Baradomo日誌

ジェンベの話、コラの話、サッカーの話やらよしなしごとを。

ユスフ・クンバサ

2007-03-27 | 子どもの視線・親の気持ち
先日、イエレー・クニハルさんと練習させてもらったSorsonet、音FoolでよくやるSinte、ママディのライブなんかでもやってるTiriba。
ブレークがあったり、ポリメトリックスであったりするこれらの楽曲、どうも気になるんだけど、本来のノリってどうなんだろう?とよく考える。
だいたいブレークのフレーズって、教則本やDVDを見ていてもまず出てこないから、WSなり練習会にもっと参加して、盗んでくるしかないんだけれど、土日も仕事、平日はほぼ父子家庭状態の現状では、それもままならない。
そこで、ママディの教則DVDと一緒に、ユスフ・クンバサ大先生のダンス教則DVDを購入してみた。
ダンスの振り付けがあるんだから、当然ブレークもあるだろう?と思ったわけだ。

で、昨夜の夕食後、早速再生。
前述の3曲に加え、Ginea FareとDunnunbaなんかも入ってる。
おぉ、なるほど、こりゃわかりやすい!これならブレークも怖くない・・・かな?なんて思いつつ、ジェンベを叩きはじめる私。
すると、いきなりテレビの前にしゃしゃり出てきた娘二人。
「うわっ、激し~!」
「あ、この動き、こないだヒビキ君のお母さんがやってた!」
な~んて言いながら、真似して踊り始めた。

・・・かかったな、まんまと!

実は先日、上の娘は某所のオーディションを受けた。
現在通っているスクールでは、小さい子達の面倒を見ながら、懸命に練習している彼女だが、人間関係含めていろんな意味で壁に当たっている印象もあった。
そこで、武者修行的にオーディションを受けさせたわけだが、ダンスしかやってきていない娘が歌や演技(!)まで含めたオーディションに受かろうはずもなく、見事落選。
しかし、悔しいことは悔しかったらしく、帰宅後は目を真っ赤にして「畑違いだけどさ~」とつぶやいていた。
自分のスクールの発表会では、いつもセンターで踊る彼女だが、そつなく踊っているように見えても、彼女のダンスは肩や手先の表情が少ない。顔の表情はもっと少ない。そういった面も自覚させつつ、さらに次の課題を自ら見つけてもらわないと伸びるものも伸びないなぁ、ってのがオーディションを受けさせた真意。
しかし、挫折感を味あわせただけでは次のステップは見えない。ヒントくらいやらないと。
そこにちょうどギニア・バレエ。

どうよ、今の顔!自分で見てごらんよ!
いい表情してるじゃないの!そういう顔で踊らにゃいかんよ、いつだって!

「だって~、初めて見る振り付けを踊れなかったら悔しいんだよ!」
そう言いながら、いつの間にやら下の娘を仕切りつつ、ほぼ振り付けを飲み込んじゃった上の娘。
その隣に鎮座し、うけけけ~っ!としたり顔でジェンベを叩き続ける私。

ちょうどそこにカミサンが帰宅。
まさに目が「点」。
「・・・すごい光景。こんなことやってるウチ、聞いたことないよ。」
「君も一緒に踊ってみる?」
「君こそジェンベじゃなくて、踊ったら?やせるよ、これは!」
・・・ふんっ!大きなお世話だ。


春分の日にジェンベかついで

2007-03-22 | 子どもの視線・親の気持ち
昨日は春分の日。
なのに、カミサンは出勤、ついでに私も当番で出勤日!
しかし、長女の誕生日でもあるので、無理言って私が休みを取り、当初はお袋の墓参りに、と思っていたのだが、実家の親父が不在だというので帰省を取りやめ、急遽、朝9時過ぎから親子3人でイエレー・クニハルさんの個人練(家族練か?)にお邪魔させてもらった。
と言うのも、クニハルさんの奥さんがアフリカン・ダンスを踊るため。

何を隠そう、ウチの長女は6年くらいヒップホップやジャズダンスなど、一通りなんでも教えるダンス・スクールに通ってきて、ある程度の基礎はできている様子。また、次女はそんな姉の姿をずーっと見てきて、本人もぼちぼち通い始めようと思い立ったところ。
しかし、アフリカンとなるとまったくの未体験ゾーンだ。
娘たちには刺激になるだろうなぁ~と、実は以前からチャンスを伺っていたのだった。

しかし、いざ引き合わせ、「教えてもらいなよ!」とけしかけても、やはり初対面ゆえか、どうもぎごちなく、一緒に少しストレッチやったくらいで、あとは傍観。
むしろ、あちらの4歳になるヒビキくんという息子さんと遊ぶのに忙しく、ダンスに混じるどころではなかった。

で、私はと言えば、クニハルさんのとなりで、彼の手元を覗き込み、奥さんともう一人駆けつけたダンサーの動きを注視しつつ、なんとか邪魔せんようにひたすらアコンパを叩き続ける。
実はこういう修業的な練習がしたかったのよね。
Kassa、sinte、sorsonet、sokoなどやりつつ、みっちり2時間以上ご一緒させてもらった。
いくつかのキメも教えて貰ったのに、1日たったら既にうろ覚えになっているのが悲しいけれど、そんな中、実は最近気になっていたsorsonetがやれたのは大きな収穫。
3と4が重層的に絡んだこのリズム、やはり大人数でやると飛べそうだなぁ。
あるいはドラムソロに応用が利きそうだなぁ・・・。

