Baradomo日誌

ジェンベの話、コラの話、サッカーの話やらよしなしごとを。

John Spencer Blues Explosion

2006-04-04 | 今日の「この音」
PILに死刑宣告を受け、ライブエイドで集団自殺を遂げたロック。
「ロック暗黒の時代」などとも言われた80年代以降を今振り返れば、それは「ロック解体」「ロック再構築」そして「サブカルチャー全般の再解釈」の時代として再評価できるのではないか。
…な~んてRockin'On的な書き出しをしてしまったが、少なくともこの時代、「ロックであること」は、Punkとの距離感を表明せずして成立しないかのような風潮があった(ように思う)。
そして80年代末から90年代にかけて、「Punksが○○をやると…」という表現が妥当な確信犯が数多く輩出された。
それは例えば70年代末の「PunkとColtraneとの邂逅」と言われたTelevisionのような事例とは、Punkであることの意味あいが一味も二味も違うのだ。
というか、徹頭徹尾Punk。
いわゆるミクスチャー系、後のオルタナ一派がそれにあたるが、その中でも異彩を放つのがこの、John Spencer Blues Explosion。

最初に聴いたのは"Extra Width"だったか?
学生の頃、当時のバンドメンバーが、「全然ブルースじゃないから、あんたの好みぢゃないよ!」と固辞するのを無理矢理強奪。
名前からしてブルースの爆発だわ、パンクとブルースの邂逅という謳い文句で元プッシー・ガロアだわ、そ~れで俺の好みぢゃないってこたぁないだろう!と勢い込んだものの、第一印象は「?」。

爆発と言うより暴発。
ベースレストリオという編成がハウスロッカーズを思わせなくもないが、どこがBluesじゃぁ?と思ったんだけれど…次の"ORANGE"で目からうろこ。

3曲目 Dang
こっこのリフは!
な~んでいきなりTrick Backなのよ?
蒸気機関車を連想させる、やたらと前のめりに突っ込み気味の8ビートに、何故か感じたBlues。
あぁ、これなのか!
とぐろを巻くようなビートの上を浮遊する性急なギター、疾走するテルミン。
そのあり様は、病んだ現代人のささくれだった心象風景か?
滲み出る負のイメージは、明らかに薬物の影響を感じさせる。
古のブルースマンならばアルコールだっただろうに…と、思いきや、当のJohn本人はノンドラッグだそうだから天晴れ、と言えるのかな。

彼らは理屈抜きのBlues Maniaだ。
PunksがBluesやればこうなる、という1つの理想形であることは間違いない。
周囲のすべてを巻き込み、とぐろを巻きながら増幅し、周囲に何らかの衝動のみを撒き散らしていくかのごときビート感は、明らかにBlues。
その後Fat-Possum系に近づいたのは必然なのだ。
PunksがCuntryやってるR.E.Mがどんどん「歌」「言葉の響き」を突き詰めていったことで、ある意味内省的になっていったこととは好対照(ドラマーが抜けたという影響は否めないが)。

だって、Bluesだもんね。彼らはどこへも行かない。