先週土曜日は、娘が通うダンス教室の発表会。
通い始めてはや6年が経過し、発表会自体も6度目ともなれば、これこそ勝手知ったる他人の家、何処でどんな問題が噴出するか、ほぼ予想がつく。
ついでに今回は、プロのジャズメンにまじり、俺までドラムで出演予定だったため、ほとんど楽屋での控えとなり、それはそれで面白い光景に遭遇できた。
① 男性の楽屋
ここにはドラムの後藤おさむさんやサックスの田辺信男さんなどのおじさん(失礼)軍団と共に、高校生かな?Hip Hopクラスの男の子達、そして小学生の男の子達が押し込まれた。
高校生達が小学生の面倒をよく見てくれていて、非常にうれしい光景。
こいつらほとんど初対面だろうに、たいしたもんだ!
やはり、小学生の「子ども集団」には、中学生・高校生程度の「お兄さん・お姉さん」という存在が非常に大切であり、そのような「異年齢集団」でこそ、子どもは成長できるもんだと、再認識。
② 女性の楽屋
廊下を挟んで男性楽屋の真正面。
さすがに入れなかったけれど、声はしっかり聞こえてくる。
すると、いつもならメイク等のために入っているうちのカミサンたちが、早々にぞろぞろと引き上げてくる。
(俺)「速いねぇ?」
(カミサン)「違うんだよ、誰かシラナイけれど『私がやりますから、結構です!』って、追い立てられちゃったのさ」
(俺)「はぁ?それって、誰?知らないんだけど?」
(ここでもう一人のお母さんが)「私たちも知らないんだけど、代表の人から頼まれた、って言ってますよ?旦那さん、聞いてませんか?」
(俺)「…シラネ~。ま、やってもらえば?」
(4,5人が異口同音にペチャクチャ)「…だってねぇ、朝からエプロンして気合入ってるし」「挨拶もないし、あれ、誰?」「出てけって言われちゃぁねぇ…」
(俺)「はいはい、わかりました。じゃ、俺も一緒に行くからさ、皆さん、受付の準備でもしましょうよ。」
…ところが。
ここで子ども達の面倒見役を買って出た女性(どうやら今年初参加の女の子の母親だったらしい)が、後に思いも寄らぬ抗議を受けることになろうとは!
大方の子ども達の最初の順目はタップダンスだったが、実はウチの娘はタップは習っていないので出ない。
そのかわり、大人のクラスでHIPHOPを踊ることになっていたので、10数人いる子ども達の中で、一人だけ全く違う衣装でスタンバイ。
女性の楽屋から素っ頓狂な声が聞こえた。
「あら~◇◇ちゃん、何でそんな格好してるの?ダメじゃない着替えなきゃ~!」
「え?いや、私、ヒップホップ出るからいいんです!」
「子どもがヒップホップだなんて、私聞いてないわよ!衣装まだもらってないの?だめじゃない、なにやってるのまったくも~!」
どたばたどた…ばたん!(と、男性楽屋のドアが開いて、ウチの娘が顔を出した)
「くま~、あの人何とかしてよ~」
「どしたの?」
「勝手に仕切ってて、困るんだよね~」
「そうみたいだけど、自分で何とかしろよ。話してわからなけりゃ、蹴りいれてもいいぜ」
(ここで、それまでの経過をじっと聞いていたおじさんジャズメン4人が大爆笑)
「わかった。なんとかするよ」
(おじさん4人)「がんばれよ~!」
実は、この教室では、いままでそのような面倒見役はおらず、母親達は子ども達のメイクが済むと早々に引き上げることにしていた。
手取り足取りのステージママをやっても、楽屋に人ばかり溢れて他の劇団員の邪魔になるだけだ、という判断をする人が多かったためであり、また、そうしないと、子ども達が自主的に動こうとしなくなるとも考えていた。
踊りだけうまくなっても、通わせる意味はないからね。
ところが、今回面倒見役を買って出た方は、どうやら一から十まですべて面倒を見るのが当然と思っているらしい。
どうやら、そちらのご家庭は、バレエ教室に通わせ、どこぞのオーディションに受かって週2回程度都内で公演に向けたレッスン、そしてこの教室、という忙しさ。
そりゃぁ、ステージママ全開だな(とはいえ、初対面の大人に名乗りもせずに「私が仕切りますから結構です」ってのも珍しいけれど)。
その調子で、勝手な仕切りを豊富に入れてくれていたので、現場が大混乱。
喜んでいたのは本人のみ、という有様。
一方、うちの娘に限らず、以前から所属している数人の子どもたちは、そういった親達の意図を知ってか知らずか、発表会では自分達で判断して行動するもの、と覚悟を決めてきているので、むしろそういう人がいること自体に思い切り違和感を覚え、ずっこけてしまったらしい。
そして再度、今度は女の子3人+男の子1人で俺のところにやってきた。
(男の子)「あのおばはん、誰?」
(俺)「知らん」
(娘)「まだ騒いでるよ、はっきり言って邪魔」
(6年生の女の子)「あたし達だけでできるんだけどな、って言っても、相手にもしてくれない」
(4人揃って)「…なんとかして!!」
(おじさん4人+俺)「あららら~!」(大爆笑)
5、6年生の子ども達は、この教室に複数年以上お世話になっているから、先生方や劇団員の皆さんに対しても、既にはっきりとした自己主張ができるようになってきている。
だから、子ども達の認識とその面倒見役の方の指示との食い違いがあれば、5、6年生の子ども達が、自主的に、全体の仕切り役をやっていたスタッフの方に判断を求める、という場面があり、さらに混乱に輪をかけていたが、そのことにも5,6年生は申し訳なさを感じていた。
で、正直言えば、俺はそんな様子を見て、非常にうれしく、そのやり取りを本気で面白がっていたのだが。
俺自身は、子どもを子ども扱いしない、と言うか、子ども達も自己責任において判断して行動させる、というここの教室の主旨に賛同して、娘を預けているのであって、この様子についても、子どもたちの自主性、あるいはプライドが育ってきたことを示す事例と捉え、いい成果(面白い効果?)が現れているなぁ、と単純に喜んでいた。
特に5,6年生の子ども達は、昨年度までの経験も踏まえ、上級生が下級生の面倒を見ながら「子ども集団」を形成できるのだ、自分達で発表会に参加できるのだ、なんならメイクだってやれるぜ!ということを、懸命に主張している。
こんなに喜ばしいことがほかにあるだろうか?