大体、私がアフリカンに興味を持ったそもそもの理由は、ポリリズムだし、また、学生の頃にたまたま思いついた6/8拍子のギターリフをうまくリズムアレンジできず、バンドとして曲にすることができなかった、という体験がもとにある。
もう20年近く前のことだけれど。
あの時、ギニアやマリのトラッドを聴きこんでいればなぁ・・・。

帰宅後、そんなことをぼんやりと考えつつ夕飯の仕度をしていると、帰宅したカミサンに飛びついた娘たちが「ヒビキくん超かわい~!」な~んて話している。
つい耳をそばだてると「こ~んな感じの姿勢でね、弱そうな狩人だなぁなんて言われてたんだよ。振り付けに、全部意味があるんだって」とか、「ドンドンって叩くのは、鉄砲撃つ音なんだって」な~んて二人そろってご報告してる。
なんだよ、しっかり栄養つけてきたじゃないの、君たち。
今後の展開に期待が持てるな。

にわとり・はーどぼいるど。

2007-03-08 | よしなしごと
昼飯時によく行くラーメン屋がある。
とんこつがメインだが、さっぱりめが食いたいという客も多いので、昔風のしょうゆ風味のシナそばも出しており、最近、新メニュー「塩味」のシナそばってのが加わったと聞いたので、今日はそれを楽しみに行ってみた。

寸胴からもうもうと上がる蒸気が店内を覆い、冬は暖房要らずだが、今日はちと暑いな。
コの字型のカウンターだけの店内は9人も座れば満席。たった一人の店主が切り盛りするにはちょうどいい。
先に座っていた職人風のおっちゃんに「すいませんね」と一声掛けながら調理場脇の席に座った俺は、MDのスイッチを入れて目をつぶった。
ママディの音源を聴きこんで、横太鼓のパターンを覚えるのだ。

耳元で「ゴツッ」という音がしたことに驚き、目を開けると、隣の職人風のおっちゃんがみじろぎすらせずに、何かを一心に凝視している。
つい今しがた置かれたらしいとんこつラーメンには目もくれず、スープの濃厚な匂いにさらされたまま、何かを一心に凝視している。
ヘッドフォンをはずしながらその視線を追うと、俺の対面から奇妙な音が聞こえてきた。

「ハフ~ッフングッジュルルルルッ、ハフ~ッフングッジュルルルルッ・・・」

見れば、年齢の頃合多分30前後の男がラーメンと餃子とどんぶり飯を食っている。
箸は見事なねじり箸だから、麺をまともにつかめず、箸に麺を引っ掛けるようにしてから、それを落とさずに口に入れようと、上半身を折り曲げ、口をどんぶりすれすれまで近づける。
と、ここまでは犬食いと同じだが、次の動作が魅惑的。
麺を口に含むと、上半身の角度はそのままに、すばやくあごを上げながら麺をすすりこむ!
すすりこむとまた口をどんぶりすれすれまで下ろし、麺を口に含むと、すかさずあごを上げながら麺をすすりこみ、またどんぶりすれすれまで口を・・・。

「ハフ~ッフングッジュルルルルッ、ハフ~ッフングッジュルルルルッ・・・」

とにかく、やたらと上下動するあご。張子の虎のようにせわしなく動くその首。
茨城のヤンキーも真っ青。
そのうち、落ち着きなく動き回る目線も追加された。
店内にいる自分以外の全員から「視られて」いることを察知したのだろうか?

立って待っている客までいたにもかかわらず、そやつの両サイドが空席だったことは言うまでもないが、店主までもが他の客にラーメンを出す際、そやつに背を向けながらカウンターの中の通路を歩いていたのは、他の客に迷惑を掛けぬように、という気配りからだったのか。
店主の背中にできたスープの水玉模様に、ラーメン屋の矜持を見た。

問題の男は、まるでおびえた小動物のようにせわしなく麺をすすり終えると、やおら立ち上がり、店主に1000円札を突き出した。そして残っていた餃子を二つまとめて頬張り、コップの水で一気にそれを飲み下すと、つりを受け取り、挨拶代わりのゲップを一発放って店を出た。

隣のおっちゃんが、誰に言うでもなく一言。
「・・・犬食い、とも違うな。」
沈黙に支配された店内で、店内の全ての客が動かない。
皆、箸を止めたまま視線を泳がせている。

一瞬の間をおいて、
「えさをついばむ『ニワトリ』。」
とつぶやき、Kukuっと笑った店主。
おもむろにねぎを刻み始めた彼の包丁の音に急かされるように、全ての客がラーメンをすすり始めた。

