ゴールデンウィークも半ばです。ここで少し、台湾で発生したH7N9型インフルエンザについて、台湾での報道をまとめてみました。※私は医師ではありませんので、自己責任で読んで下さい。
02年暮れから03年7月にかけて、主に中国で猛威を振るったSARS(非典型肺炎)からちょうど十年、2013年4月24日、台湾でH7N9型鳥インフルエンザが発見されました。先ずは、その状況を伝える「FNN news CH」の報道をご覧下さい。
「H7N9」鳥インフルエンザ、台湾で確認 当局は警戒強める(13/04/25)
53歳の台湾人男性が、商用で3月28日から4月9日まで蘇州に出かけ、上海経由で台湾に帰郷。彼は鳥インフルエンザが恐ろしいので、中国では鳥には近寄りもしなかったし、生の鶏肉や卵も食べていないにも関わらず、台湾に帰って三日目に具合が悪くなりました。
男性、53歳、B型肝炎感染者、高血圧患者、
病状の推移は以下の通り。
12日、発熱・倦怠感・寝汗、風邪のような症状が出たが、
呼吸器に異常はなかった。
16日、40度の高熱が出たので専門の病院を勧められ、入院する事になった。
この日から医者の処方するタミフルを飲み始める。
この病院から政府機関に通報があった。
18日、レントゲン検査をすると右下葉に間質性浸潤(肺炎の症状)が現れた。
19日、症状が悪化
20日、医学センターに転院、気管内チューブを挿入し気道確保、
隔離病棟に入院。この時点でH7N9の疑いは濃厚で、
二度にわたって咽喉の組織検査が行われたが、結果は陰性だった。
24日、午前中に患者の痰を検査(RT-PCR験痰液)し、
漸くH7N9のウイルスを発見した。
その後、国家流感センターのゲノム検査で確実となった
ウイルスが特定されるまでに、男性が接触した人物は(家族3人、友人26人、病院で働く人物110人、合計139人)
薬は一般に、48時間以内に飲むのが効果的といわれていますが、彼の場合は12日に発病し16日に薬の処方を受けたので、薬の効き目が弱かったと言われています。現在は、重篤な状態で、減圧隔離病室で集中治療を受けているという事です。
H7N9は、潜伏期間が3日から10日(一説に7日から10日)、そのため、何処でどう感染したのか判らず、港や空港での検査でも発見されにくいようです。その上、検査が難しく、台湾の場合は、肺浸潤が進んで、やっと検出されました。
SARSとH7N9の共通点は多く、どちらも肺炎を引き起こし、飛沫感染が疑われています。しかし、SARSが院内感染しやすく致死率が11%なのに対して、H7N9型は、院内感染しにくいものの、コミュニティー内での広がりが疑われています。その上、致死率は20%です。
以下は、「外務省」のホームページに紹介されている「H7N9」の情報です。
『外務省 海外安全ホームページ』
「情報種別:渡航情報(スポット情報)
中国・台湾における鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染症例
2013年04月28日
※ 本情報は、海外に渡航・滞在される方が自分自身の判断で安全を確保するための参考情報です。本情報が発出されていないからといって、安全が保証されるというものではありません。
※ 本情報は、法令上の強制力をもって、個人の渡航や旅行会社による主催旅行を禁止したり、退避を命令するものでもありません。
※ 海外では「自分の身は自分で守る」との心構えをもって、渡航・滞在の目的に合わせた情報収集や安全対策に努めてください。
1.中国・台湾における鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染症例
(北京市,河南省,湖南省,上海市,江蘇省,浙江省,安徽省,江西省,山東省,福建省及び台湾)
4月3日以降,中国における鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染症例発生についてお知らせしています。
27日,湖南省で初の新規感染症例2例が確認されました(内1名は江西省在住者)。
28日12:00現在の状況は,次のとおりです。
(1)26日夜,湖南省衛生庁は,湖南省における初の鳥インフルエンザA(H7N9)の感染症例2例が確認されたことを発表しました。内1名は湖南省邵陽市在住の64歳の男性で,14日に発症,25日に鳥インフルエンザA(H7N9)感染の確定診断がなされ,現在治療を継続中とのことです。もう1名は江西省宜春市在住の54歳の男性で,15日に発症,27日に湖南省の病院で, 鳥インフルエンザA(H7N9)感染の確定診断がなされ,現在,治療を継続中とのことです。
