後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

「体験してわかった中世の西洋と日本にあるイギリス中世文化」

2024年06月29日 | 日記・エッセイ・コラム

ローテンブルグはドイツの中世のままで、16世紀の町並が現在でも残っています。
この小さな中世の町に1969年の夏に3ケ月住みこんでドイツ語を習いました。そして毎日のように街の内外を散策し、夜になると古いレストランに入り地酒のワインを飲む生活をしました。毎晩のように酔って、迷路のような路地裏を歩いていると自分が中世の人間になってこの町に暮らしているような気分になります。
その上、中世のままの建物群と道路の配置がそのまま保存してあるので当時の人々の暮らしぶりがおのずと分かったのです。
そこで中世のドイツの町と江戸時代の城下町を比較して、その大きな相違を、三つほど書いてみます。
(1)ドイツの中世の町は堅固な城壁に囲まれている。

農民も城壁の中に住んでいて朝になると城門が開き、周囲の畑に出て農作業をします。そして夕方になると農民は城壁の内側に帰って、城門が固く締められるのです。

下にその城門の写真と城壁を内側から撮った写真を示します。

1番目の写真はローテンブルグの城門の一つです。ドイツの中世のままの城門です。

次にローテンブルグの町をぐるりと囲んでいる城壁の写真を示しましょう。城壁の内側には遊歩道がついています。毎日のように散歩しては中世の暮らしぶりを偲んだものです。

2番目の写真はローテンブルグを囲んでいる城壁の内側です。城壁の内側の通路は敵を見はるための通路です。
(2)ドイツの町は石造りですが日本の建物は木造でした。
この違いは決定的でドイツでは中世の町が彼方此方に多数保存され、現在でも人々が住んでいるのです。下にその様子を示す写真を2枚掲載します。


3番目の写真はローテンブルグの町の風景です。

日本には馬篭、妻篭、奈良井宿のように宿場町は保存されていますが城下町全体が江戸時代のままに保存されているところはありません。

4番目の写真はローテンブルグの遠景と町の家々です。

さて三番目の相違を示します。
(3)ドイツでは町の中心に必ず広場があり市役所があります。日本の城下町の中心には広場がありません。
市役所には市長を兼ねた領主がいて町を統治しています。広場には毎朝、野菜や食料品を売る市場になります。
この世を統治するのが領主で、その一方、人々の宗教の面倒をみる教会が必ずあります。プロテスタントのエバンジュレッシュ教会とカトリック教会が必ずあるのがドイツの町の特徴です。
江戸時代の城下町では高台や平地に城壁で守られた城がありその殿様が町をおさめていました。しかし市民が集まる広場はありませんでした。このことは小さな違いのようですが、後の政治体制や社会制度の大きな影響を与えたと考えられています。
その土地に住みこんでみると文化がしみじみと深くわかるのです。住んでいるとその土地へ感情移入するのです。
私は現地に住んでその地の文化が理解出来たのです。

このような考えを持っている人をご紹介致します。神田外語学院の経営母体佐野学園の初代理事長佐野 公一さんと2代目の佐野 きく枝さんです。

福島の山の中に中世のイギリスの建物群を忠実に復元し公開してるのです。それは『ブリティッシュ・ヒルズ』というの建物群です。2009年の5月18日に訪れ霧の深いブリティッシュ・ヒルズを撮った写真を4枚お送りいたします。

5番目の写真はブリティッシュ・ヒルズの受付です。

6番目の写真はブリティッシュ・ヒルズの風景です。

7番目の写真は中世のイギリスの領主の館です。
ブリティッシュ・ヒルズはとにかく遠いです。東京から車で200Km位、福島県の白河市から奥羽山脈の奥深くに忽然と建物群が現れます。
中世のイギリスの時代別の建物が10棟ほどが霧にかすんでいます。本格的な時代考証にもとづいて建てられ、内部の家具調度もイギリスから運びこみました。従業員もイギリス人が混じっています。
とにかく本物のイギリスの中世が有るのです。佐野学園の初代と2代目の理事長が25年間にわたって構想を温め、イギリスの歴史を研究しました。その成果にもとづいて1995年に完成しました。
ブリティッシュヒルズには5棟の木造の家もありました。特にお土産を売っている家は高さの違う4層の部屋が、巧みに組んだ木の階段でつながっています。内部の梁や屋根裏の木組みの精巧さが素晴らしいのです。
それから赤レンガで作った領主の館もありました。そこには領主が常時住んで居て、執事を使って、領内の人々から税金を徴収していました。
領主の館の外見は威圧的で決して建築美を感じさせません。華麗な装飾も有りません。しかし一歩内部に入ると豪華です。このような封建時代が中世から産業革命まで牢固として続いたのです。
ブリティッシュヒルズの領主の館(Manor House)は200円の入場料で内部を見学できます。家具調度は17、18世紀のもの、図書館の数多くの本は皮表紙で金の装飾が施されたものが多く、出版年代は1800年から1900年の間のものです。これも全て当時の領主の家の図書室にあったものだそうです。数冊の本を開いて目次を見ながらゆっくりすると当時に帰ったようで不思議な思いをします。レストランでアフタヌーンティーを楽しみました。

語学クラスや宿泊施設も整っています。(詳しくは、http://www.british-hills.co.jp にあります)

それはさておき、今日はドイツの中世の町のローテンブルグと日本にイギリスの中世の建物群を復元したブリティッシュ・ヒルズをご紹介致しました。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)


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