そして。
知らぬ間に置かれていた俺の塩味のシナそばは、見事に伸びきっていた。
明日、もう一度頼もう。

ちょこれーと紛争

2007-03-06 | 子どもの視線・親の気持ち
実話です。念のため。

先月の13日のこと。

毎日、放課後は学童保育所に通っている小学校1年生のW君は、「明日、どうしても学童へは行きたくないよ~!」と、突然駄々をこね始めた。
お母さんが理由を聞いても、「内緒」の一点張り。
学童でトラブルでもあったのだろうか?と鎌をかけてみても、やっぱり「内緒」。
しかし、1年生の彼を夕方6時頃まで一人ぼっちで家においておくわけにも行かず、困り果てたお母さんはお父さんと相談。
「何かあったのかもしれないなぁ。そういうこともあるんだろうから、ちょっと様子を見よう。」と言ったお父さんは、すかさず近所に住む実母、つまりW君のお祖母さんに留守番をお願い。
目に入れても痛くないほどかわいい初孫の一大事!と、お祖母さんが留守番を快諾してくれたおかげで、翌日、W君は無事、学校から家へ直帰することができた。

そしてその日の夕方6時過ぎ。
心配顔で帰宅したご両親を迎えたW君はにっこにこ。
「家で遊びたかったのかねぇ。」
「学童だと、上級生にいじめられたりするのかもね。」
と話すお父さんお母さん。
そこで、「じゃ、帰るよ。」と履物をはいたお祖母さんが振り向きざま、妙な一言を。
「あの子、ずいぶん上級生の女の子たちとお友達なんだねぇ。」
「?・・・!」

あわててキッチンに駆け込んだご両親が見たものは、満面の笑みを浮かべてチョコレートにぱくつくW君の姿だった。

「なによそれ、バレンタイン?」
「そーだよ、もらう約束してたんだ!」

どうやら彼は、数人の女の子たちから、チョコをもらう約束をしていたんだそうな。
しかし、学童でもらうと、ほかの子たちに奪われてしまう。
だから、どうしても今日は家にいなきゃイケなかったんだと。
しかも彼、くりっとした目がかわいいと、5,6年生の間で評判の「アイドル」であったのだが、そんなこと、ご両親が知るはずもなく・・・。

「だって、ばれんたいんでーって、女の子からチョコをもらえる日なんでしょ?幼稚園からきた友達が言ってたよ。ぜんぜんもらえない男の子ははずかしいんだってさ。」
「なんだそりゃ?・・・で、一体、いくつもらったの?」
「10・・・12こくらいかな?」

絶句する父親を尻目に、次のチョコへと手を伸ばしたW君。
そこでお母さんが冷静に言葉をかけた。
「じゃ、12個、クッキー用意するのね。お小遣い、あるの?」
「え?なんのこと??」
「・・・ま、まさかあんた、もらうだけもらって終わりだと思ってたんじゃ・・・。」
「???」

さすが保育園純粋培養型の男子1年生。
ホワイトデーの存在を知らなかったらしい。

「俺なんて、ABCチョコ1つだぜ・・・。」
と、一人愚痴りながら、W君のお父さんが息子の食べ残しをつまみに缶ビールを飲み始めた、ちょうどその頃、その2軒となりのA君宅に1台の車が止まった。

降りてきたのはHちゃん。
毎晩遅くまで学習塾に通う、いつも強気な女の子。
学校のクラスではなんでもトップじゃなきゃイヤ、誰にも何でも負けたくないの!とばかりに、時には男の子たちをぼこぼこにしてしまうこともある、実は武闘派だったりするので、彼女を恐れる男の子は多い。
実はA君もその一人なのだが、恋は盲目だ。

さて、時計の針は10時を指していたけれど、夜の風は頬を切るほど冷たいけれど、これこそ本命なのよっ!とばかりに気合十分で冬空の下に仁王立ち。
いわゆる友チョコは、今日、学校でクラスの女の子達10数人と交換してきた。
でも、これは正真正銘のバレンタインチョコなの!と、大切そうに胸に抱いた紙袋一つ。
本命A君にはお手紙と、自分とおそろいの文房具セット、そのたもろもろ、一切合財をポップな紙袋につめこみ、かわいいリボンを掛けた、それはあたかも「福袋」(H妹談)。
思い切って呼び鈴を鳴らすと、おびえた表情のA君がお母さんに伴われて出てきた。
「・・・なに?こんな時間に何の用?」
「こんばんは・・・あの・・・これ・・・。」
と、彼に紙袋を押し付けると、脱兎のごとく駆け出した。
「早く帰ろっ!」
と運転席に声を掛けると、そこではHちゃんのお母さんが「Zzzzzz・・・・」。

無理もない。
娘のわがままに付き合い、昨夜は10数人分の友チョコを徹夜で作成、休むまもなく本命の巨大チョコを作って、一切合財梱包して、娘を学習塾に送り、夕飯の準備をして、また娘を迎えに行って、あ、旦那にあげるチョコ忘れてた・・・。

「う~さみ~!」
そんな事情は露知らず、パジャマ姿で縮こまるA君母子。
Hちゃんを見送りに来たんだけれど、いつになっても車は動かず・・・車内で叫びまくり、どんどん紅潮していくHちゃんの横顔から目が離せない。

A君に、福は訪れたのだろうか?