(2)28日12:00現在,中国・台湾で鳥インフルエンザA(H7N9)感染者が確認されたのは中国上海市,安徽省,江蘇省,浙江省,江西省,北京市,河南省,湖南省,山東省,福建省の2市8省,及び台湾で,感染者数は122名(うち死亡23名)です。
これまでの地域別の感染者数は以下のとおりです。
上海市:33名(うち死亡12名)
江蘇省:南京市,宿遷市,無錫市,鎮江市,蘇州市,揚州市,南通市,
塩城市,昆山市,常熟市,徐州新沂市
計27名(うち死亡4名)
浙江省:杭州市,湖州市,温州市,嘉興市,紹興市
計45名(うち死亡6名)
安徽省:滁州市,亳州市 天長市 計 4名(うち死亡1名)
江西省:南昌市 2名,宜春市 1名 計3名
北京市:2名(2例目については,陽性であるが発症はしていない。)
河南省:周口市,開封市,鄭州市 計4名
湖南省:邵陽市 1名
山東省:棗荘市 1名
福建省:龍岩市 1名
台 湾:台北市 1名(感染者は直前に蘇州市に渡航していた。)
(3)24日,北京において,中国国家衛生・計画生育委員会及びWHOが共同で発足させた鳥インフルエンザA(H7N9)感染防止視察チームが実施した,上海家禽市場・実験室・病院の視察結果について,報告会が行われました(視察実施:19日~23日)。同報告会にて視察チームは,(ア)感染の危険性は主に市場の家禽に集中しており,現在の状況から渡り鳥や渡り鳥の生息地からH7N9の陽性反応はないこと,(イ)ほとんどの病例は散発的で,一部,個別の家庭に集中した例もあるが,この家庭に対して共通の暴露があったか限定的なヒト-ヒト感染があったかは定かではないこと,(ウ)現在のところヒト-ヒト感染発生の証拠は十分ではなく,持続的なヒト-ヒト感染は発見されていないこと,(エ)一方で限定的なヒト-ヒト感染があっても不思議ではなく,早期にこのような状況を発見し監視を強める必要があること,状況は未だ複雑で,厳しく,更に発展段階であるとし,WHOと中国当局が密接に協力しながら,この新しい脅威に向かっていくと報告しました。
(4)台湾の担当機関の発表によれば、台湾で確認された感染症例1例について,中国・蘇州市に渡航した後に発症した症例であり,27日現在,台湾における家禽モニタリングにおいてはH7N9ウイルスは検出していないとのことです。
(5)広東省東莞市動物疫病予防センターは,26日夜に市内の生鳥市場にて採取したサンプルから疑似H7亜型インフルエンザウイルス陽性例(1例)を発見したが,現時点では,鳥に臨床症状は見られないほか,ヒトへ感染している状況もないと発表しました。
2.現在の状況は上記のとおりですが,中国は4月29日から労働節の休暇期間に,また,日本でもゴールデンウィークとなります。中国への渡航,滞在,特に上記1.(2)の感染症例が確認されている地域に滞在中の方及び渡航を予定されている方は,最新情報を随時確認の上,鳥インフルエンザへの感染を予防するため,以下の注意事項を参考に行動することをお勧めします。
(4月18日付スポット情報「中国における鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染症例発生(その14):労働節及びゴールデンウィーク期間における注意」もご参照下さい。)
●生きた鳥を扱う市場や家禽飼育場への立入を避ける。
●死んだ鳥や放し飼いの家禽との接触を避ける。
●鳥の排泄物に汚染された物との接触を避ける。
●手洗い,うがいにつとめ,衛生管理を心がける。
●外出する場合には,人混みは出来るだけ避け,人混みではマスクをする等の対策を心がける。
●突然の発熱や咳など,呼吸器感染症の症状が現れた場合には,速やかに最寄りの医療機関を受診する。
外務省の情報はここまでです。
日中間には、空路は日本側18港、中国側23港、海路はそれぞれ3港に定期便が就航しており、仕事にせよ旅行にせよ、帰国にせよ訪日にせよ交流が盛んです。この様な状況では、日本でも鳥インフルエンザを防ぐ事は困難と思われます。うがい・手洗いは、しておいた方が良いかもしれません。
Horowitz - Scarlatti Sonata L224
それにしても、十年前の胡錦濤・温家宝政権の始まりの時には、SARSが猛威をふるい、習近平・李克強政権の始まりにはH7N9型の騒ぎ、しかも、どちらも肺炎を引き起こすウイルスで、死亡率が11%から20%に上昇。不思議な事もあるものです。一説に、鳥から人への感染は無いと言われているようですが、すると、H7N9型は何処から来たんでしょう?
