京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

嵐山の「旧嵐峡館」(現・星のや京都)の「施設改修」問題

2010年09月01日 | 環境
昨日、嵐山の旧嵐峡館(現・星のや京都)の「施設改修」問題で
京都市に質問状を届けてきました。
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2010(平成22)年8月31日
京都市長 門 川 大 作 様
(担当:都市景観部風致保全課)

京都・水と緑をまもる連絡会
京都・まちづくり市民会議

再 々 度 の 公 開 質 問 書

1、京都市西京区嵐山の渡月橋上流約1キロの保津川右岸にある旧嵐峽館は星野リゾートが経営を引き継いで再建されましたが、この再建にあたり、旧嵐峽館について、相当大きな規模の改修が行われています。
しかし、この付近一帯は、歴史的風土特別保存地区であり、文化財として史跡及び名勝に指定され、風致地区や自然風景保全地区(第1種)として、現状変更が厳しく規制されています。このため、新聞報道では、星野リゾートによる嵐峽館改修は、当初、外壁の塗り直しや一部の樹木の伐採などが中心で、大幅な増改築は予定されておらず、これをうけて京都市もこれを許可する方針であると伝えていました。
  ところが、星野リゾートによって行われた実際の改修は、外壁の塗り直しなどの軽微なものにとどまらず、工作物の位置や数量の変更、さらには新たな施設の新築等がなされており、また宅地の造成や建物の増築等がなされたのではないかとの疑いももたれています。これは、京都市が説明してきた上述のこれまでの方針から明らかに逸脱するものであり、国民的な財産である嵐山の景勝と風致を損なうものといわなければなりません。

2、そこで、私たちは、平成22年3月24日付で第1回の公開質問書を提出し、次いで同年6月8日付で再度の公開質問書を提出して、京都市に説明を求めたところ、京都市からは同年4月22日付で第1回質問書に対する回答があり、さらに同年7月9日付で第2回質問書に対する回答がありました。
  京都市のこれまでの回答によると、星野リゾートから平成20年8月11日付で「風致地区内における現状変更行為」の許可申請があり、これに対して、同年9月16日付で許可を行ったが、その後、①建築物の外壁材料の変更、工作物の位置の変更及び数量の変更、伐採樹木の変更並びに舗装材料及び数量の変更についての申出があったので、確認・了承したこと、また、②貯湯槽の新築については、仮設の工作物として新たに現状変更行為の申出があったので、確認・了承したこと、その後、事務上の取扱いとして、平成21年12月4日付けで「風致地区内における許可行為の記載事項・軽微の変更許可申請書」を受理し、平成22年1月4日付で許可を行ったこと、これらの経過を記した文書は、担当職員が本人の覚えとして書き留めていたメモであり、工事が完了した後の平成22年2月に廃棄した、とされています。
  しかし、貯留槽の新築については、はたしてそれが条例第1条第1項第1号アに規定する基準(「容易に移転し、又は除去することができるもの」並びに「新築の行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致と著しく不適合でない」)に適合しているといえるか疑問があること、また貯留槽の新築にあたり、当該新築の行われる土地では、盛土と擁壁の新設がなされており、宅地の造成に該当すると思われるのに、これに関して必要な許可手法がとられた形跡がないこと、さらには改修後の建物を見ると、建物の一部が地盤面から張り出して建築されていることなどから、星野リゾートによる旧嵐峡館の改修が京都市の条例・規則にしたがって適法に行われたかどうかについて、少なからぬ疑念がもたれるところです。
その上、京都市による上述した確認・了解の経過を記した文書が担当職員個人のメモですでに廃棄したとされていることについても、これを個人的なメモとすることにも重大な疑問があります。こうしたことから、私たちは京都市に対して、あらためて、以下の事項についておたずねする次第です。

(質問事項)
1、貯留槽の新築については、仮設の工作物として、現状変更行為について確認・了承したとされているが、その規模・構造等からみて、条例の定める仮設の工作物としての基準にあてはまるのか。また、これが確実に移転又は除去されることについて、どのような実行確保の措置がとられているのか。
2、貯留槽の新築がなされた土地では、盛土と擁壁の新設がなされており、宅地の造成が行われているのではないとの疑念がぬぐえないが、これについて現地で数値も含めて実際にどのような確認調査がなされたのか。また宅地の造成があったとすれば、これについて必要な法的手続等がとられているのか。
3、星野リゾートによる旧嵐峡館の今回の改修については、建物の増築は一切なされていないのか。もし、行われているとすれば、これについて必要な法的手続等がとられているのか。
4、京都市と星野リゾートとの間でなされた上述した確認・了承の経過を記した文書については、当該確認・了承を行うことは、担当職員個人による判断ではなく、当然、京都市都市景観部ないし風致保全課の内部で、文書の回覧・決済が行われた上で、京都市としての判断がなされているものと考えられ、特に今回の場合は、事後の検証のうえからも、文書の保存は重要な意味をもっている。
したがって、上記確認・了承を行うにあたり、文書による回覧・決済がなされた文書は、担当職員の個人的なメモではなく、公文書に該当するのではないか。この点に関して、京都市の見解を明らかにされたい。
5、上記確認・了承を記した文書の作成した担当職員は誰か、それは一人なのか複数なのか。
もし、上記文書を廃棄したというのであれば、これを廃棄するにあたって、上司の承認を受けたのか、上司の承認を受けたとすれば、それを承認したのは誰か。


  以上の質問事項は、国民的な文化財である嵐山の景観保護にとって重要な問題であり、景観保護を基本的な方針としている京都市の行政の根本にかかわるものですので、ご多用中お手数をおかけいたしますが、平成22年9月22日までに文書でご回答下さいますよう要請いたします。


連絡先 〒604-0847 
京都市中京区烏丸通二条下ル西側ヒロセビル2階
市民共同法律事務所
京都・まちづくり市民会議事務局代表
弁護士  中  島    晃

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