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後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

「深遠な愛国心(1)偏狭な愛国心は不幸を招く」

2021年03月23日 | 日記・エッセイ・コラム
戦前生まれの私は愛国心というものを小学校で教わりました。戦争に負けて愛国心は禍を招くと知り、愛国心を忘れようとしました。それなのにアメリカに留学したころから私の心に愛国心がふつふつと湧いてきました。それ以来いろいろな形の愛国心を考えるようになりました。そうして愛国心は折に触れて考える私の生涯の問題になりました。
今日から私が考えた愛国心にまつわる話を「深遠な愛国心」という連載記事にして書きたいと思います。その第一回は偏狭な愛国心は不幸を招くということです。
さて「偏狭な愛国心」とは自国を愛するあまり隣国を非難、罵倒し、軍事力だけに頼る愛国心のことです。それは日本へ禍いを招き、日本人を不幸にする危険な愛国心です。
それに対して「深遠な愛国心」とは国際社会の連帯のなかで同盟国と調和を取りながら、仮想敵国の危険性を最小にするという愛国心です。一番重要なことは国際社会のなかで賢明な外交を展開し、仮想敵国が攻撃出来ないようにすることです。そして軍備は戦争の抑止力になる現実を理解し、それを常に増強し維持する努力も大切です。
一方日本人は仏教に馴染んでいます。ですから深遠な愛国心ではお釈迦様の教えを思い出しながら行動をとることが良いと信じています。
お釈迦様は人や動物や全ての生き物を殺すなと教えました。ですから戦争も禁止です。
しかし敵国が日本へ攻め込んで来たら私は銃を取り戦う決心をしています。お釈迦様の教えに反して戦います。
しかし戦いながら以下のように先の大戦の間に、反戦を主張した僧侶が居たことを考えています。そして悲しみながら銃を撃ちます。
私の「深遠な愛国心」とはそのようなものです。矛盾に満ちています。
さて戦争中に国家目標に逆らって、お釈迦様の教えの尊厳を守ったある二人の僧侶をご紹介しましょう。はじめは竹中彰元住職のことです。
詳しくは、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9%E4%B8%AD%E5%BD%B0%E5%85%83 に掲載されています。
昭和12年に日中戦争反対を公言して、昭和20年の敗戦までその主張を変えませんでした。
軍刑法の流言飛語罪で禁固4か月の刑をうけましたが、仏の教えに従ってまでなので考えは変わらないと敗戦まで主張続けたのです。
さらに詳しくは「竹中彰元」を検索すると沢山の資料が出てきます。
竹中彰元を破門した大谷派は70年後に破門が間違いだったとして竹中師の名誉回復をしたのです。

さて、続いて戦争反対を主張した僧侶をもう一人を、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%8D%E6%9C%A8%E5%BE%B9%E8%AA%A0 からご紹介します。
彼は2007年3月に80歳で亡くなった植木等さんの父親でした。知る人は少なかったのですが、植木等さんの父は筋金入りの反戦平和主義の僧侶だったのです。名前は植木徹誠と言います。三重県伊勢市の大谷派の常念寺の住職でした。
「戦争というものは集団殺人だ」などと説教していたのです。当然、治安維持法違反で逮捕です。そして4年間も投獄されていたのです。
植木等は小学生でしたが牢屋にいる父の住職の仕事を代行して、お経をあげたり檀家の世話をしていたそうです。そして牢屋にいる父へために毎日自転車で鶏卵を差し入れに行っていたそうです。
父は息子へ「等、いいか、戦場に行っても絶対に銃を撃つんじゃないぞ」と言っていたそうです。
植木等がコメディアンとして有名になった後も父の話を忘れませんでした。大部分の芸能人が自衛隊の後援会に入っていますが、植木等だけは終生入会しませんでした。
ちなみに等(ひとし)という名前は人間はお釈迦様の前ではみんな等しいのだということで父の徹誠がつけた名前だそうです。
植木等はコメディアンとして実に面白い芸を見せてくれました。
それにしても竹中彰元住職と植木徹誠住職は立派な人でした。私は深遠な愛国心というものを考える時、必ずのように思い浮かべます。
愛国心は人それぞれにその中身は違います。他人へ愛国心を持てと言ったとたん怪しい中身になってしまいます。ですから私の連載記事に賛成して下さいとは絶対に言いません。そんな気持は始めから毛頭ありません。
ただ言いたかったことは各自が深く考えた方が良いのではないかということだけです。
それにしても日本ではどうも偏狭な愛国心を叫ぶ人が多いようです。困ったものです。

今日の挿絵代わりの写真は近所の野川の岸に咲く桜と黄梅の花です。昨日、家内が撮った写真です。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)