後藤和弘のブログ

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水力発電の面白さ(2)水力発電所の総数といろいろなランキング

2013年03月25日 | 日記・エッセイ・コラム

ここ数日、日本にある水力発電所の総数とその構造別の数を調べていますが、全然分かりません。気持が落ち着きません。そこで下の絵を見て心を静めています。絵は鹿之助の「雪の発電所」で、出典は:http://www.us-vocal-school.com/weblog/music_life/archives/images/2012/01/120108_snow.jpg です。

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さて総数はエレクトリカル・ジャパンのHP(http://agora.ex.nii.ac.jp/earthquake/201103-eastjapan/energy/electrical-japan/type/4.html.ja)に1973カ所まで明記してあります。

しかしこの1973ケ所の発電所には昭和電工や揖斐川電工のような民間会社の所有する水力発電所は含まれていません。

戦前からカーバイト製造や溶融アルミ電解製錬や高温合成化学などの製造をしていた民間会社は自分で水力発電所を持っていたのです。現在でも多くの民間会社が水力発電所を所有していると思われますので1973カ所より数百ケ所多いと考えるのが適切と思います。

さてそれはそれとして、水力発電所には水路式発電所とダム発電があります。

ですから水路式が&&&ケ所、そしてダム発電が&&&ケ所なので総計は&&&&ケ所と明記してあると思いさんざん探しました。

しかしそんな資料が何処にも無いのです。

下に水路式水力発電所とダム式水力発電所の見取り図を示します。

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  左が水路式で               右がダム式です。

この構造上の違いを頭に入れておいて水力発電のいろいろなランキングを見てみましょう。出典は「水力ランキング」(http://www.enecho.meti.go.jp/hydraulic/kid/learning/top.html)です。

発電所の最大出力のランキングは以下のようになります。

最大出力の左は完成当時のもので、右のは現在の最大出力です。右の数字の出典は、http://agora.ex.nii.ac.jp/earthquake/201103-eastjapan/energy/electrical-japan/type/4.html.jaです。

1位、田子倉           38万Kw   40万Kw

2位、奥只見           36万Kw   56万Kw  

3位、佐久間           35万Kw   40万Kw

4位、黒4             33万Kw   33万Kw

5位、有峰第一(成願寺川)  26万Kw   26万Kw

上の5つはダム式です。

上の最大出力の40万Kwや50万Kwという値は普通一個の火力発電所の出力が120万Kwという値に比べるとかなり小さな値です。

水力発電が日本の全電力の10%以下しか発電していないのはこの小さな最大出力能力のせいなのです。

さて最大出力が大きい発電所でも水がすぐに枯渇するようなところは頼りになりません。

そこで各発電所の年間総発電量のランキングを見る必要があります。

1位、佐久間    年間発電量:143万MWh

2位、信濃川    年間発電量:119万MWh

3位、黒4      年間発電量:93万MWh

4位、新小千谷   年間発電量:85万MWh

5位、千手      年間発電量:72万MWh

・・・・・・

9位、奥只見     年間発電量:61万MWh

10位、田子倉    年間発電量:59万MKh

上のランキングを見るとJR東日本の所有する新小千谷発電所や千手発電所が良い発電効率を上げていることに驚きます。

その事情は、水力発電の面白さ(1)JRの電車の電気を発電している信濃川発電所 で説明しました。

さてここからが頭の痛くなる話です。

ダム式水力発電所には上でご紹介した水力発電所の他に揚水式水力発電所が沢山あるのです。

電力の要らない夜間に火力発電が余るのでその電力でダムの下から上へ水を上げて置くのです。そして夏場の昼間の電力不足が起きそうな時にドッと上の水を流し、大電力を得るのです。

ダムの上流からの水の補給が無い場合には、夜間に使う電力より昼間の発電量が少なくなります。上流からの水の供給が無ければ揚水式水力発電所は正味の発電量がマイナスになります。ですから揚水式発電所は厳密な意味で発電所ではありません。

しかし巨大な蓄電池の役割をするので電力危機を救う重要な役目があるのです。

その最大出力ランキングは以下のようになります。

1位、奥多々良木        193万Kw

2位、奥清津第二        160万Kw

3位、奥美濃           150万Kw

4位、新高瀬川          128万Kw

5位、大河内            120万Kw

以下省略、詳しくは、http://www.enecho.meti.go.jp/hydraulic/kid/learning/top.htmlにあります。

さて以上のようにいろいろなランキングが理解できると水力発電の分類の仕方がいろいろあることが分かります。

分類方法が理路整然と一つに統一しにくいのです。

統計を取る人々によって分類の仕方が変わります。数の勘定の仕方も大電力会社の所有する水力発電所だけにしたり、小規模な発電所は数えなかったりします。民間会社の所有のものは統計に入れません。そのような事情で科学的に明快な統計が無いのです。困ったものです。

どなたかこの方面に詳しい方のご指導を頂ければ嬉しく思います。(続く)

下に美しい磐梯熱海の水路式水力発電所の写真を示します。

出典は、http://blog.goo.ne.jp/i_haruo/e/70b0386d0dabe9e4217685ec7a8660b7です。

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熱海町(福島県郡山市)には水力発電所は3ヶ所あり、猪苗代湖の水を通し発電している。磐梯熱海温泉街から見える丸守発電所は大正10年に建設され、当時は大峰発電所と呼ばれていた。ちなみに、猪苗代湖(福島県)に最も近い沼上発電所は、福島県内で2番目に作られた発電所。発電機3台で合計出力5900kW、最大使用水量は毎秒8.18トン、有効落差は87.36m、。


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