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【介護アドバイザーコラム】お金の計算と認知症

2014年05月28日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。

 

消費税が8%になりました。

 

消費税5%を含めた税込価格に慣れていたので、税抜価格を見て一瞬“安い”と勘違いしてしまいます。

3%上乗せされるだけのはずなのに、8%が新たに課税されたのではないかと思う値段設定も見かけます。

ずっと500円で売っていたものが、「消費税が上がったので550円になりました」って、どういう計算なのでしょう。値上げの口実になっていますね。

一円単位の支払いも増え、小銭で財布が重くなりました。

 

さて、認知症になると計算能力に影響が出てきます。

「100から7をひくといくつですか」

「そこからまた7をひいてください」

これは、認知症診断に用いられる長谷川式スケールの中にある質問で、計算ができないことを一つの指標にしています。

 

買い物は、買いたいものを選んでその値段を足して合計を出し、それに消費税を足して支払額を把握します。カード決済をしないのであれば、手持ち金の範囲で買えるものを選びます。通常はレジスターが計算してくれるので、完璧に暗算ができなくても大丈夫です。

レジで「○○円です」と言われたら、ちょうどの金額か、お釣りが一番少なくなるようにお金を払います。

 

小学校の算数でお金の計算を習い、その後何十年もさりげなくしていた行為が、認知症になったためにどうすればいいかわからなくなった・・・

これはかなりつらいことです。プライドがありますから店員さんにあたふたしているところを見られたくないので、高額のお札を出してお釣りをもらうほうがいいと思っても不思議ではありません。後ろに並んでいる人がいれば尚更です。

認知症の家族がスーパーでもコンビニでもいつも一万円札で支払うという話や、家の中に小銭が異常にたまっているという話を電話相談でも時々耳にします。

 

消費税アップは、認知症の方にとってさらなる混乱の種になっているかもしれません。

 

効率を重視する人にとっては、「年寄りは時間がかかって困る」とイライラしたり、「認知症になったら買い物はするな」となりがちです。

しかし、いつか自分も老いる日が来ます。レジで戸惑っている高齢者を見かけたら、「大丈夫ですよ」とやさしい眼差しを向けて、“待って”いただきたいと思います。

 

老いも若きもそれぞれの力に応じて安心して暮らせる社会が来るといいなあと思います。


【介護アドバイザーコラム】認知症の人の遺族に360万円の賠償命令

2014年05月13日 | 介護アドバイザー コラム

こんにちは。wiwiw介護アドバイザーの角田です。 

4月24日に、
徘徊して電車にはねられた認知症の男性(当時91歳)の妻に対して、
約360万円の損害賠償を支払うようにとの二審判決がおりました。

これは、2007年に愛知県大府市のJR東海共和駅構内で起きた事故の判決です。

午後4時半ごろ、デイサービスから戻った男性が妻と長男の嫁と一緒にお茶を飲みました。

そして、妻が目を離したすきに男性は家を出て行ってしまい、
家族が近所を探し回っていた5時47分に事故が起きたのだそうです。

同居の妻は要介護1、長男は神奈川県に住み、
長男の嫁が介護を手助けするために近くに転居していました。

この事故によって運休した電車は34本、影響を受けた人は2万4千人。

鉄道事故では、
振替輸送費や特急券等の払戻金、
列車の運休による機会損失費や設備の修理費、人件費などがかかり、
JR東海は約720万円を遺族に請求しました。

2012年8月、
一審の名古屋地裁の判決では、
男性の妻と長男に請求通りの支払いを命じ、
遺族が控訴していました。

2014年1月、名古屋高裁は双方に和解を勧告しましたが成立しませんでした。

名古屋高裁の二審では、妻は民法上の監督義務があり、
外出を把握できる出入り口のセンサーの電源を切っていたことから、
「徘徊の可能性のある男性に対して監督不十分な点があった」としました。

JR東海にも、駅で十分に監視していれば事故を防止できる可能性があったと指摘して、
賠償額を5割にとどめたそうです。

一審判決で責任があるとされた長男は、「20年以上別居しており、監督者にあたらない」とされました。

そして、5月8日にJR東海が、9日に遺族が最高裁に上告しました。

NHKニュースで、
2005年から2013年までの8年間に認知症の人が鉄道事故によって死亡した数は
少なくとも64人と言っていました。

これらの人たちの遺族は損害賠償を請求されたのでしょうか。
詳細は不明ですが、支払い能力に応じて、
鉄道会社と遺族の和解が成立するケースがほとんどだそうで、
裁判に持ち込まれたのが今回のケースらしいのです。

認知症の人を地域で見守る、
安心して徘徊できる町を目指すという国の方向性が打ち出されても、
それが機能していない地域はたくさんあります。

家族の責任の重さに
言いようのない不安を感じた家族は多いのではないでしょうか。

認知症の人を閉じ込めておけというのか?

家族はずっと見張っていなければならないのか?

家族の責任は?

いろいろ考えさせられるニュースです。