずしも普通ではなかった。まして自分のような

人間はいつか親が設定した見合いで適当な人と結ばれるのだろうと思っていた。

勿論、女性らしい憧れがないわけではない。

しかし、容姿や学歴などよりも人間性を重視したいとは思っている。

そういう意味で、皇太子は・・・・・

とても優しく、そして行動力がある人だ。

趣味がテニスという事で、その話は尽きないし、一緒にいるととても楽しい。

でもこれが「恋愛」かと言われると、どうも・・・わからない。

でもとにかく、世間が騒げば騒ぐ程、両親に迷惑がかかってしまう。

何とかしなくては。

 

パリへ?」

皇太子は目を大きく見開いた。

学習院の学友を招いたパーティの中にミチコも場違いとはいえ、招かれていた。

あたりが気をきかせて、そっと二人きりにする。

皇太子とミチコは東宮御所の庭を静かに散歩した。

どれくらい?」

「半年です。同窓会があり、それに出席したあとアメリカへも」

「そう。寂しいね。でもあなたにとってはいい事だから」

皇太子は何とか自分を納得させようとしている。

あの・・」

二人同時に言いかけて止まった。お互いに顔を見合わせて笑う。

「ミチコさんから」

私は殿下とは育った環境が違います。勿論、受けた教育も。だからきっと」

そう・・違うね。だからこそ僕はあなたに来て欲しいんだ」

皇太子の目は真剣だった。

僕は生まれた時から皇太子でした。小さい頃に両親や兄弟と離れて、東宮御所で

内舎人や侍従達と暮らしていたんです。兄弟喧嘩の経験もないし、親子のふれあいも

あまりありません。僕の回りには常に「皇太子らしくあれ」とする人達だけがいて

「あなたは特別だから」「あなたは皇太子だから」といい、色々行動に制限をかける。

ある時、それが嫌で、学校を学友と飛び出した事がありました。夜中にこっそり。

誰にも知られずに銀座とか新橋あたりを歩き回って、そりゃあ楽しかったし、

みんなの鼻を空かしてやったと思いました。でも、実は僕の後ろにはしっかりと

皇宮警察がついていたんですね。それを知った時の僕の気持ち、わかりますか?

僕一人の為に、夜中に警察官に護衛させてしまった。それはなんて迷惑な話だった

ろうかと。それと同時に、僕がどんなにあがいても自分の運命からは逃れられない

という気持ち。この二つが心に穴を開けたのです。

だったらせめて、結婚くらいは・・・普通の・・一般家庭と同じような温かい家庭を

持つまでは死ねない。いや、死なないと心に決めたのです。それだけが僕の

たった一つの望みであり希望です

ミチコは目からあふれる涙を拭う事が出来なかった。

なんと孤独な方なのだろう。皇太子殿下は。

「家庭を持つまでは死ねない」今まで読んだどんな本の中にも、これほど悲しい

言葉は見た事がない。

私はこの人を・・・・

どうか前向きに考えて欲しい。僕との結婚を。僕は皇太子だから自分の事よりも

公を優先させなくてはなりません。あなたにはその点、苦労させてしまうとは思います

が、それでも僕はあなたと家庭を築きたいのです」

ミチコは自分がいつの間にか恋をしている事に気づいた。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (のぶちゃま①)
2011-06-20 20:10:59
う、ううー
泣かせるねー
Unknown (ふぶき)
2011-06-21 08:17:00
>のぶちゃまさま
どうぞ泣いてください。目一杯。
Unknown (螢のひかり)
2013-06-23 13:05:20
今上陛下が結婚に対してそのようなお気持ちを持たれていたのかと・・・とても嬉しく想いました。並々ならぬ想いだったのですね。本当の孤独を知っていらっしゃるが故なのでしょうね。私のような一般庶民はテレビを通してしか拝見する事しかありませんでしたが、私の目には『不自然なご家族』としか映りませんでした。言葉も表情も何もかもが不自然。けれど特別な存在だからそれが当たり前なのかなとも想っていました。映像を通しては、これが限界、想いまでは伝わらないのかなと改めて想いました。
Unknown (Unknown)
2013-06-24 19:35:04
>蛍のひかりさま
フィクションですよっ!
とはいっても、「家庭を持つまでは死ねない」という言葉を聞いた時、皇后様は「今まで読んだどんな書物にもこんな悲しい言葉はなかった」と思われたそうです。
今上・皇后は「皇室」に過剰適応したんですね。

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