って、わからない人もいるんだよね。「子どもは子ども」と思ってしまう人が。
(娘)「…くまが何にも言ってくれないんだったら、自分らで何とかする!」
(俺)「そうしな。イベントに穴をあけなければ、何やってもいいから」
(6年生の女の子)「とりあえず、シカトしとこうよ、うざいから」
(娘)「聞くだけ聞いてあげて、はいはいって言っとけばいいんじゃない?(男の子に向かって)いいね!」
(男の子)「…うん」
この時点でおじさんたちは涙目。
その数分後のこと。
「あんたたち、出番でしょ~!」
「あと5曲後です」
「舞台袖に行って待ってなきゃだめじゃないの?」
「舞台袖狭いから、出ている人の邪魔になりたくないんです」
「子どもなんだから言うこと聞きなさい!」
「前にそれで怪我した子がいるんです!」
「劇団の人だって、子ども達には気をつけるわよ」
「…(ひそひそ)…じゃ、廊下で柔軟でもしてようか~?」
「………×××」
おじさんたち+俺は、涙流しながら腹抱えて笑い転げました。
通い始めてはや6年が経過し、発表会自体も6度目ともなれば、これこそ勝手知ったる他人の家、何処でどんな問題が噴出するか、ほぼ予想がつく。
ついでに今回は、プロのジャズメンにまじり、俺までドラムで出演予定だったため、ほとんど楽屋での控えとなり、それはそれで面白い光景に遭遇できた。
① 男性の楽屋
ここにはドラムの後藤おさむさんやサックスの田辺信男さんなどのおじさん(失礼)軍団と共に、高校生かな?Hip Hopクラスの男の子達、そして小学生の男の子達が押し込まれた。
高校生達が小学生の面倒をよく見てくれていて、非常にうれしい光景。
こいつらほとんど初対面だろうに、たいしたもんだ!
やはり、小学生の「子ども集団」には、中学生・高校生程度の「お兄さん・お姉さん」という存在が非常に大切であり、そのような「異年齢集団」でこそ、子どもは成長できるもんだと、再認識。
② 女性の楽屋
廊下を挟んで男性楽屋の真正面。
さすがに入れなかったけれど、声はしっかり聞こえてくる。
すると、いつもならメイク等のために入っているうちのカミサンたちが、早々にぞろぞろと引き上げてくる。
(俺)「速いねぇ?」
(カミサン)「違うんだよ、誰かシラナイけれど『私がやりますから、結構です!』って、追い立てられちゃったのさ」
(俺)「はぁ?それって、誰?知らないんだけど?」
(ここでもう一人のお母さんが)「私たちも知らないんだけど、代表の人から頼まれた、って言ってますよ?旦那さん、聞いてませんか?」
(俺)「…シラネ~。ま、やってもらえば?」
(4,5人が異口同音にペチャクチャ)「…だってねぇ、朝からエプロンして気合入ってるし」「挨拶もないし、あれ、誰?」「出てけって言われちゃぁねぇ…」
(俺)「はいはい、わかりました。じゃ、俺も一緒に行くからさ、皆さん、受付の準備でもしましょうよ。」
…ところが。
ここで子ども達の面倒見役を買って出た女性(どうやら今年初参加の女の子の母親だったらしい)が、後に思いも寄らぬ抗議を受けることになろうとは!
