祥泉暦

日常の出来事の記録

マグダラ屋のマリア 原田マハ著

2020-09-05 13:15:27 | 書籍

過去に傷がある人が最期と思いつめてやって来る「尽果(ツキハテ)」にある「まぐだら屋」という食堂。ここを舞台にして人間愛、家族愛を繋ぐ心温まる料理がテーマになっている。

たまたまフランス在住の作家の辻仁成さんが、ほとんど毎日配信しているブログに「シングルファザーになってから心がけていることは、美味しい料理を作る事」というフレーズに目がとまり、この小説と同じテーマだと思いました。父親と息子の構図は、会話のない殺伐とした光景。それを将来の姿と想像して、それなら美味しい食事を出して美味しければ笑顔になるだろうと。

小説巻末の解説に江南亜美子さんが「幸福なときも、苦境にあるときも、食べることは、生きることの基本のきになる。であるあらば、料理を作って人に食べさせる行為もまた尊い」という部分が全てを物語っている。

私もかねてから、「食べ方イコール生き方」と思って来た。今は夫と2人なので、生活の中の楽しみ方のひとつと思っている。子供達が家にいる時は、イベントに合わせた食事、用途に合わせたお弁当を心がけた。特にお弁当は、いろいろ思い出がある。子供が受験生の時、試験当日のお弁当には気を使う。大学受験の最後の試験日には、好物の赤飯を入れた。既に私立校の合格を決めてあったので、最後の国立大学の試験は「受験お疲れ様、気楽に頑張っておいで!」というエールを込めていた。また試験が終わって帰って来た時の焼き立てのケーキの味が忘れられないと今でも娘に言われる。夫のお弁当は「トンカツ丼」が好評で、わざわざ「今日の弁当美味しかった」とメールが来たw

来客の時のもてなす料理はもちろん、元気のない人への想いを手作りの惣菜やお菓子のプレゼントする癖がある。「何を作ろうかな?」は、私の日常的な思考回路です。これからは成長する孫達へどんな物を作ってあげれるかが楽しみです。

原田マハさんの小説ネタは幅広く、これは繊細な日本料理の極意が備わっている。まだまだ広がるのであろうか!?