兎も角も、海外に行かれる方も、日本で過ごされる方も、好い休日となりますように。
02年暮れから03年7月にかけて、主に中国で猛威を振るったSARS(非典型肺炎)からちょうど十年、2013年4月24日、台湾でH7N9型鳥インフルエンザが発見されました。先ずは、その状況を伝える「FNN news CH」の報道をご覧下さい。
「H7N9」鳥インフルエンザ、台湾で確認 当局は警戒強める(13/04/25)
53歳の台湾人男性が、商用で3月28日から4月9日まで蘇州に出かけ、上海経由で台湾に帰郷。彼は鳥インフルエンザが恐ろしいので、中国では鳥には近寄りもしなかったし、生の鶏肉や卵も食べていないにも関わらず、台湾に帰って三日目に具合が悪くなりました。
男性、53歳、B型肝炎感染者、高血圧患者、
病状の推移は以下の通り。
12日、発熱・倦怠感・寝汗、風邪のような症状が出たが、
呼吸器に異常はなかった。
16日、40度の高熱が出たので専門の病院を勧められ、入院する事になった。
この日から医者の処方するタミフルを飲み始める。
この病院から政府機関に通報があった。
18日、レントゲン検査をすると右下葉に間質性浸潤(肺炎の症状)が現れた。
19日、症状が悪化
20日、医学センターに転院、気管内チューブを挿入し気道確保、
隔離病棟に入院。この時点でH7N9の疑いは濃厚で、
二度にわたって咽喉の組織検査が行われたが、結果は陰性だった。
24日、午前中に患者の痰を検査(RT-PCR験痰液)し、
漸くH7N9のウイルスを発見した。
その後、国家流感センターのゲノム検査で確実となった
ウイルスが特定されるまでに、男性が接触した人物は(家族3人、友人26人、病院で働く人物110人、合計139人)
薬は一般に、48時間以内に飲むのが効果的といわれていますが、彼の場合は12日に発病し16日に薬の処方を受けたので、薬の効き目が弱かったと言われています。現在は、重篤な状態で、減圧隔離病室で集中治療を受けているという事です。
H7N9は、潜伏期間が3日から10日(一説に7日から10日)、そのため、何処でどう感染したのか判らず、港や空港での検査でも発見されにくいようです。その上、検査が難しく、台湾の場合は、肺浸潤が進んで、やっと検出されました。
SARSとH7N9の共通点は多く、どちらも肺炎を引き起こし、飛沫感染が疑われています。しかし、SARSが院内感染しやすく致死率が11%なのに対して、H7N9型は、院内感染しにくいものの、コミュニティー内での広がりが疑われています。その上、致死率は20%です。
以下は、「外務省」のホームページに紹介されている「H7N9」の情報です。
『外務省 海外安全ホームページ』
「情報種別:渡航情報(スポット情報)
中国・台湾における鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染症例
2013年04月28日
※ 本情報は、海外に渡航・滞在される方が自分自身の判断で安全を確保するための参考情報です。本情報が発出されていないからといって、安全が保証されるというものではありません。
※ 本情報は、法令上の強制力をもって、個人の渡航や旅行会社による主催旅行を禁止したり、退避を命令するものでもありません。
※ 海外では「自分の身は自分で守る」との心構えをもって、渡航・滞在の目的に合わせた情報収集や安全対策に努めてください。
1.中国・台湾における鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染症例
(北京市,河南省,湖南省,上海市,江蘇省,浙江省,安徽省,江西省,山東省,福建省及び台湾)
4月3日以降,中国における鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染症例発生についてお知らせしています。
27日,湖南省で初の新規感染症例2例が確認されました(内1名は江西省在住者)。
28日12:00現在の状況は,次のとおりです。
(1)26日夜,湖南省衛生庁は,湖南省における初の鳥インフルエンザA(H7N9)の感染症例2例が確認されたことを発表しました。内1名は湖南省邵陽市在住の64歳の男性で,14日に発症,25日に鳥インフルエンザA(H7N9)感染の確定診断がなされ,現在治療を継続中とのことです。もう1名は江西省宜春市在住の54歳の男性で,15日に発症,27日に湖南省の病院で, 鳥インフルエンザA(H7N9)感染の確定診断がなされ,現在,治療を継続中とのことです。