大方の子ども達の最初の順目はタップダンスだったが、実はウチの娘はタップは習っていないので出ない。
そのかわり、大人のクラスでHIPHOPを踊ることになっていたので、10数人いる子ども達の中で、一人だけ全く違う衣装でスタンバイ。
女性の楽屋から素っ頓狂な声が聞こえた。
「あら~◇◇ちゃん、何でそんな格好してるの?ダメじゃない着替えなきゃ~!」
「え?いや、私、ヒップホップ出るからいいんです!」
「子どもがヒップホップだなんて、私聞いてないわよ!衣装まだもらってないの?だめじゃない、なにやってるのまったくも~!」
どたばたどた…ばたん!(と、男性楽屋のドアが開いて、ウチの娘が顔を出した)
「くま~、あの人何とかしてよ~」
「どしたの?」
「勝手に仕切ってて、困るんだよね~」
「そうみたいだけど、自分で何とかしろよ。話してわからなけりゃ、蹴りいれてもいいぜ」
(ここで、それまでの経過をじっと聞いていたおじさんジャズメン4人が大爆笑)
「わかった。なんとかするよ」
(おじさん4人)「がんばれよ~!」
実は、この教室では、いままでそのような面倒見役はおらず、母親達は子ども達のメイクが済むと早々に引き上げることにしていた。
手取り足取りのステージママをやっても、楽屋に人ばかり溢れて他の劇団員の邪魔になるだけだ、という判断をする人が多かったためであり、また、そうしないと、子ども達が自主的に動こうとしなくなるとも考えていた。
踊りだけうまくなっても、通わせる意味はないからね。
ところが、今回面倒見役を買って出た方は、どうやら一から十まですべて面倒を見るのが当然と思っているらしい。
どうやら、そちらのご家庭は、バレエ教室に通わせ、どこぞのオーディションに受かって週2回程度都内で公演に向けたレッスン、そしてこの教室、という忙しさ。
そりゃぁ、ステージママ全開だな(とはいえ、初対面の大人に名乗りもせずに「私が仕切りますから結構です」ってのも珍しいけれど)。
その調子で、勝手な仕切りを豊富に入れてくれていたので、現場が大混乱。
喜んでいたのは本人のみ、という有様。
一方、うちの娘に限らず、以前から所属している数人の子どもたちは、そういった親達の意図を知ってか知らずか、発表会では自分達で判断して行動するもの、と覚悟を決めてきているので、むしろそういう人がいること自体に思い切り違和感を覚え、ずっこけてしまったらしい。
そして再度、今度は女の子3人+男の子1人で俺のところにやってきた。
(男の子)「あのおばはん、誰?」
(俺)「知らん」
(娘)「まだ騒いでるよ、はっきり言って邪魔」
(6年生の女の子)「あたし達だけでできるんだけどな、って言っても、相手にもしてくれない」
(4人揃って)「…なんとかして!!」
(おじさん4人+俺)「あららら~!」(大爆笑)
5、6年生の子ども達は、この教室に複数年以上お世話になっているから、先生方や劇団員の皆さんに対しても、既にはっきりとした自己主張ができるようになってきている。
だから、子ども達の認識とその面倒見役の方の指示との食い違いがあれば、5、6年生の子ども達が、自主的に、全体の仕切り役をやっていたスタッフの方に判断を求める、という場面があり、さらに混乱に輪をかけていたが、そのことにも5,6年生は申し訳なさを感じていた。
で、正直言えば、俺はそんな様子を見て、非常にうれしく、そのやり取りを本気で面白がっていたのだが。
俺自身は、子どもを子ども扱いしない、と言うか、子ども達も自己責任において判断して行動させる、というここの教室の主旨に賛同して、娘を預けているのであって、この様子についても、子どもたちの自主性、あるいはプライドが育ってきたことを示す事例と捉え、いい成果(面白い効果?)が現れているなぁ、と単純に喜んでいた。
特に5,6年生の子ども達は、昨年度までの経験も踏まえ、上級生が下級生の面倒を見ながら「子ども集団」を形成できるのだ、自分達で発表会に参加できるのだ、なんならメイクだってやれるぜ!ということを、懸命に主張している。
こんなに喜ばしいことがほかにあるだろうか?
って、わからない人もいるんだよね。「子どもは子ども」と思ってしまう人が。
(娘)「…くまが何にも言ってくれないんだったら、自分らで何とかする!」
(俺)「そうしな。イベントに穴をあけなければ、何やってもいいから」
(6年生の女の子)「とりあえず、シカトしとこうよ、うざいから」
(娘)「聞くだけ聞いてあげて、はいはいって言っとけばいいんじゃない?(男の子に向かって)いいね!」
(男の子)「…うん」
この時点でおじさんたちは涙目。
その数分後のこと。
「あんたたち、出番でしょ~!」
「あと5曲後です」
「舞台袖に行って待ってなきゃだめじゃないの?」
「舞台袖狭いから、出ている人の邪魔になりたくないんです」
「子どもなんだから言うこと聞きなさい!」
「前にそれで怪我した子がいるんです!」
「劇団の人だって、子ども達には気をつけるわよ」
「…(ひそひそ)…じゃ、廊下で柔軟でもしてようか~?」
「………×××」
おじさんたち+俺は、涙流しながら腹抱えて笑い転げました。