ランスから帰ると、例のバーベキューによる夕食となった。今夜は鶏である。
その鶏肉の焼ける間、カトリーヌはダンス曲のレコードを掛けた。
彼等はパリでタンゴを習っているのである。
ご主人のリシャール相手にダンスをするというのだ。
庭の樹木の伐採で疲れているリシャールは、私の前で披露するという恥ずかしさもあって「オーノー、カトリーヌ、オーノー」と言ったが、カトリーヌは意に介さない。
強引にご主人の手を取って、ステップを踏み出した。
なかなか上手である。リシャールもついて行かないわけにはいかず、ひとしきり素晴らしいダンスを披露してくれた。
やがて焼きあがった鶏肉は、とても美味しかった。
翌日は、やはりカトリーヌがシャンパン・カーブへ連れて行ってくれた。
途中お城に立ち寄ったが、見学時間が午後に指定されていたので、帰りに寄ることにした。
見学は二時半からと四時半からと書いてあった。
シャンパンで豊かなこの地方は、道が素晴らしくよく整備されていて、気持ちがいい。
村々は花で飾り立て、美しい村のコンテストに参加している。村の入り口のサインに花のマークが3個などと言う表示があり、花の数が多いほど美しい村として認定されているそうだ。
途中ナポレオンの戦跡があった。この地方で1814年2月10日に5日間ほど外国軍との戦いがあり、ナポレオンは勝利したが、その後戦局は良くならず、この年に失脚している。
エペルネーで訪ねたシャンパン・カーブは、地下へエレベーターで行き、そこからトロッコ列車のような車両に乗り地下道をあちこち回った。
地下を走る観覧車
広い蜘蛛の巣のように張り巡らされた地下にシャンパーンが沢山積まれ、静かに保管されていた。相当の量になると思う。
シャンパンの試飲
このカーブの創業者のレッテル
1本10.50ユーロ
カーブ裏のブドウ畑
見学を終えて町のビストロでランチとなり、毎日の重い夕食のことを考えてサラダを注文したが、これがまたかなりのボリュームで、食べきれないくらいだった。
周りを見ると、近隣の人たちだろうが、どの人もそれなりの身なりや、表情をしており、やはりこの地方の人達が余裕のある暮らしをしているように思えた。
帰りに朝寄ったお城に立ち寄った。
ここでちょっと面白いことにぶつかった。
入場料を大きなお金で払ったのでお釣りをもらうのだけれど、受付の男の子が引き算が苦手なのであった。フランス人は計算に弱いと言った人もいたようだが、そういうことを感じたことは今まで一度もなかった。もちろんそれは数の表し方がフランス語特有なのでそんな誤解もあったのだ.今回は昔聞いたことがある欧米の人達が引き算ではなく足してお釣りを払うということを思い出した。
日本人ならどうということのない計算なのだが、彼はあれこれお金をいじっていたものの、やがて最終的には恥ずかしそうに電卓を取り出し計算をした。
おやおやと思っているうちに、無事正確にお釣りは帰って来たのであった。
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