(2)28日12:00現在,中国・台湾で鳥インフルエンザA(H7N9)感染者が確認されたのは中国上海市,安徽省,江蘇省,浙江省,江西省,北京市,河南省,湖南省,山東省,福建省の2市8省,及び台湾で,感染者数は122名(うち死亡23名)です。
これまでの地域別の感染者数は以下のとおりです。
上海市:33名(うち死亡12名)
江蘇省:南京市,宿遷市,無錫市,鎮江市,蘇州市,揚州市,南通市,
塩城市,昆山市,常熟市,徐州新沂市
計27名(うち死亡4名)
浙江省:杭州市,湖州市,温州市,嘉興市,紹興市
計45名(うち死亡6名)
安徽省:滁州市,亳州市 天長市 計 4名(うち死亡1名)
江西省:南昌市 2名,宜春市 1名 計3名
北京市:2名(2例目については,陽性であるが発症はしていない。)
河南省:周口市,開封市,鄭州市 計4名
湖南省:邵陽市 1名
山東省:棗荘市 1名
福建省:龍岩市 1名
台 湾:台北市 1名(感染者は直前に蘇州市に渡航していた。)
(3)24日,北京において,中国国家衛生・計画生育委員会及びWHOが共同で発足させた鳥インフルエンザA(H7N9)感染防止視察チームが実施した,上海家禽市場・実験室・病院の視察結果について,報告会が行われました(視察実施:19日~23日)。同報告会にて視察チームは,(ア)感染の危険性は主に市場の家禽に集中しており,現在の状況から渡り鳥や渡り鳥の生息地からH7N9の陽性反応はないこと,(イ)ほとんどの病例は散発的で,一部,個別の家庭に集中した例もあるが,この家庭に対して共通の暴露があったか限定的なヒト-ヒト感染があったかは定かではないこと,(ウ)現在のところヒト-ヒト感染発生の証拠は十分ではなく,持続的なヒト-ヒト感染は発見されていないこと,(エ)一方で限定的なヒト-ヒト感染があっても不思議ではなく,早期にこのような状況を発見し監視を強める必要があること,状況は未だ複雑で,厳しく,更に発展段階であるとし,WHOと中国当局が密接に協力しながら,この新しい脅威に向かっていくと報告しました。
(4)台湾の担当機関の発表によれば、台湾で確認された感染症例1例について,中国・蘇州市に渡航した後に発症した症例であり,27日現在,台湾における家禽モニタリングにおいてはH7N9ウイルスは検出していないとのことです。
(5)広東省東莞市動物疫病予防センターは,26日夜に市内の生鳥市場にて採取したサンプルから疑似H7亜型インフルエンザウイルス陽性例(1例)を発見したが,現時点では,鳥に臨床症状は見られないほか,ヒトへ感染している状況もないと発表しました。
2.現在の状況は上記のとおりですが,中国は4月29日から労働節の休暇期間に,また,日本でもゴールデンウィークとなります。中国への渡航,滞在,特に上記1.(2)の感染症例が確認されている地域に滞在中の方及び渡航を予定されている方は,最新情報を随時確認の上,鳥インフルエンザへの感染を予防するため,以下の注意事項を参考に行動することをお勧めします。
(4月18日付スポット情報「中国における鳥インフルエンザA(H7N9)のヒト感染症例発生(その14):労働節及びゴールデンウィーク期間における注意」もご参照下さい。)
●生きた鳥を扱う市場や家禽飼育場への立入を避ける。
●死んだ鳥や放し飼いの家禽との接触を避ける。
●鳥の排泄物に汚染された物との接触を避ける。
●手洗い,うがいにつとめ,衛生管理を心がける。
●外出する場合には,人混みは出来るだけ避け,人混みではマスクをする等の対策を心がける。
●突然の発熱や咳など,呼吸器感染症の症状が現れた場合には,速やかに最寄りの医療機関を受診する。
外務省の情報はここまでです。
日中間には、空路は日本側18港、中国側23港、海路はそれぞれ3港に定期便が就航しており、仕事にせよ旅行にせよ、帰国にせよ訪日にせよ交流が盛んです。この様な状況では、日本でも鳥インフルエンザを防ぐ事は困難と思われます。うがい・手洗いは、しておいた方が良いかもしれません。
Horowitz - Scarlatti Sonata L224
それにしても、十年前の胡錦濤・温家宝政権の始まりの時には、SARSが猛威をふるい、習近平・李克強政権の始まりにはH7N9型の騒ぎ、しかも、どちらも肺炎を引き起こすウイルスで、死亡率が11%から20%に上昇。不思議な事もあるものです。一説に、鳥から人への感染は無いと言われているようですが、すると、H7N9型は何処から来たんでしょう?
兎も角も、海外に行かれる方も、日本で過ごされる方も、好い休日となりますように。