ロスコフから帰り一休みすると、留守中にマルゴが作っておいてくれたディナーになった。
昨夜は長兄夫婦を招いての夕食で、御馳走を食べ過ぎたから今夜は軽めにしてくれたらしく、胃袋に優しい献立だった。
鶏とあんずとひよこ豆(もしかしたらこれはフランス料理ではないのかもしれない)、デザートはイチゴのタルトだった。ワインは赤だった。
メインもデザートも本当においしかった。
鶏とあんずとひよこ豆
チーズ
イチゴのタルト
マルゴ パトリック
それはさておき、昨夜の長兄夫婦を招いての夕食の出来事で、一つ書き忘れていたことがあった。
夕食が終った時だった。しばらくしてから、私は自分の食べた食器を炊事場の流しまで持って行こうとした。この前日もそうしたし、いつでもどこでもお世話になった家ではできるだけお手伝いする意味でそう心掛けているからだ。
その時だ。例のスペシャルなお兄さんはすかさずこう言った。「ノン!!それは女の仕事だ!!」
これにはびっくりした。そしてお言葉に甘え、運ぶのをやめた。
この言葉をそのまま受け止めれば、男尊女卑の封建的な考えに基づくものとなる。
しかし、実のところ彼は「あなたはお客さんだから、そんなことしなくていいよ」と言いたかったのに違いない。それを彼は彼流にジョークを交えて表現したのが本当のところだろう。
しかし一昔前、このスペシャルな兄さんが育ったころは日本で言う「男子厨房に入らず。」と言う世界だったのであろう。その残滓がまだこのスペシャルな兄さんの頭のどこかに残っているのに違いない。だからああいう表現がひょいと出てきたのだ。
フランスでは、日本より封建的な部分が残っているように感じる。目に見えない階級社会も感じるし、必ずしもレディファーストでもない場面に出くわすことがある。
まだ女性は女性らしく、男性は男性らしくあれと言う感覚も感じる時がある。
世界に先駆けて革新的なところもあり、一方で相当保守的な人もいて、幅の広さと言う面でも不思議な国である。
翌日はこのケレンマとお別れし、パリへ帰るのだが、その帰りにまた別の話がある。
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