まずヨットに乗ります。上の写真のように4本の杭にゆったり4本のロープで繋いであります。
一番前の手摺から2本のロープで岸壁に繋いであります。霞が浦には干満の差がありませんが、東端が利根川本流につながっているので川の水位の上下で50~60cmくらい上下します。それでゆったり繋いでおきます。乗るのは前手摺の2本のロープを引き寄せて船の先端を岸壁から30cmくらいまで、目一杯引き込んで素早く乗り移ります。食料と水も積み込みます。
船に上がったら、自動操舵装置を取り付けたり、エンジンをかけて出港の準備をします。
救命胴衣を着て、まず舫い綱(4本と2本)を解いて、左後ろの杭を手で押しながら、左甲板を前へと歩きます。惰性で船が4本の杭の外まで出ます。外に出たらエンジンを使い、港口の方角へ走りだします。
ここまでが一仕事です。船に乗ってから30分くらいかかります。今日は暖かい東風が吹いて快適に走りだしました。シメシメ。
すぐに前帆(ジブセイル)を出して、うるさいエンジンを止めて帆走に入ります。ジブを出し入れする仕掛けは上の上段左端の写真のジブの下端についている2本のロープ(ジブシート)を後ろへ引きます。するとスルスルと開いてきます。
ジブを巻き取るためは、左甲板の左端に走っている細いロープを引っ張り、ジブ下端の車輪を回して巻きつけます。今日は烈風のような東風なのでジブは半分だけ開いて、ゆっくり港の中を出て行きます。風上へ登るクローズホールド(前回ご説明しました)で行きます。左手の岸壁に大型ヨットやホワイトアイリスという観光船が舫っています。白い灯台が左に見え、いよいよ港を出ました。ところが港を出ると急に風が強くなり、波も高くなりました。船が大揺れし大きく傾くので怖くなり、ジブを更に小さくし正常の面積の4分の一くらいにしました。そうしたらもう前進しません。こんなに小さなジブ1枚では風上45度へ上がるクロ-ズホールドは無理です。
仕方がないのでエンジンを再始動し、フル回転で風上へ走ります。大波が船体の前部にドスン、ドスンと当たり今にも船体が割れそうな音がします。でも繊維強化プラスチック(FRP) の強さを信じて、辛抱して風上へ登ります。風が冷たく吹き付けます。写真では大波が映っていませんが今日は海の波のようです。霞が浦東端から30km東方の鹿島灘の冷たい海風が吹きつけています。でも太陽が暖かい光を送ってくれています。怖いのを辛抱して30分、港口から2kmほど沖に出ました。そこで船首を回して追い風走法、ランニングにします。ヤレヤレもう大丈夫だ!スピードメーターを見ると4.2ノットです。4分の一だけのジブでこの速度とは驚きです。
港の奥にベンツ社製の観光船があります。そこまで来たら係留地まで50m。すぐにジブを巻き取り係留地へ入りました。
風を登るのに30分、係留するまでが30分。合計60分の短いヨット遊びでした。
反省して見ると、怖くてもジブをフルに展開して、沖までエンジンを使わずにジブ1枚だけで出るべきでした。臆病風に負けてしまったので、中途半端なセイリングになってしまって、御免なさい。キャビンで、焼きうどん、コーヒー、クッキーの昼食を食べ、しばし、中世ヨーロッパ専門の歴史学者の阿部謹也氏の「ヨーロッパ一人歩き」という随筆集を読んだ。最後に航海日誌を書いて車へ乗る。撮影日時:4月22日11時から12時。